あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

九段坂 散歩

2007-02-26 15:33:25 | 遊山
九段坂の通りには、靖国神社を背にすると、千秋文庫、イタリア文化館、山種美術館、などが立ち並び、
その向こうには千鳥ヶ淵がある、文化香る、落ち着いた建物が並んでいる。

二松学舎大学の学舎も近代的な立派なビルディングになって、驚きだ。
その奥は、大妻女子大がある。
靖国通りに戻って、九段坂を下れば、古本屋街の神保町。

反対にもう少しお堀を巡れば、近代美術館、毎日新聞社などの竹橋にも通じる。
九段は、そんな学究の街でもあるのだ。

朝からの冷たい雨ではあったけれど、
昔からの落ち着きのある街は古いお家を見る楽しみもあり、
梅や、桃の木とも遭遇できた。

さて、まず私達が訪ねたのは、山種美術館。
千住 博展(点をとったのが正しいのだそうだ。

一連の滝シリーズの作がアメリカ、フィラデルフィアの松風荘に飾られるのだそうだ。
乳白色とグレーの2色で、どこから始まったのか、どこに落ちているのか
わからない、フィクションとしての滝。
しかし、滝壺に向かう水の勢い、飛沫の冷たさ、
無言ではあるけれど、ゴーゴーと鳴り続ける音も聞こえてきそうだ。
全てを取り去った、究極の滝。
エキセントリックな自然の川の変化。
神様となった滝、霊験あらたかなる滝、全てを飲み込む滝。

それにしても、一体どんな自然に囲まれて、松風荘の建物のどんな形でこの滝が
その生きる場所を得るのか、それを是非紹介して欲しかった。
小さく、松風荘の写真があったけれど。

他、カラーのピンスポットを当てられた、小品の滝シリーズ。
軸装の作品、現代的なビルの谷間のような絵、なども紹介されていた。

その後、千秋文庫も立ち寄りたかったけれど、
靖国神社参りがしたいと言う友人の願いもあったので、今回は、素通り。

神社では、社殿の奥におひな様が飾られ、残念ながら、お内裏様の様子は、
鴨居がじゃまして見えなかった。古流の花もいつも展示されている。

ますますの雨模様に致し方なく、雨宿りをかねてマックでランチとすることに。
かなり年配のおばさんが店内を担当しているのに、また驚く。
お品良く、昼寝しているビジネスマンに、お待ちの方もいますから、と、
席の移動を願っているも叶わず、私達の方が先にそこを出ることにした。

それからは、目に付くところの書店に入り、
物色道中。
かねてより若冲の拓版画のはがきを探しているので、便利堂に立ち寄ったけれど、
残念、作っていませんでした。

とあるところで、かの岡倉天心の頃より発行され続けている、
「國華」の古い本を安価で発見。
2冊手に入れる。
一冊は、宗達の「松風図屏風」の特集号。(昭和48年発行) 
もう一冊は、チコチン・コレクションなる浮世絵の特集本。(昭和54年発行)
またしても、浮世絵は、本当に海外のほうが熱が入っていたことがわかるのだ。

この中のお気に入り絵を額に入れて、リビングに飾っても楽しい。

またそぞろ歩いて、入ったところに、
武井武雄のすばらしい本と沢山めぐり合えた。
また、彼の本を入れる本箱まであって、
友人とうっとり。
本屋さんに願って、ケースを開けてもらって、手にとって、
パラパラすることも叶った。

本を装丁し、紙面に心をかけ、紙や、版画の色使い、すべてのデザインに
創作する楽しさがあふれているのだ。
簡単には買えない値段ではあるけれど、
でも、とんでもない値段でもないから、
気が変わって、亭主に秘密に買うことができたら、
幸せがやってくるだろうな~~~~なんてことを思っていた。

長野の武井武雄記念館に行ったら、手にすることは叶わないだろうから。

先に村山槐多のことを書いたが、彼の本は、一万円以上することを知り、
また、驚いた。
ブック○○にはない、偉人先人の足跡が
とんでもないところで見つけることができる、古本屋さんめぐり。
ぜひ、皆さんもお試しくださいまし~~

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10 コメント

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Unknown (一村雨)
2007-02-26 17:31:12
あのあたり、都会とは思えない静かさで、好きな場所です。
千住博展も、何だかなぁという意見もあるようですが、ぐるっと
パスの有効期限が切れないうちに、出かけようと思います。
山種美術館の通り(内堀通り)より、もう一本、市谷駅寄りの
通りに小川美術館(弥生画廊)というとても雰囲気のよい
美術館があります。
ちょうど今、有元利夫展が開催されています。
うれしいことに入場無料です~多分今年も。
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Unknown (遊行七恵)
2007-02-27 10:30:27
こんにちは
一村雨さんの仰る小川美術館はわたしも好きなところです。
高山辰雄なども過去に展覧会があり、静謐な雰囲気の作品を見ることが出来る場所です。

武井武雄!!大好きです。RRR。ラムラム王がいちばん好きですが他にも好きな作品たくさんあります。

神保町から飯田橋は好きなお店の多いところです。
九段小学校横の階段にはカニのオブジェの張り付いた壁もあり、なんとなく楽しいです。
返信する
九段坂界隈 (雪月花)
2007-02-27 13:23:53
こんにちは。九段坂あたり、わたしも好きです。山種美術館を出ますと、近くの「花田」といううつわのお店に寄り、うつわを眺めながらお薄とお菓子をいただくのがわたしの楽しみです。新聞屋さんが山種美術館の招待券をいつも分けてくれるので、いつも無料で入館しています。有難いことです。ひとりのときは、残りの一枚の招待券を美術館に来られる見ず知らずの人に差し上げてしまいます。
今年は、わが家の和室に千住博さんの絵のカレンダーを吊るしています。一~二月は滝シリーズのひとつで、先日春の嵐が激しい雨を降らせたとき、屋根をうつ雨の轟音と千住さんの滝の絵が一体になって、和室に居ますとなにやらリアルで怖かったです‥(笑
千鳥ヶ淵も、まもなく桜色に染まりますね。
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Unknown (oki)
2007-02-27 22:16:11
靖国にもいかれたのですか、遊就館には入られましたか?
書かれていないですがあの近くには昭和館という建物もあります、前者が軍人の視点なら後者は民衆の視点で昭和を眺めるー両方観てバランスをとりたいと思うのです。
イタリア文化会館はあの赤がまことに評判が悪いですねー。
もうすぐ春、桜の季節です、僕も山種の桜の展覧会チケットを新聞社に請求したところです。
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一村雨 さま (あべまつ)
2007-02-28 09:02:19
おはようございます。
何しろ、許された4時間を古本屋さんが大好きな友人といったものですから、あちこちは廻れず、残念でした。
でも、それなりに楽しめました。
小川美術館どんなところか、覗いてみたいです。
近頃は、美術館の雰囲気、環境もそうとう大事なポイントだなと思うようになりました。
山種は、九段という街にあるから、いいのだなぁとも。
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遊行 さま (あべまつ)
2007-02-28 09:09:27
小川美術館、今度行ってみます。
武井武雄は、一緒に行った友人のお姉さんから教わりました。
本を作ると言うより、一つの物語を芸術品にしてしまったような人ですね。それをしまう本箱まで、なんという美しい収納箱。
宗教すら感じられます。
絵を買うなら、本一冊ぐらい安い買い物かもしれません。

しかし、相変わらず、マニアックなところ、よくよくご存じで~~~
ブログは遊行記として、立派な本となっています。
今後が楽しみな方です♪
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雪月花 さま (あべまつ)
2007-02-28 09:20:57
九段は、昔、武道館にコンサートに行ったり、
九段会館は仕事で、九段病院は友人のお父さんが入院したところ、などなど色々つながりのある場所です。
街自体そんなに変化していないところも、いい感じです。

千住博さんの絵が何故か、窮屈そうに思えました。
もっと広々したところで、拝見したかったです。
それでも実際の絵を見る、それが出来て良かったです。
嵐の中の滝の絵、絵は色々に変化するものですね。
魔力が溢れていて、さぞ恐ろしかったことでしょう。
今年は、桜早いでしょうね。
なんだか喜んでばかりでいいのやら。
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oki さま (あべまつ)
2007-02-28 09:28:57
靖国神社は、社殿にお参りしただけなのです。
遊就館も、昭和記念館も横目でちらり。
亡くなった上司が昔の海軍で、江田島に行った人なので、
軍歌や、江田島の話はよく聞かされてきました。(笑)

イタリア文化会館の赤は、ちょっと落ち着いてきて、
そんなに目くじら立てるものなのかなぁと見てきました。
時々面白い展覧会やりますね。
今年、山種は40周年で、名品と会える機会に恵まれそうです。
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Unknown (遊行七恵)
2007-02-28 17:18:13
>江田島
海軍兵学校ですね、日本のミネアポリス!
数年前、近代建築撮影のために島へ行きましたよ。
すばらしい建物でした。
海上自衛隊の幹部候補生の学校ですね。
ときめくなぁ。

昭和記念館は昔の音源を捜すために出かけたりしました。

春になるとただでさえフラフラしてるのに、浮かれ心が更に煽られます。
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遊行 さま (あべまつ)
2007-02-28 22:10:22
江田島兵学校の写真やら、特攻に行く前に出した、母上宛の葉書とかも拝見しました。
ギリギリの世界にこそ、うっとりがあるだと、不謹慎なこと思ってました。
結構、その姿、りりしく、乙女は恋心あおられたでしょう。
私は、いまや弛緩しっぱなしで、いけません。
詰め込むと、血流悪くなり、昨日は寝込んでました。
反省しつつ、ぐるっとパスが恨めしく、
しかし、気になるのは・・・と思いをはせます。
あなた様もどうか御身御大切にあれと、老婆心忠告致します。
それが効かぬと知ってでござります。(笑)
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