午前中は、選ばれしブロガーさん達のプレビュー会で、
今時のツイッターで生の声が時々映像と共に届くのが楽しく、
ライブ、瞬時ということのパワーに驚きつつ、
次世代の情報ツールに感嘆。
携帯電話をパカッとあけるのも古いよねぇって時がきっとすぐそこまで。
私はそのブロガーレビューに申し込んだけれど
見事外れてしまって大落胆していたところに
ひょんなところから内覧のご案内を頂戴した。
チャンスをいただけて、感謝感激雨霰。
天気はその通りの雨霰だったけれど、なんのこれしき。
千載一遇、のチャンスですから。
上野駅から月曜日は閉館の美術館ばかりだというのに、
一筋の人の流れが。
これはもしや。
そうなのでした。
皆様が東京国立博物館の門の中に吸い込めれて行くのでした。
あるいは、黒塗りのお車がすい~っと。
セレモニーは2時からで、私は母がいたり、色々引っかかって、
着いたのが2時半近く。
ちょうどご挨拶テープカットなどが終わり、
エレベーターが動いて、会場に移動するその時に入館したのでした。
ものすごい人だかり。
これは6~700人ぐらいいらしたのではないでしょうか?
午前の部の方がずっと広々と鑑賞できたような。
美術界の重鎮のお顔もちらほら。
それはともかく、私も人の波にもまれつつ2階へ。
若冲のいる第1章展示室の混雑を予想して
反対側の第2章展示室に入ることに。
さてさて、目もくらむような工芸品の数々。
三の丸所蔵館の奥深さ。
第2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
明治天皇の下、将軍家の後ろ盾を失った工芸家や、
絵師に対して海外輸出品を推進し、
保護、顕彰を行った。
その目的として制定されたのが明治23年に発足した
帝室技芸員制度で、
高村光雲、橋本雅邦、加納夏雄ら。
昭和19年まで79名が任命された。(図録より)
その帝室技芸員の作品が天皇陛下御在位20周年の記念事業として
三の丸所蔵館からここ、東博平成館に展示されている、
そういうわけの皇室の名宝展なのだ。
私はすっかり見落としてしまったのだが、
エントランスの横に
今上天皇即位の年に行われた大嘗祭に飾られた
悠紀・主基風俗歌屏風が展示されている。
サントリーのビオンボ展にも紹介されていたもの。
サントリー図録からも詳細を知る。
悠紀(ゆき)は京都より東国から選ばれるもので、
今回は秋田県から角館、男鹿半島、抱返り渓谷、田沢湖。
作は東山魁夷。
対して主基(すき)は西国から、大分県。
湯布院、耶馬渓、日田が描かれる。高山辰雄作。
なるほど、エントランスにある意味もこういうことだったのかと
納得で、次回はしっかり見ようと思った。
さて、会場に入ると
まず目に入るのが、大観の一幅「御苑春雨」
大正15年の皇室に収めた記念すべき作。
のち昭和6年に帝室技芸員に任命される。
宮中のしっとりした春雨の湿潤。
選ばれた技芸員の技を見ると
落ち着きがあり、品格があり、技術も卓越し、
安定した作柄で、庶民の生活の空気感とは
別物だということが肌で感じられる。
栄誉と光栄が滲んでいるのであった。
お気に入りをあげるとする。
21 大納言公任捧梅花図(だいなごんきんとうばいかをささげるのず)
杉谷雪樵 すぎたにせっしょう 6曲一双
銀箔の下地に白梅の一枝を持つ藤原公任。
銀色も鮮やかに残り、雪景色の庭に
凍てつく静かさが空気の緊張感を保っている。
細川藩御用絵師だった杉谷の最晩年作。
解説によると、この裏には酒井道一の四季花卉図が描かれているとか。
緊張感の中に、伝える思いは温かい。
27 萬歳楽置物
高村光雲、山崎朝雲 作
天皇の慶事に必ず舞う舞楽のりりしい姿。
乗せている蒔絵と螺鈿の台も素晴らしい。
31 孔雀鸚鵡図
蝶を雀が数羽でほおばる、2羽の雀が番いの乱舞。
こんな小さな生々しさを
大画面の孔雀と鸚鵡の脇に置く。
南画を学んだ人のようだ。
屏風の数々。
屏風はなんだか嬉しくなる。
晴々しいというか、画面のスクリーンが日本オリジナルで
その場所が華やぐ。
41 太平楽置物
66 蘭陵王置物
どちらも海野勝 作
どちらも精緻を極めている。
蘭陵王は、美男子がつけるものという解説を読んだ気がする。
そのお顔は?という願いが叶うよう、面が取れて、
下の麗しいイケメンが拝める様になっている。
その面を入れる箱も素晴らしい気品。
1点お持ち帰りはこれ!
50 官女置物 旭玉山作
まばゆい白の象牙で、ここまでリアルに彫像ができたのかと
感嘆。いくつも象牙をつけたしてできたのだそうだ。
表現力に驚き。
51 菊蒔絵螺鈿棚
これまた美しい、螺鈿細工の棚。
棚の裏にも、背面にもびっちり菊蒔絵がめぐり、
ところどころうっとりの螺鈿がはめ込まれ、
かわいらしい小鳥が飛び交う。
デザインは六角紫水、金細工は前出の海野勝。
太刀拵、短刀拵を入れるための豪華絢爛なためいき棚。
67 七宝月夜深林図額 濤川惣助作
精緻を極める七宝の名手、並河靖之に対して、
こちらは無線七宝を考案し、絵画的な擦れ、滲みなどの
筆使いに腐心する。原図は渡辺省亭による。
まるで水墨画を見るようだ。これが七宝?すごい。
69 塩瀬地孔雀図友禅染掛幅 西村總左衛門12代
これが布?塩瀬の帯は一本欲しくなるものだが、
ここにはその塩瀬の生地に友禅染と刺繍が施されている。
孔雀は岸駒のもの。
表具裂もあきれるくらいの細かさで描き表装。
その上に刺繍もしたというから、卒倒する。
ここまでするか、の作品。
74 潭上餘春 松林桂月作
大正モダンな雰囲気が漂う、新しい日本画で
アールヌーボーも感じる。
第2章はお抱え絵師、工芸家の新しい姿で
選ばれた技芸を持った極みつけ、のような作品群。
天晴れでした。工芸好きにはたまらない展示。
空間も広々していて、
水色の文様がケースのバックに張られているのも美しかった。
民芸陶芸家の河井寛次郎の「紫紅壺」が展示されていて
民芸作家でも皇室にご縁があったのかと驚く。
怒涛の第1章はまた次回に。
これだけでも実に見ごたえのある展覧会だと
お分かりいただけると思います。
他にも究極な素晴らしい工芸品が盛りだくさん。
日本美術は工芸だと実感したのでした。
次回は若冲、気合入れます。
今時のツイッターで生の声が時々映像と共に届くのが楽しく、
ライブ、瞬時ということのパワーに驚きつつ、
次世代の情報ツールに感嘆。
携帯電話をパカッとあけるのも古いよねぇって時がきっとすぐそこまで。
私はそのブロガーレビューに申し込んだけれど
見事外れてしまって大落胆していたところに
ひょんなところから内覧のご案内を頂戴した。
チャンスをいただけて、感謝感激雨霰。
天気はその通りの雨霰だったけれど、なんのこれしき。
千載一遇、のチャンスですから。
上野駅から月曜日は閉館の美術館ばかりだというのに、
一筋の人の流れが。
これはもしや。
そうなのでした。
皆様が東京国立博物館の門の中に吸い込めれて行くのでした。
あるいは、黒塗りのお車がすい~っと。
セレモニーは2時からで、私は母がいたり、色々引っかかって、
着いたのが2時半近く。
ちょうどご挨拶テープカットなどが終わり、
エレベーターが動いて、会場に移動するその時に入館したのでした。
ものすごい人だかり。
これは6~700人ぐらいいらしたのではないでしょうか?
午前の部の方がずっと広々と鑑賞できたような。
美術界の重鎮のお顔もちらほら。
それはともかく、私も人の波にもまれつつ2階へ。
若冲のいる第1章展示室の混雑を予想して
反対側の第2章展示室に入ることに。
さてさて、目もくらむような工芸品の数々。
三の丸所蔵館の奥深さ。
第2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
明治天皇の下、将軍家の後ろ盾を失った工芸家や、
絵師に対して海外輸出品を推進し、
保護、顕彰を行った。
その目的として制定されたのが明治23年に発足した
帝室技芸員制度で、
高村光雲、橋本雅邦、加納夏雄ら。
昭和19年まで79名が任命された。(図録より)
その帝室技芸員の作品が天皇陛下御在位20周年の記念事業として
三の丸所蔵館からここ、東博平成館に展示されている、
そういうわけの皇室の名宝展なのだ。
私はすっかり見落としてしまったのだが、
エントランスの横に
今上天皇即位の年に行われた大嘗祭に飾られた
悠紀・主基風俗歌屏風が展示されている。
サントリーのビオンボ展にも紹介されていたもの。
サントリー図録からも詳細を知る。
悠紀(ゆき)は京都より東国から選ばれるもので、
今回は秋田県から角館、男鹿半島、抱返り渓谷、田沢湖。
作は東山魁夷。
対して主基(すき)は西国から、大分県。
湯布院、耶馬渓、日田が描かれる。高山辰雄作。
なるほど、エントランスにある意味もこういうことだったのかと
納得で、次回はしっかり見ようと思った。
さて、会場に入ると
まず目に入るのが、大観の一幅「御苑春雨」
大正15年の皇室に収めた記念すべき作。
のち昭和6年に帝室技芸員に任命される。
宮中のしっとりした春雨の湿潤。
選ばれた技芸員の技を見ると
落ち着きがあり、品格があり、技術も卓越し、
安定した作柄で、庶民の生活の空気感とは
別物だということが肌で感じられる。
栄誉と光栄が滲んでいるのであった。
お気に入りをあげるとする。
21 大納言公任捧梅花図(だいなごんきんとうばいかをささげるのず)
杉谷雪樵 すぎたにせっしょう 6曲一双
銀箔の下地に白梅の一枝を持つ藤原公任。
銀色も鮮やかに残り、雪景色の庭に
凍てつく静かさが空気の緊張感を保っている。
細川藩御用絵師だった杉谷の最晩年作。
解説によると、この裏には酒井道一の四季花卉図が描かれているとか。
緊張感の中に、伝える思いは温かい。
27 萬歳楽置物
高村光雲、山崎朝雲 作
天皇の慶事に必ず舞う舞楽のりりしい姿。
乗せている蒔絵と螺鈿の台も素晴らしい。
31 孔雀鸚鵡図
蝶を雀が数羽でほおばる、2羽の雀が番いの乱舞。
こんな小さな生々しさを
大画面の孔雀と鸚鵡の脇に置く。
南画を学んだ人のようだ。
屏風の数々。
屏風はなんだか嬉しくなる。
晴々しいというか、画面のスクリーンが日本オリジナルで
その場所が華やぐ。
41 太平楽置物
66 蘭陵王置物
どちらも海野勝 作
どちらも精緻を極めている。
蘭陵王は、美男子がつけるものという解説を読んだ気がする。
そのお顔は?という願いが叶うよう、面が取れて、
下の麗しいイケメンが拝める様になっている。
その面を入れる箱も素晴らしい気品。
1点お持ち帰りはこれ!
50 官女置物 旭玉山作
まばゆい白の象牙で、ここまでリアルに彫像ができたのかと
感嘆。いくつも象牙をつけたしてできたのだそうだ。
表現力に驚き。
51 菊蒔絵螺鈿棚
これまた美しい、螺鈿細工の棚。
棚の裏にも、背面にもびっちり菊蒔絵がめぐり、
ところどころうっとりの螺鈿がはめ込まれ、
かわいらしい小鳥が飛び交う。
デザインは六角紫水、金細工は前出の海野勝。
太刀拵、短刀拵を入れるための豪華絢爛なためいき棚。
67 七宝月夜深林図額 濤川惣助作
精緻を極める七宝の名手、並河靖之に対して、
こちらは無線七宝を考案し、絵画的な擦れ、滲みなどの
筆使いに腐心する。原図は渡辺省亭による。
まるで水墨画を見るようだ。これが七宝?すごい。
69 塩瀬地孔雀図友禅染掛幅 西村總左衛門12代
これが布?塩瀬の帯は一本欲しくなるものだが、
ここにはその塩瀬の生地に友禅染と刺繍が施されている。
孔雀は岸駒のもの。
表具裂もあきれるくらいの細かさで描き表装。
その上に刺繍もしたというから、卒倒する。
ここまでするか、の作品。
74 潭上餘春 松林桂月作
大正モダンな雰囲気が漂う、新しい日本画で
アールヌーボーも感じる。
第2章はお抱え絵師、工芸家の新しい姿で
選ばれた技芸を持った極みつけ、のような作品群。
天晴れでした。工芸好きにはたまらない展示。
空間も広々していて、
水色の文様がケースのバックに張られているのも美しかった。
民芸陶芸家の河井寛次郎の「紫紅壺」が展示されていて
民芸作家でも皇室にご縁があったのかと驚く。
怒涛の第1章はまた次回に。
これだけでも実に見ごたえのある展覧会だと
お分かりいただけると思います。
他にも究極な素晴らしい工芸品が盛りだくさん。
日本美術は工芸だと実感したのでした。
次回は若冲、気合入れます。
写真を撮ったりで落ち着きませんでした。
次回は双眼鏡片手にゆっくりと眺めたいと思います。
でも混雑必死ですね。
不器用な私は音声もメモも取らず、
午後内覧は写真はだめだと思って、
カメラも使用せず、ひたすら眼力入れて見ていました。
あちこちで、若冲の絵が並んでいるようですね。あと何回行かれるか、楽しみです。
置物越しの絵画など、見方によっては色々なシーンを楽しめるのも良かったです。
>解説によると、この裏には酒井道一の四季花卉図が描かれているとか。
これは是非見たいですね!向きを変えていただけたりすれば嬉しいのですが…。
第1章版も楽しみです!
しかし内覧会に600人とか凄いことですね。
皇室の展覧会ですから皇族の方も会期中に見えるのでしょうね!
しかしこの展覧会、いつ行ったらよいものやら。
大きな展覧会が相次いで、なんか地味な美術館は忘れ去られますね。
僕もお気に入りの渋谷区松濤とか府中とか行く予定ないですね。
変則の2章から書く人って、アタシぐらいでしょうねぇ~笑
酒井道一の絵が見られるかと後ろに回ってみたけれど、真っ暗で残念でした。
実に芸の細かさと、技術に確かさと
皇室への尊敬が溢れていたと
実感したのでした。
一章版がんばりましたが、若冲は次回用にに穴あけしました。
本当にどこから効率よく色を塗りつぶすか
悩む芸術の秋です。
皇室の名宝展はそれはなかなか拝めないものばかりで、本物のお宝を拝見させていただいた。
そんな実感があります。
小さなところはそれなりに実績上げていると思いますけれどね。案外いい展覧していたりして・・・
最後に抱一の「十二ヶ月花鳥図」をみて、名残りを惜しんで会場をあとにしたいという思いがあったので。
でも、驚いたのは、第2章のほうでした。
東京国立博物館の本館の特集展示などで「帝室技芸員」は目にしていたのですが、質・量ともこれほどのものがあるとは!
2期のほうも、出品リストを見て、今からわくわくしています。
同志がいて、うれしゅうございます。
まったく帝室技芸員恐るべし、でしたね。
正倉院展の血脈は濃い、ってことでしょうか。
見る順番は力配分としてもこれが正解だったと思っているのでした。
そして、すぐにお邪魔した次第です。
陶芸を除いて、工芸ではかぶってる作品が多く嬉しい私です。
早速のコメント、ありがとうございます!
工芸の質の高さに驚愕ですね。
さぞ、パリ万博ではあちらの方々の眼を奪ったことだろうと実感できました。
富国強兵!行くべし!っていう気配と、
皇室への尊敬と光栄が満ち満ちていました。
同じものが好きって、嬉しいですね~