あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

東京国立博物館 本館と前庭から

2013-05-03 22:35:39 | 日本美術
 ゴールデンウィーク前半に
 大学時代の旧友が上野に出てくるというので、
 東博に行くことにしました。
 お目当ては「大神社展」
 その感想記事の前に本館など足早にまわったので、
 画像残しておくことにしました。

 丁度東博の花、ゆりの木の花が咲いていました。
 とても立派な大木になんと可愛らしいオレンジ黄色系の暖色の花。



 こちらは東博に入ってすぐ右手の藤棚。
 後ろに見える像とコラボして美しい額縁になってくれました。



 こちらは東洋館前の真っ白になった躑躅の低い回廊。
 圧巻でした。



 朝鮮から来ただろう、メーメーさんは目の前の野草を物欲しげに見つめていました。
 おなか空いていたのでしょうね。


 
 本館一階をするっと通り抜けるように見ました。
 その中で、ひっかかったものだけ、ご紹介します。

 近代工芸のビックリ作品の頂上にいる、
 蟹が二匹絡んでいる怪しすぎる壺。
 ここに何を入れよ、というのでしょう?
 初代宮川香山作。
 圧倒的妖しさと生々しさは、やきものの表現の限界ギリギリではないでしょうか。



 本館1階の奥で「花生」特別展示コーナーに
 現れた、利休の瓢花生
 こういう見立てをするから憧れを集めたし、嫉妬も集めたのだと
 理解できるくらいはっとする感性の自由さに降参しました。
 本体の中に竹の落としが見えました。



 その横のひょろりと揺らぐ竹花生もまた活けた花をどこまでも
 蠱惑的に変えていったことでしょう。
 伝、金森宗和の作とされています。



 陶磁器のコーナーには立派な作品が陳列されているのですが、
 なんですか、この子は?
 背中には山水図を染めてもらっていました。
 染付子犬形香炉
 特別、スリーショットご披露します。







 長次郎の「むき栗」という黒楽茶碗がありますが、それにならった、
 一入の作品。一入は黒の釉薬の下からぼうっと朱を滲ませるのが特徴です。
 黒楽四方茶碗 銘 祥雲
 長次郎のそれよりも、ぐっと柔らかな表情となっています。



 新版画時代、伊東深水の浮世絵が並びました。
 深水はやはり女性を描きたかったし、ふつふつと匂うがごとく画面に命を与えます。
 ぐるぐるしたばれん後もよく見えます。





 広重オマージュの近江八景、8点勢揃いしています。
 同時に、川瀬巴水の情緒豊かな風景画を思い出しますが、
 深水の風景には密度の濃い湿度を感じます。





 匂うがごとく、といえば、こちらも大迫力でした。
 鏑木清方の屏風。
 女性達の髪の毛を梳く仕草とは対照的に
 若葉の竹林の向こうに黒揚羽が妖艶に舞っています。
 黒い蝶の方が気品高く、物静かに二人を垣間見ているようでした。
 どんな物語なのでしょう。
 「黒髪」





 そして、今回一番驚いたのが、
 この、速水御舟の一幅の絵でした。
 こんなに柔らかな女性図を描いていたとは。
 本当にそうなのか、タイトルを見直しました。
 「萌芽」
 羊歯が繁り、辛夷や泰山木を背景にした深山のなかに尼僧が立つ、
 幻想的で不思議な世界である。と解説してありました。
 原山渓が所蔵していたものだそうです。
 後で山種館長の著書「御舟」を紐解くと
 今村紫紅に影響を受けていた御舟19歳の時とわかり、
 にわかに胸がキュンとしました。



 仏象コーナーのハイライトは
 文殊菩薩騎獅像 興福寺 康円作
 光背からもれた影のなんと美しいこと。
 





 ミュージアムショップがとても素敵になりすぎていました。
 罠にはまるかと、気を引き締めて観察に努めるのが大変でしたが、
 友は嬉々として買い物を楽しんでいました。



 本館2階にも近いうちに行ってみなければと
 底なし沼の魅力に振り回される東博なのでした。
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1 コメント

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絵画同好会(名前検討中 (村石太ザード&大原)
2013-06-08 20:10:06
古来から 女性は モデルですね
文殊菩薩 で 検索中です。
ある本 で 文殊菩薩の絵を 観ました。
宗教は いろんな 意味があるんですね。
宗教研究会(名前検討中
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