礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

ビルマは恐るべき事実に直面しております(ウー・バー・モウ)

2023-07-28 01:36:13 | コラムと名言

◎ビルマは恐るべき事実に直面しております(ウー・バー・モウ)

 情報局編『アジアは一つなり』の、「二、各国代表の演説」の部から、「ビルマ国代表 内閣総理大臣ウー・バー・モウ閣下演説(訳)」の章を紹介している。本日は、その四回目。

  東亜生存のための戦ひ
 扨て〈サテ〉、次に大東亜戦争及び東亜的秩序に付て申し述べたいと存じます。実は此の点に付きましては、代表各位が既に述べられたる所に対し私より附加し得ることは殆んど無いのでありまするが、極めて概念的に申し上げて見たいと思ひます。我々にとつて今次の戦争は絶対絶命のものであります。東亜は此の戦争を勝ち抜き生き永らふるか、然らずんば戦ひ敗れ滅亡するの外なく、他に選ぶべき途は無いのであります。実に東亜と東亜民族にとつては生存其のものの為の戦〈タタカイ〉であり、将来千年に亘る独立、平和並に〈ナラビニ〉繁栄の為の戦であります。
 現実を勇敢に直視して見たら如何なる状態でありませうか。ビルマは現に恐るべき事実に直面して居ります。故に私も率直に申し述べて居るのでありますが、同時に私は茲に代表せらるゝ全東亜各国に代つて述べて居るものと信ずるものであります。若し東亜が一体となり、強力となり、自給自足の境地に到達するに於ては何事も成らざるはなく、十億の東亜民族が結束して立つときは、如何なる戦、如何なる平和をも克ち得る〈カチウル〉のであります。
 東亜の新秩序並に経済に関しては、既に申述べましたる通り、私は議長閣下の明瞭にして議論の余地なき御声明に対し深甚なる謝意を表するものであります。議長閣下は其の独自の勇邁〈ユウマイ〉と決断とを以て、其の根本原則は正義、互恵並に独立及び主権の相互尊重なるべきことを宣言せられましたが、右は誠に明瞭確固たる御言葉であり、東亜憲章、即ち東亜の新秩序の存する限り存続する憲章として、永遠に遺るでありませう。又、是等の諸原則に基礎を置く東亜の新秩序は、巌〈イワオ〉の如く、永久に揺ぐ〈ユラグ〉ことなく存続するでありませう。此の東亜の新世界は、其の安定の為必要とする物質的条件は既に之を具備して居ります。曩に〈サキニ〉申し述べました通り、自然は我等の新世界に対し物質的資源を惜みなく恵んで呉れて居ります。従つて、物質的には我等の世界を、敵に対し安定せる鞏固なるものと為す上に於て、何の欠くところも無いのであります。併しながら右を以て十分なりとは絶対に言ひ得ぬのでありまして、此の物質的結集に加ふるに、理解と寛容とに基き、個は全体の為にして全体は個の為なり、との根本意識を基礎とする精神的結集が無ければならないのであります。即ち、個々の国家主義と並んで、もつと広い意味に於ける国家主義が必要であり、個々の領域的天地と並んで、単一の東洋的天地を必要とするのであります。是は単なる感情乃至言葉ではなく、我々は絶対に之を完遂せねばならず、然らずんば我々は雄図の半〈ナカバ〉にして滅亡するの外は無いのであります。
 以上は現に我々の直面する問題に対する一般的の見解であります。代表各位が強調せられたるが如く、我々各国民は各独自の道を歩み、各〈オノオノ〉独自の軌道を運行し、各自に自彊の途を講ずるの要があり、先づ自国に於て各々善良なる国民たるの資格を備へ、延いて〈ヒイテ〉は善良なるアジア人、善良なる隣人たらざるべからざるのであります。今日迄に私が屡〻述べて居ります通りビルマ国の東亜に貢献する最善の途は強力なるビルマ国を建設することであります。ビルマ国の力は即ち東亜の力なのでありまして、此のことは亦中華民国、タイ国、満洲国及びフイリピン国、並に最後に等しく印度に付いても同様であります。而して東亜の力は是等各国、即ち自由にして平等なる彼等自身の世界に於て躍動し、活動し、且協力する是等各国の個々の力の結集せられたるものでなければならないのであります。
 以上申し述べました東亜の原則を現実に起りつゝある事態に適用して見たいと存じます。私の祖国ビルマ国に付いて述べますれば、御承知の通りビルマは実に大東亜戦争の第一線であります。といふことが如何なる困苦、如何なる恐怖を意味し、如何に柯1C多数の人命及び家庭が喪はれ〈ウシナワレ〉、今日生けるものが明日は既に此の世にあらざる状態を意味するものであることは各位の能く御承知の通りであります。既に申し述べましたる通り、ビルマ国が是等の惨禍に直面して居るのは自国の為のみではなく、全東亜の為であり、共同戦線の一部を防衛することに依り東亜の他の地域の防衛に当つて居るのであります。私はビルマ国が最後迄第一線を守り通すであらうことを確言するものでありますが、同時に私は他の大東亜各国が、現にビルマに行はれつゝある激戦は彼等自身の戦であり、此の戦は一体一家の原則の下に戦はれねばならず、且大東亜の総力を以て戦ひ抜かれねばならないものであることを銘記せられんことを望むものであります。我々は全東亜防衛の為、如何なる国、如何なる戦線に於ても運用し得る如く、全戦力及び全資源を結集せねばならないのでありまして、換言すれば東亜が一体なるが如く、其の努力、経済及び企画も一体でなければならず、而も物質的にも精神的にも一体であることを要するのであります。万一自己の為に孤立主義を採るものあらば、それは最大の裏切り行為と申すべく、我々を滅亡に導くものに外ならないのでありますが、何よりも先づ彼等孤立主義者自身が破滅に陥ることでありませう。繰返し申し述べますれば、ビルマは今後も東亜の第一線たるべく、我々はアジア人として、アジアの為に、此の戦争を戦ひ抜く決心を有して居ります。と同時に他の東亜各国も之に倣はれることを当然期待するものであります。【以下、次回】

※本日、朝8時前、初めてクマゼミの声を聞いた。

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