あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

2月のアート鑑賞記録 (2016,2) 

2016-05-05 18:57:33 | アート鑑賞記録

 あべまつ行脚ブログ放置したまま、今日はこどもの日、立夏を迎えてしまいました。

 2月に見ていたもの、ざっくりと記録しておきます。

 *東京ステーションギャラリー (12/5~2/7)
  パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き
  君が叫んだ その場所こそが ほんとの世界の真ん中なのだ。

  原田マハさん近著の「ロマンシエ」と連動する形で企画された
  珍しい展覧会でしたが、
  その本を読んでいなくとも、会場にながれるパリのidem工房で繰り広げられた
  様々な作家たちの作品が展示されることでひとつの物語を流れるような
  不思議な雰囲気に魅せられてきました。
  その中で、辰野登恵子さんの個展を資生堂ギャラリーで見ていたことを
  ふっと思い出し、ご一緒した夫人が今は亡き人となっていることと重なって
  印象深く感じたのでした。
  JRとデヴィッド・リンチによるビデオはidemの印刷現場のドキュメントで
  ショート作品ながら2作、何度もみてしまいました。
  ほか、やなぎみわ、リーウーファン、南川史門、ポール・マッカーシー、
  森山大道、マティスなどなど。
  図録が美しいので、つい手にしてしまいました。

 *羽黒堂 
  「佐々木誠展」 『あらがねの土』(2/8~20)
 今回も素晴らしい作品と遭遇できました。
  縄文スピリットを深く感じながら、木から生まれ出る魂のカタマリに
  パワーを頂きました。

 *増上寺 (1/1~3/13)
  「生誕200年記念 狩野一信の五百羅漢図展」




  狩野一信の五百羅漢図展、あの展覧を鮮やかに記憶している方も多いかと思います。
  その五百羅漢図を所蔵している、本家、増上寺で狩野一信生誕200年を記念し、
  百幅ある中から後期展覧では第41~第60幅が展示されました。
  (前期10/7~12/27 では21~40幅の展示)
  いやはや、やはり、とてつもない迫力と情報量と、濃密な妖しさ満載で
  今回もまた執拗な表現に圧倒されてきました。
  同時期に「村上隆の五百羅漢図展」森美術館にも行きたいと思いつつも
  時間を作り出せず残念なことでした。
  壮大な計画も一信自身が倒れ、その後を妻、弟子が引き継いだという
  切ないお話も思い出されました。他、一信にまつわる資料も公開されて、
  興味深く見て回りました。
  増上寺の展覧会場には百才を経てもまだ現役で活動されている、
  篠田桃江さんの雄大な作品が壁面を飾っていて、それもまた見応えがあったのでした。
  また、増上寺の絵はがきセットを頂けたのも、すてきなおまけでした。

 *東京国立近代美術館 (1/13 ~2/28)
  恩地孝四郎展
  本当は沢山感想があったのですが、まずは初日にともかく飛び込み、
  その後、図録を求めに再訪する濃厚な体験でした。
  当初は来館者が伸びないようで、心許なく心配していましたが、
  再訪した会期末には沢山の方が入館され、ホッとしました。 
  東京ステーションギャラリーで開催された「月映」展に静かな感動を得て
  その影響を思い出しながら見て回りましたが、
  「月映」は恩地孝四郎にとって、大変短い期間で、20~25才という
  若い時の濃縮された時間でした。
  その後の活動を海外からの作品が展示されるなど、
  評価が日本に留まらないこともまったく知らなかったのでした。
  終生、版画に拘り、新しく、自由な版画制作に情熱を傾け、
  63年の生涯をその制作に捧げたのでした。
  個人的には、「詩情のユートピア」「月映」「恩地孝四郎」
  図録制作コギトによる三部作が整って、喜んでいます。
  
  同時に常設展示も面白く、
  「ようこそ日本へ」という企画展が実に充実した楽しい展示で
  近代化する日本のポスターなどを通して、
  世界の中の日本アピールにワクワクさせられました。

 *三井記念美術館 (2/6~4/3)
  三井家のおひなさま
  春恒例のおひなさまの展覧会が今年も華やかに始まりました。
  同行の友が大変喜んでくれたのも嬉しい時間でした。
  展示室1には仁清をはじめ、雅ななやきものがおひなさまを
  祝う道具立てとして展示され、心華やぐものとなりました。
  今年は明治から昭和初期のお人形が多く、それでも名家のコレクションの
  素晴らしさを感じることができました。
  同時に、沈寿官造の薩摩焼がお披露目されましたが
  大変成形が丹精で、これが薩摩焼かと思うほど、
  色絵付けがとてもシンプルで驚かされました。
  小さな展示室、6には水野年方による近代化しつつある日本の姿を
  「都のにしき」シリーズで見ることができました。
  安定の三井コレクションなのでした。
  
 

 *文楽 嶋大夫引退興行 (2/12)
  終に、人間国宝、嶋大夫さんの引退が決まり、この日が
  見納めの時となりました。
  なにかと波乱含みの文楽の世界で、あの年齢が一番熟成されてくるという
  そらおそろしい世界ですが、稽古鍛錬の成果で人形に魂を吹き込むのです。
  とはいえ、文楽歴が浅いものにとって、なにがどうだとはまったく
  いえるものではないのですが、
  お弟子さんの呂勢大夫さんの口上が大変立派で感動的でした。
  最後の演目が「関取千両幡」
  人気力士の夫の身を案じて自ら身売りをして金の工面を決断し
  女房が夫の窮地を救うのです。
  その女房、おとわを嶋大夫が語りました。
  また、鶴沢寛太郎による三味線の曲弾も見応えたっぷりなパフォーマンスでした。

 こんなところで、ばたばたと2月が終わっていたのでした。
  はてさて、3月はどのくらい覚えているでしょうか?
 

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