あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

柚木沙耶郎 いのちの旗じるし ・世田谷美術館2階展示室

2013-08-18 22:12:01 | 美術展
 一階での榮久庵憲司の世界観から全く別世界の染めの世界へ。

 世田谷美術館の二階にあがると、
 あたたかな、自然から生まれた
 大きな旗が天井高く掲げられています。
 
 染織家、柚木沙弥郎の作品群です。

 そのプロフィールでなんと91才の現役染織家であると知らされます。
 民芸活動の柳宗悦の影響を受け、
 染織家、芹沢銈介に師事しますが、
 その独特なおおらかさは独特です。
 民芸運動の側に彼がいたという、その納得の経歴と
 今もなお、仕事に意欲を燃やして活動していることに
 勇気をもらいます。

 単純すぎる線と、色数の少ない染めのバランスの妙。
 デッサンからの引き算の限界です。
 力強い線は決して定規を当てない、ハンドメイドならではの
 揺らぎがあって信頼できる力が生まれてきます。
 色は単純でも自然界から生まれた、それだけで
 温かで、優しくて、太くて、丈夫で、安心で、
 そしてなんだか嬉しい気配に包まれます。
 
 作品は染め物ばかりではなく、
 絵本、「雉女房」の原画があったり、
 指人形、「町の人々」が賑やかに並んでいたりします。

 柚木沙弥郎さんのサイトがありました。
 こちら
 
 柚木さんの作品がてぬぐいなどになっていたら
 大人買いに走りそうな、とても魅力あるまるい仲間たち、そんな
 嬉しい作品たちでした。
 まだまだ命ある限り、がんばるぞ、という旗じるし、
 元気を頂きました。
 
 隣の展示室には
 日本のゴーギャンといわれた、土方久功の彫刻と水彩が紹介されていました。
 初めて知る作家ですが、パラオなどに13年も暮らしてきたそうです。
 自然界と親しんだ、ゴーギャンを彷彿させる作品群でした。
 水彩画とおなじ画題で彫刻を試みる、そういう組み合わせが新鮮でした。
 世田谷に縁のある作家を紹介する試みは
 その土地に根ざす芸術家を応援する美術館の側面を見るようでした。

 この展示は今日が最終日となりました。

 榮久庵憲司、柚木沙弥郎、土方久功、
 様々な男の有り様を見ることが出来た、そんな一日でもありました。
 
 一緒にみてまわったFさんとのおしゃべりは
 カフェで延々と続き、それもまた世田谷に行った時の
 楽しいオプションなのでした。









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