去年の東京国立博物館最初の展覧会が、書の名宝だったような気がしつつ、
冬は墨と親しくなる季節でもあることを、息子のお書き初めに付き合って、
納得していた。
それでもあんまり正しい、というのは、近づきがたい。
でも、まぁ行ってみようと思った。
太田記念美術館は、なんだか性格が変わって、沢山の人々に囲まれていたから、
なんとなく、落ち着いたところを望んでいたのかも知れない。
地下鉄を降りて、地上に出ると、日比谷は静かだった。
こういう時はきっと良いことがある気がした。
誰も出光へのエレベーターに乗ってこない。
館内もいたって静寂。20人足らずといったところ。
ちょっと疲れていたので、先にお茶タイムとした。
ここは、お堀を眺望できる良いところに無料お茶コーナーがあるから、
超!!嬉しい。
一息ついて、会場に吸い込まれていった。
そこはかとない、お香の薫り。
1,書はデザイン?
2,動中の工夫
3,連ねる美、流れる旋律
4,見立てと飾り
この4つのテーマに沿って、時代を超えて、楽しい書が並んでいた。
嬉しくなった。
最初に拓本の書が並ぶ。
正しい楷書の字も当然あるけれど、デザイン化された字もあって、面白い。
題額の字が特に面白かった。北魏の高貞碑というもの。
あの恐ろしい、則天武后の拓本もある。
次は、動中の工夫というセクション。
かっこいい中の字と会う。
「動中工夫」という作品だが、真ん中に一本中の字がダンと書かれ、
真ん中の軸のサイドに文字が並んでいた。
棟方志功の襖の文字、「断」を思い出した。
雪月花文字画も驚き。
雪はひっくり返っているし、創意工夫が満載だ。
新しい作も楽しい。
草野心平の詩が「ゆき」が本当にしんしんとゆきふりつもる、になっていた。
詩と絵と文字の楽しいコラボレーション。
その後は、平安の古典から。
でも、とてもすばらしい書があった。
石山切 貴之集 下 藤原定家
作は小さい物なのに、表装もぴったりだし、何といっても紙の流れる川の黒と、
中巻きの水色がすばらしいコーディネイト。うっとりだ。
また、興味深い家康の念仏書があった。
一生懸命南無阿弥陀仏と書いている所々に、南無阿弥家康という箇所があるのだ。
オイオイ~
所々に絢爛な小袖が展示されていた。
鳥の文字がビッチリ金糸で刺繍されていたり、扇面であったり。
これは、衣装を収集した人による作で、いかにも衣桁にかけられているような図柄で、収集された着物をこんな風によみがえらせることも楽しいことだと思った。
最後のコーナーが一番面白かった。
見立てと飾りだ。
まずは、隆房卿艶詞絵巻。
松の木の風のようなうねりの中に、ひらかなが隠れている。
葦手絵という技法なのだそうだ。
こんなことをするのは、日本人ぐらいなのではないだろうか?
小林一茶のゆるくてかわいい作、朝顔画賛。
「朝顔の花でふきたる庵かな」の朝顔が脱力して軒先に咲いているように描かれ、
その下に蔓が絡んで下りているように、文字が連なっているのだ。
やられましたねぇ。
他にも、古九谷の暦草紙文のすばらしいデザインと、色にお目にかかったし、
酒井抱一の糸桜のお軸とおそろいの扇面。
福内鬼外図の富岡鉄斎も楽しい。
まだ色々楽しい物が沢山あったし、
こんなに書を見て、楽しいと思ったことがなかった。
出光さん、去年あたりから、すっごく楽しくなった。
鑑賞ポイントも適当に楽しく説明され、
初心者には嬉しい優しい言葉使い。
次回は、志野と織部だ。
これもまた、楽しみだなぁ。
今年もたっぷり沢山良い物見せて頂きましょう~~~。
終わりに、お茶室を拝見し、
また、お茶コーナーで、緑茶を頂いて、大満足して帰途についたのだった。
冬は墨と親しくなる季節でもあることを、息子のお書き初めに付き合って、
納得していた。
それでもあんまり正しい、というのは、近づきがたい。
でも、まぁ行ってみようと思った。
太田記念美術館は、なんだか性格が変わって、沢山の人々に囲まれていたから、
なんとなく、落ち着いたところを望んでいたのかも知れない。
地下鉄を降りて、地上に出ると、日比谷は静かだった。
こういう時はきっと良いことがある気がした。
誰も出光へのエレベーターに乗ってこない。
館内もいたって静寂。20人足らずといったところ。
ちょっと疲れていたので、先にお茶タイムとした。
ここは、お堀を眺望できる良いところに無料お茶コーナーがあるから、
超!!嬉しい。
一息ついて、会場に吸い込まれていった。
そこはかとない、お香の薫り。
1,書はデザイン?
2,動中の工夫
3,連ねる美、流れる旋律
4,見立てと飾り
この4つのテーマに沿って、時代を超えて、楽しい書が並んでいた。
嬉しくなった。
最初に拓本の書が並ぶ。
正しい楷書の字も当然あるけれど、デザイン化された字もあって、面白い。
題額の字が特に面白かった。北魏の高貞碑というもの。
あの恐ろしい、則天武后の拓本もある。
次は、動中の工夫というセクション。
かっこいい中の字と会う。
「動中工夫」という作品だが、真ん中に一本中の字がダンと書かれ、
真ん中の軸のサイドに文字が並んでいた。
棟方志功の襖の文字、「断」を思い出した。
雪月花文字画も驚き。
雪はひっくり返っているし、創意工夫が満載だ。
新しい作も楽しい。
草野心平の詩が「ゆき」が本当にしんしんとゆきふりつもる、になっていた。
詩と絵と文字の楽しいコラボレーション。
その後は、平安の古典から。
でも、とてもすばらしい書があった。
石山切 貴之集 下 藤原定家
作は小さい物なのに、表装もぴったりだし、何といっても紙の流れる川の黒と、
中巻きの水色がすばらしいコーディネイト。うっとりだ。
また、興味深い家康の念仏書があった。
一生懸命南無阿弥陀仏と書いている所々に、南無阿弥家康という箇所があるのだ。
オイオイ~
所々に絢爛な小袖が展示されていた。
鳥の文字がビッチリ金糸で刺繍されていたり、扇面であったり。
これは、衣装を収集した人による作で、いかにも衣桁にかけられているような図柄で、収集された着物をこんな風によみがえらせることも楽しいことだと思った。
最後のコーナーが一番面白かった。
見立てと飾りだ。
まずは、隆房卿艶詞絵巻。
松の木の風のようなうねりの中に、ひらかなが隠れている。
葦手絵という技法なのだそうだ。
こんなことをするのは、日本人ぐらいなのではないだろうか?
小林一茶のゆるくてかわいい作、朝顔画賛。
「朝顔の花でふきたる庵かな」の朝顔が脱力して軒先に咲いているように描かれ、
その下に蔓が絡んで下りているように、文字が連なっているのだ。
やられましたねぇ。
他にも、古九谷の暦草紙文のすばらしいデザインと、色にお目にかかったし、
酒井抱一の糸桜のお軸とおそろいの扇面。
福内鬼外図の富岡鉄斎も楽しい。
まだ色々楽しい物が沢山あったし、
こんなに書を見て、楽しいと思ったことがなかった。
出光さん、去年あたりから、すっごく楽しくなった。
鑑賞ポイントも適当に楽しく説明され、
初心者には嬉しい優しい言葉使い。
次回は、志野と織部だ。
これもまた、楽しみだなぁ。
今年もたっぷり沢山良い物見せて頂きましょう~~~。
終わりに、お茶室を拝見し、
また、お茶コーナーで、緑茶を頂いて、大満足して帰途についたのだった。
五島美術館でも書の展覧会やりまして五千円もするカタログ!販売していますが僕は書にあまり興味ないのでパスしてしまいました。
しかし出光は行かなければなりますまい。
その価値ありそうですね。
あとあべまつさんブログリンクさせていただいてよろしいでしょうか?
企画力、メディア経済効果と、維持存続力などなど、裏の意図もうすうす感じながら、その手には乗らないと思いつつ、はまっていく我が身を恥じたりするのも、楽しい鑑賞です。
ブログリンク、ありがとうです。こちらも早速入れさせて頂きました!ヨロシクお願い致します。
さっそくあべまつさんのレビューを拝見しました。出光の構成力に期待が高まります! 晩冬に書の世界にひたるひととき、わたしもほんとうに楽しみにしています。週末が待ち遠しいわ~
NHK大河ドラマ「風林火山」の題字を担当された書家をご存知でしょうか。栃木県出身の35歳の若手で国内外で活躍されている柿沼康二さんで、「書を現代アートに昇華させた」」と高い評価を得ていらっしゃいます。この方の書はドキドキしますよ~、ぜひご覧ください。(Webのギャラリーが改築中で残念なのですけれども‥)
「the Eternal Now ~柿沼康二公式Webサイト」
http://kojikakinuma.xsrv.jp/j/j_movie.html
追伸: 世田谷美術館の「富本憲吉」展がおすすめです。わたしは会期中にもう一度出かけたいと思っています。
今日の朝日新聞のコラムに柿沼氏のこと、載っていましたね。
現代の作家さんもすばらしい方が沢山いらっしゃいますから、もう少し今の人のことも目を向けてみたいと思っています。
富本憲吉の生まれた、奈良の安堵町記念館に行ったことが懐かしいです。世田谷には随分行っていないので、会期中に行かれたら、と願っています。
駅近じゃないので、つらいところです。
出光今年も楽しみな企画がありそうで、近いし、お気に入り美術館なのです。
あとカタログには載っていませんが吉田屋窯のお皿、暦見たいのが書いてあって面白かったし、「中務集」を「なかつかさ」とよむなどはじめてしりました。
次は「志野と織部」の展覧会ですね、僕は招待券をすでにゲットしているのであります。
あべまつさんもいろいろなルートで獲得されてください!
結構楽しめましたでしょ?
笑いながら書を見たのは、初体験でした。
志野と織部、ゲットされたのですか!!!
いいの、こちらは、割引券でもガマンして行く気でいます(笑)しかし、諦めたワケじゃありません!!