あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

関西ツアー その1 幻の鼻煙壺 沖正一郎コレクション

2008-08-26 18:11:34 | 美術展
つまり、今は見る時じゃなかったのかも知れない。
そう思って、息子と二人なすすべもなく
ホテルへの簡単な地図を片手に
どしゃ降りの雨が止むのを、
北浜の駅近くのコンビニの中で待っていた。
息子がトイレを借りるために入ったコンビニで、
トイレは借りられず、ビニール傘を買った。
私は折りたたみ傘を持っていたけれど、
息子の分がなかった。

これは、私に来るなということなのか?
恨めしや。
焼けたアスファルトにバシャバシャ叩きつける雨。
容赦がない、というのは、こういう事か。

10分ほどで止んだのだろうか。

どうする?お母さん。
地下鉄の駅で、トイレ探しましょう。
お母さんが見たかった美術館は4時半までに入らなきゃダメなの。
いや~~もう、無理。諦めましょう。
すぐ近くの駅で、息子の用を無事済ませ、
気を取り直してホテルに向かった。

たとえ今から東洋陶磁に駆け込んで、
無理に入れて頂けたとしても、
心が落ち着かないまま
ものを見る気持ちになれるだろうか?

慌てない、慌てない。
じゅ文を心に刻む。
迷子になったホテルに電話してみたら、
なんとすぐ近くではないか!
どうして気がつかなかったのだろう。
それにしてもこの辺一帯は素敵な洋館立ち並ぶ。
サンマルクというカフェチェーン店がなぜ、
あんなに素敵な建物を使えたのだろう???
銀行が多い。
大阪美術倶楽部。
文化が香っている。
む~~デジカメでお散歩したいものだ。

ゴロゴロカートを転がし、
雨に当たり、迷子になり、東洋陶磁に間に合わなかった。
それで、写真を撮る気力はもう使いはたした。
まぁ、ともかく、暑い大阪に、無事着いたじゃないか。

やっとたどり着いたフロントで、
迷子になって、どしゃ降りにあった話をした。
お気の毒様という顔をしたお姉さんが
優しく無料で、お部屋をグレードアップしてくれた。
お盆のピークは越えたのかも知れない。

息子と私はすっかり疲れ果て、
汗まみれになり、ホテルのベッドに上に倒れ込んだ。

しばらくして、ご近所のコンビニでに飲み物を買って、
一休みし、今夜の予定を確認した。
素敵な彼と二人旅だったら、どんな時を過ごすのだろう?
いやいや、そういう浮き足だった心持ちでは
美しいものが逃げてゆく。
目の前の、まだ幼さが滲む男の子のエスコートをせねば。

ひとごごちして、
私達親子は、大阪の繁華街へ向かうことにした。
当然、電車男は色々こだわる。
大阪環状線に乗り、あちこち乗り換えして
難波に着く。
戎橋のギンギラ蛍光宣伝のグリコを見たいとな。
かのくいだおれ太郎は、仕事を終え、今旅に出ているらしい。
かに道楽は変わらず、ハサミと目を動かしていた。
この二店舗に入った人の話を聞かない。
この日の夜ご飯は、粉モンが所望の息子。
立派な千房に入り、
立派に粉モンを頂く。
焼きそばが妙に高級で美味しかったけれど、
アタシは根っから粉モンと相性が悪い。
スンマセン。
焼きそばは、300円のB級価格でよいのだ。

しかし、
見られなかった鼻煙壺。
思い捨てきれず、息子の前でグズグズ言うと、
じゃぁ、明日姫路から新大阪に戻ったら、行かれるよ。
気持ちに素直にならないと後悔するよ、といってくれた。
うぅ~息子よ~~
いぃ~よ。姫路から大阪によって、
それから京都に行くの、大変だよ。
お母さんガマンする。諦める。

泣く泣く諦めた鼻煙壺展。
淀屋橋のホテルのすぐ近くで
東洋陶磁美術館が清々しく佇んでいるはずなのに。

そんなこんなの思いがあった、鼻煙壺展。
日曜日、新・日曜美術館のアートシーンでその展覧の紹介があった。
おぉ~さぞすんばらしいものだったことだろう!
チラッと通り過ぎた気分になれた。
そして、今日、本屋で「目の眼」を見た。
ありゃ、鼻煙壺の特集じゃありませんか。
見た気持ちになりたくて、買い求めた。

ガマンし、諦めた展覧が私を慰めるように
現れてくれた。
それでよいのだ。
バカボンパパも言ってくれるだろう。

大阪第1日目は、なんともほろ苦い一日となった。
頂いたチケットは奈良の大好きなMさんに託した。
送って下さった方には、その旨了解快諾を頂いて安堵。

当然、息子、あべまつボーイは、
母が地図の読めない女だと確信したのはいうまでもない。 

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (遊行七恵)
2008-08-27 12:44:06
こんにちは
なんというか、お気の毒な初日でしたね。
わたしも気がきかなくて、ホテルの名前など聞いていたら色々お伝えとかできたのに、と悔やまれました。

サンマルクが入っているビルは安井武雄の拵えたもので、わたしもとても好きな建物です。
あの堺筋のあたりは、御堂筋が完成するまでは大阪のメインロードでした。
つまり東洋のマンチェスター時代の名残です。


くいだおれはわたしも一度しか入りませんでしたが、かに道楽はかにが解禁になれば、必ず行きますね。
大阪人はかにとふぐの消費が日本人全体の80%らしいです。
かに道楽はあちこちに支店があるので、近所の店を使いますが、難波のそこもよく行きます。

もし今度大阪の冬に来られるなら、予約入れますよ。
冬は予約取るのがけっこう厳しいのです。
返信する
遊行 さま (あべまつ)
2008-08-27 17:53:11
こんばんは。
いやぁ、語るも涙の一日でしたが、これはこれで
笑えて面白かったです。
大阪の人が80%も消費するって、そんなに蟹好きとは知りませんでした@@
てっちりは以前連れて行ってもらって、めっちゃうまでした。こうなると次回は、冬ですね!
その時は遊行さんを頼らせて頂きます!
堺筋、御堂筋、なかなかそそられるエリアでした。
古い喫茶店なども、興味津々でした。
東京大丸のイノダは、長い列があったので、断念。
また平日の午前中とか狙ってみるつもりです。
お気遣いに感謝!です。
返信する
雨の御堂筋 (悲歌・哀歌)
2008-08-28 15:21:13
出足を挫かれても、ガマンして、頑張ったのですね。
あべまつボーイの優しさと、お母ちゃんのガマンのコラボレーションに、家族で居ることの良さを感じました。
東洋陶磁は残念でしたね。展覧会はいずれ又何処かで開催されるでしょう。縁があった時に、見る事が叶えられたら良い事、と未来に希望を持ちましょう。
さて、忘れないうちに、東博本館の常設展示について少しのコメントを・・・。
本館一階の陶磁展示。楽茶碗が数点出ていて、嬉しかった。長次郎もノンコウも良い良い。一入の四方茶碗は、長次郎の「ムキ栗」に似ていてビックリ。写しなのだろうか?
彫唐津茶碗は相変わらず武張って居て、古武士の茶碗という感じで、好きです。
道八がこのごろ好きになってきました。ヘタウマじゃなく、ウマ下手かなぁー。乾山の写しなんか作ったみたいな感じなのだけれど、えばった処が無くて、普段使いの器と思わせる所が、ニクイニクイ。
漆工芸。海賦蒔絵袈裟箱は、暫らくぶりのご対面。銀色の波間から現れる海獣の面白いこと。ヨーロッパの古地図に出てくる海獣にそっくりなので、人間の想像する海獣は、洋の東西を問わないのか知らん、と思ってしまいます。漆工芸の展示は、秋の画題のものが多かったので、やっと季節に合ってきたかな。
あべまつ遊山に出ていた、画帳はなんだろう?と思っていたら、是真の漆絵だったのですね。琳派の末裔を感じさせてくれます。予告編か?
あべまつ遊山の関西ツアー画像、46枚目の養源院の門に入ろうとしている後姿の少年は、あべまつボーイか知らん?まさにボーイという感じです。
返信する
悲歌・哀歌 さま (あべまつ)
2008-08-30 11:57:59
こんにちは。
お返事遅くなりました。

関西ツアーの記事が進まなず、
日々、なにかしら振り回されております。

さてさて、東博の常設、いつもながらいいものずらりですよね。
三井の日本の夏に長次郎の筒の低い楽茶碗があって、夏にも黒でいくか、渋い!と思った後に
東博にも楽茶碗しぶいところがずらり。
よござんした。
一入はやっと気が付いたのですが、ちらりと赤を偲ばせているところが憎いです。
着物を黒に染める時の赤の働きのように、
根来の漆のように、赤は黒と共に嬉々と働くのでした。道八のゆるいところ、私も好きです。
乾山も笑っていることでしょう。
柴田是真、いいお仕事してますね。
漆芸に見える遊びも大好きです。

遊山の画像には説明を載せず、
無精そのままのアップで申し訳ありません。
きちんと整理できなくて・・・
見てきたもの達、これです、って感じです。
あべまつボーイ、ばれました!
私も撮ってもらったりしたけれど、
私の知らないおばさんが写っていて、
とっとと削除しました(笑)
返信する
行ってきました (ふう子)
2008-08-30 21:28:02
はじめまして。

鼻煙壺で検索して、たまたま来ました。

今日(八月三十日)に東洋陶磁美術館に行ってきました。

写真が限定つきでOKだったので、鼻煙壺を
かなり撮ってきました。

たいしたカメラではないので、ご満足はいかないと
思いますが、ご参考になるやもしれません。

              ふう子
返信する
ふう子 さま (あべまつ)
2008-08-30 21:49:19
はじめまして、ようこそ!

鼻煙壺をご覧になったのですね。
羨ましい~~です。
東洋陶磁は、大好きな美術館で、
去年も安宅コレクションを堪能させて頂きました。
その時も太っ腹にデジカメOKだったので、
撮りまくり、致しました。
デジカメOKな美術館はなかなかありませんから、
ともかく嬉しい限りです。

さっそく画像拝見にお邪魔させて頂きます!!
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