礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

初期における杉本つとむ氏の著作

2015-06-22 03:47:23 | コラムと名言

◎初期における杉本つとむ氏の著作

 杉本つとむ氏の『近代日本語』(紀伊國屋新書、一九六六)は、二〇〇冊を超える氏の著作の中でも、ごく初期に属するものと言える。杉本氏は、同書の「あとがき」において、「すでに数年前処女作として『近代日本語の成立』を世に問うて、……」と述べられている。
 また同書の奥付において、「著作者:杉本つとむ」は、次のように紹介されている。
 
 1927年横浜に生まれる。現在、早稲田大学文学部講師。著書:『近代日本語の成立』(桜社出版)、『にっぽん語の超克』(寧楽書房)、『日本語再発見』(社会思想社)、『現代語』(社会思想社)。

 いま、国立国会図書館のデータによって、杉本つとむ氏の初期の著作を確認してみよう。

『日本語再発見』〔現代教養文庫〕社会思想研究会出版部、一九六〇年
『近代日本語の成立――コトバと生活』桜楓社出版、一九六〇年
『にっぽん語の超克――その系譜と人間像』寧楽書房、一九六二年
『現代語――あなたがつかう言葉の秘密』〔現代教養文庫〕社会思想社、一九六三年
『近代日本語――歴史的所産としての言語』〔紀伊國屋新書〕紀伊國屋書店、一九六六年

 なお、『近代日本語』の「あとがき」の末尾を引用しておく。ここに、村上一郎(一九二〇~一九七五)の名前が出てくることに注意されたい。

 本書はすでに四年ほど前に紀伊國屋書店の村上一郎さんから交渉を受けたものである。私の外国生活一年余の空白から、ついのびのびとなり、担当も村上さんから矢島文夫さんにかわったが、やっとお約束を果すことができた。外国での生活は、外から見た祖国語、言語と民族とのかかわり合いの問題など本書執筆上プラスになった点もあろうと思う。読者こそもっともよき批評家であり、教師である。読書子のご批判を切に願って筆をおく。(一九六五・九・三〇)

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