◎初期の紀伊國屋新書
昨日、某書店の二冊一〇〇円のコーナーで、杉本つとむ著『近代日本語』(紀伊國屋新書、一九六六)を入手した。この本を手にして、初期の紀伊國屋新書は、パラフィン紙カバーの装丁であったことを思い出した(のちに、ビニールカバーがつくようになる)。
巻末、奥付の次ページに、「紀伊國屋新書既刊」というものがあった。本日は、これを紹介してみよう。
――――――――紀伊國屋新書既刊――――――――
世紀末芸術* 高階秀爾 新劇の誕生* 石沢秀二
英語・日本語* 空西哲郎 地域の科学* 笹田友三郎
少年非行 樋口幸吉 「喪失の世代」の文学* 石一郎
シベリアの歴史* 加藤九祚 新しい医学への道* 高橋晄正
人類の染色体* 牧野佐二郎 現代独占と経済成長* 安部一成
日本の象徴詩人* 窪田般弥 香料の歴史* 山田憲太郎
日本人のパーソナリテイ* ジュイムズ・ジョイス* 桶谷秀昭
世良正利 東京の自然史 貝塚爽平
市場調査* 中原勲平 トルコの歴史* 三橋冨治男
短詩型文学論* 岡井・金子 電子計算機* 小野勝章
ソヴェート教育紀行* 悔根悟 歴史のみかた* 茅野良男
娯楽映画* 福田定良 集団育児* 下出智子
海の物理学* 南日俊夫 オランウータンの島*
言語と文体 魚返善雄 岡野恒也
自殺* 中村一夫 映画学* 浅沼圭司
インドの説話* 岩本裕 都市デザイン 黒川紀章
毒矢の文化* 石川元助 サルトルとマルクス主義
アイスランド* 山室静 竹内芳郎
演技* 戸井田道三 アフリカの創世神話 阿部年晴
スモッグ* 伊東彊自 近代化と道徳 小川弘
進化学入門* 徳田御稔 ヨーロッパ美術紀行 坂崎乙郎
サルトルの文学 鈴木道彦 現代映画の起点 冨士田元彦
エイゼンシュテイン* 山田和夫 聴力と言語障害 神山五郎他
気象と人間* 姉山恵三 ビートジェネレーション
住宅建築 篠原一男 諏訪優
ペルシアの詩人* 蒲生礼一 慕末の社会史 工藤恭吉
芸術と疎外 杉山康彦 映像と言語 近藤耕人
占星術* 中山茂 近代中国史 蔵居良造
大衆文学* 尾崎秀樹 愛の思想史 伊藤勝彦
教育工学* 西本三十二 戦後詩 寺山修司
西本洋一 宇宙科学 福島直
労働の歴史* 三浦豊彦 ドラマトゥルギー 山内登美雄
中国のこども* 川合章 近代日本語 杉本つとむ
日本の子守唄* 松永伍一 日本の薬学 辰野高司
イスラム法入門* 遠峰四郎
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全篇定価300円 *印は250円
これらのうち、小川弘著『近代化と道徳』(一九六五)には、思い出がある。最初に買った紀伊國屋新書だったからである。地味なタイトルの本だが、内容はなかなかユニークだったように記憶する。この本によって私は、初めて、マックス・ウェーバーという思想家とその考え方に接したのであった。
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