フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

教養クラスからの提案

2011-05-23 23:49:33 | today's seminar
 ここ数年、「コミュニケーションと社会」というタイトルで、言語景観、マニュアル言葉、携帯メール、など身近な話題で楽しい授業をしているが、今年はやはり楽しいだけではだめかなと思って「震災時に自治体はどんな情報提供ができるか」と題して3週にわたって学生たちとディスカッションをした。

 1週目はぼくから浦安市の情報提供を様子の紹介。2週目はディズニーランドのキャストをして震災に遭遇した学生の話と、今回の地震でつかわれたメディアからtwitter、facebookまでの新しい情報ソースについての考察、3週目は宮城と茨城で震災に遭った二人の話。情報を求める立場からすると、テレビはまったく役に立たなかったし、必要な情報が得られないことでほとんどすべての学生たちが一致していた。必要な情報は横のネットワーク(人づて、メール、twitterなど)から得られる。

 最後に、今後の対策として望ましい情報提供のありかたを少しあげてもらった。
*インターネット表示板のようなものをいろんなところで見られるように設置する。そして太陽電池などで自家電力でうごくようにする。
*市役所など、そこにいけば情報が得られるような拠点をつくっていく。
*人づての力を再構築する。自治体から自治会、そして住民へという上から下へのネットワークも、インターネットを補強するために、重要。(ただし、本当の危機のときにはこのネットワーク自体が消滅する恐れあり。茨城で被災した学生によると、その町では地震のあと、原発をおそれて多くの人がべつなところに避難して、1週間、もぬけの殻になってしまったとのこと)
 わりと現実的な感じだが、みんなが何かしら経験したことだけに、示唆的なものだろう。

 少し時間があまったので、ぼく自身、3月の間は原発や放射能については、知りたくないことに目をつぶって、大丈夫だろうと自分を欺く心理に陥っていたという話をした。情報は固定的なものではない。送り手がさまざまに工夫するように、受け手もまた意識的・無意識的に加工してしまう。

 さて、来週からまた楽しい授業に戻ることにしよう。
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