礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

一滴の朝露を味わって今を生きる(柏木隆法)

2015-11-22 05:10:20 | コラムと名言

◎一滴の朝露を味わって今を生きる(柏木隆法)

 本日も、柏木隆法さんの「隆法窟日乗」を紹介したい。九月一日の分で、通しナンバーは、534。文面から、活力・体力が極度に低下されていた際の「日乗」であることがわかる。

 隆法窟日乗(9月1日)
 本日からインターネットを始めることになった。拙にとっては65の手習い。これも時代の波には抗えない文明開化が拙にも及んできたということだ。さりとてこうなるとマックス〔中川剛マックス〕が先生、拙が生徒と立場が逆転する。拙の方が可愛い生徒であらねばならぬ。生徒といえば今日9月1日は一年の内で一番自殺が多い日だという。去年はこの日だけでも全国で131もの中学生が自殺したという。拙よりスマホやパソコンを使いこなせる知識がありながら無になってしまうことは勿体ない。拙がパソコンなんかに手を出したのは病気が悪化して調査なんかとても自分の脚では行けないことがわかっているからだ。拙のようなアナログ型のモノカキは早稲田鶴巻町や神田神保町を足繁く徘徊して古本屋を一軒一軒捜し、国会図書館ヘノートを持って通い、朝から閉館までメモをしっぱなし。いやはや交通費を多く遣った。インターネットをいじくっていたら修正なしのエロ動画が流れていたのには驚いた。こういうものも若者は見ているのだと感慨ひとしお。パソコンも使い方次第だが拙の名前を検索してみたら10頁も出てきた。因みにマックスは6頁。知人を片っ端から検索してみたら出るわ出るわ、それだけで楽しくなった。ここまで書いたところで急に立ち眩みが起き、書けなくなってしまった。暑さの疲れが出たようである。以下10日間ほど休筆する。拙の周辺では拙が養生次第で恢復すると思っている人がかなりいる。中には運動がたりないから早朝マラソンをやれとか青汁が効くとか無理なことを仰る。そもそも腎臓が悪いから絶対安静にしているものを医学的知識のない人からいらぬことをわざわざ云いにくる神経が判らない。拙の病気なんか如何に摂生して長く生きるかが当面の課題であって、いらぬおせっかいは迷惑である。ようやく筆を持つ気力が湧いてきたところで、茨木、栃木県一帯の洪水のニュース。生きたくても生きられなかった人々の事を考えると何ともいいようもない。自分が望んでいなくてもシリアの難民のように着のみ着のままで自国を逃げ出そうとする人々が50万人もいるという。ドイツのことを考えると積極的平和主義とは何であるかこんな病人でも考えざるを得ない。タイで爆弾テロをやった犯人は新彊ウイグル出身の27歳の青年だったという。中国共産党に屈しない新彊ウイグルの人々に同情の念を持っていたが、何故タイの通行人を狙ったのか拙にはわからない。ナロードニキのテロリストでも無差別殺人はやらなかった。テルアビブ空港の乱射事件からオウム事件、ニューヨー一クのセントラルビルヘの体当たり自爆テロのように拙はどうしても関係ない人を巻き込むテロは認めることはできない。秋口のコオロギのように自分の命が長くないことを知ってか、鳴く声は「生きたい生きたい」と鳴いているように聞こえる。若いころは死について観念的に考えても現実に自分が死ぬことは考えていなかった。今は寸暇を惜しんで少しでも長く生きることを考えるようになった。そして何事につけても「勿体ない」と考えるようになった。茶の湯は朝露の一滴を大切にすることだそうだ。拙も自然から与えられた一滴の朝露を味わいながら今を生きている。こんなことを考えるようになったのは東日本大震災で拙の親しい友人が2人まで難死してしまったことだ。1人はまだ死体も出てこない。これには拙も応えた。友人の死は家族親族よりも衝撃を受けた。それ以降、自分の死も考えるようになった。そして自分の限界を知るようになった。カメラー台を持って戦場を走った時も何も怖いことはなかったが、最近は血が流れることを恐れるようになった。若いころは疲れてフラフラになってもリポビタンの一本も飲んで寝ていればすぐに回復した。今は皇潤を飲んで蝮ドリンクを飲んでも一向に効き目はない。老いは薬効よりも体力をなくしている。精神的なショックはそれにも増して応える。どうも話が暗くなったからここで打ち切る。534

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