あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

向付 茶の湯を彩る食の器 ・五島美術館

2009-07-20 12:38:16 | 日本美術
上野毛の五島美術館の前に、
静嘉堂で中国の唐三彩を見たのだが、
これは後の出光に繋がる、良い鑑賞だった。

そして、その日のメイン展覧会、「向付」

茶碗のように主役になる存在ではないのだが、
茶会席(懐石)のなかで、唯一花のある器だ。
勿論その器に旬の美しい滋味なる食のお宝が存在するのだが。

こういう控えめな、裏方の存在に心惹かれる。

館内に入ると
受付の女性がにこやかに
お暑い中ようこそお出で下さいました。
と、ご挨拶。
こういう一言が言える受付はなかなかいらっしゃらないので
さすが茶人の美術館だと感じ入る。
ともかく暑い夏の太陽にまだ慣れていないから、
汗がだらだらと首もとを伝うので、しばし休憩。

ここの展示室は広くないけれど、
コンパクトで落ち着いた質の良いものを見せてくれるので、
大好きだ。
それにしても久しぶりの来館だ。
ジリジリ日が差しているので、
さすがに今日は庭園のお散歩はご遠慮した。

目録をみる。
根津、東博、MIHO、出光、徳川、
サントリー、福岡市、三井、湯木(吉兆~~!)
京博、楽、福岡・田中丸、福岡市、岐阜美濃陶磁
愛知陶磁・・・
そして、我が地元 石洞美術館からも!!

これは、茶器名器の実力美術館揃い!

中に入って、もう、キャ~すてき!!
状態で、困りました。

場内真ん中に天上からぶら下がる
展示品の「向付」プリント
ヒラヒラ大タペストリースクリーン。
これが良いのです。
同行のFさんと、ジロジロ、
この後、これはどうなるのかしらねぇ。
ヒソヒソ・・・

いちいち気になって仕方がありません。
やきものは、前の日の東博「染付」で
ガツ~~ンとやられれいるのに。

これはいい、あれもステキ、
こっちは凄い、あっちは渋い、
頭がまとまりません。

そういうわけで、
お気に入りだけをピックアップ。

出品目録の番号に基づいて
 2 黄瀬戸四方入角向付
   (きせとしほういりすみむこうづけ)
  
 3 黄瀬戸草花文菊鈕蓋向
   (きせとそうかもんきくつまみふたむこう)
 
 7 黄瀬戸胴〆向付
   (きせとどうじめむこうづけ)
   端正な形の多い黄瀬戸にはめずらしく、
   形を遊んでいる。

12 志野草花文四方筒向付
   (しのそうかもんしほうつつむこうづけ)

14 志野四方向付

17 総織部六角猪口(おうおりべろっかくちょく)

20 織部舟形向付

23 鳴海織部舟形向付
   (なるみおりべふながたむこうづけ)

25 赤織部瓢文向付
   (あかおりべひさごもんむこうづけ)

26 弥七田織部開扇向付
   (やしちだおりべかいせんむこうづけ)
   織部とは思えないほどの繊細さがある。
   こんなものもあるのかと、感動。     

27 弥七田織部高脚四方向付
   (やしちだおりべこうきゃくしほうむこうづけ)
   どこか異国情緒。おしゃれな雰囲気。
     
34 絵唐津蔓草文扇面口向付
   (えからつつるくさもんせんめんぐちむこうづけ)

37 高取掛分結文向付
   (たかとりかけわけむすびもんむこうづけ)

39 高取面取筒向付(たかとりめんとりつつむこうづけ)
   内ヶ磯窯うちがいそよう
   このような面取りの器が好きだ。
   シンプルで、番茶を飲んでもバッチリ合うはず。

44 乾山色絵菊図向付
   嬉しくなる、菊満開のお皿。
   乾山は使う人が嬉しくなる壺を心得ている。
  
48 乾山絵替筒向付(けんざんえがわりつつむこうづけ)
   これは初めて見た、すばらしい作品。
   今回、これが一番!!たまりません!!
   筒型の向付十口に、一つ一つ違う絵。
   笹、松、柳、梅、蕨などなど、
   見込みにも続き絵柄となっている。

54 道入青釉割山椒向付
   (どうにゅうあおぐすりわりざんしょうむこうづけ)
   楽家でも茶碗ばかりではなく、向付も作陶。
   ノンコウらしい、雰囲気はここにも溢れる。

66 白現川葡萄文割山椒形向付
   (しろうつつがわぶどうもんわりざんしょうがたむこうづけ)

68 古染付形替寄向付 虫獣六題
   (こそめつけかたがわりよせむこうづけ)

69 古染付形替寄向付 海の幸山の幸
   68、69のシリーズはわが地元の石洞美術館から。
   穴場の美術館で、やきものには相当うるさい。
   また時間を作っていかねばなるまい。
   今年は朝鮮やきものだ。   

75 古染付葡萄葉形向付
   (こそめつけぶどうはがたむこうづけ)

80 古染付蕎麦文筒向付

86 呉州染付一葉向付(ごすそめつけいちようむこうづけ)

93 天啓赤絵手付向付(てんけいあかえてつきむこうづけ)

あげていたら、きりがない。
しかし、まったくもって素敵なやきものの向付一群。
あちこちの名家から帰省してきたかのよう。

これらを眺めるだけというのは、
ずっと美味しいものをお預け状態にされた
ポチ公のようだ。

図録も詳細に色美しく紹介されているので、ゲット。

ため息交じりの優品ぞろいは、五島美術館の
なせる業、なのだろう。

大大満足。東博の「染付」とあわせて、最高。
戸栗も訪ねないわけには行かなくなってきた。
今年は、やきもの、工芸に日が当たるようだ。

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6 コメント

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Unknown (noel)
2009-07-21 08:14:35
楽しかったですね~ 茶碗とはまた別の見どころ満載でした。お腹が空いて困りましたが...(笑)
返信する
noel さま (あべまつ)
2009-07-21 22:34:25
こんばんは。

本当にワクワク楽しかったです!
そう、食い地との戦い、でもありましたね。
きんぴらとか、からすみとか、海老しんじょとか、がんもの煮付けとか、茄子の炒め煮とか、
タコとキュウリの酢の物とか、白和えとか・・・
延々とメニューを言ってた様な・・・
返信する
美味しそうですね (もか)
2009-07-23 11:02:33
こんにちは。
フライヤー裏面に並んでいた器が可愛くて、とても心惹かれました。
NHKアートシーンで少し見ましたけれど、展示も素敵でしたね♪
(昨年秋の更紗展でも、スクリーンが効果絶大でした)

↑のお二人のお話を伺い、美味しそうな展覧会なのも、よ~くわかりました。
返信する
もか さま (あべまつ)
2009-07-23 21:38:57
こんばんは。

向付、つまり、食器ですからねぇ、ついつい
何を入れて食べよう?になってしまいました。
洋食器に囲まれた毎日、時々全取っ替えしたくなります。骨董もちっとはあるんですが。
和食器応援隊になります!
更紗展のスクリ-ンもステキでしたね!!
あれも素敵な展覧でした。
返信する
Unknown (ごち)
2009-07-26 21:29:09
私は、大根の煮物を入れたいとずっと考えてました。乾山にします。
返信する
ごち さま (あべまつ)
2009-07-30 21:15:57
はじまして。
コメントありがとうございます。

大根の煮物も合いそうです。
こうしてお料理の出番を待つ向付の
役割は用の美の元祖ですね。
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