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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

縁談の儀、熟考の末、見合する事に相定め候

2014-01-30 07:04:14 | 日記

◎縁談の儀、熟考の末、見合する事に相定め候

 ここ数日、下村海南の「恐ろしいルビつき活字」という文章を紹介してきたが、本日は最終回。これで、全文を紹介したことになる。

 今度は反対に、同じ漢字がまた幾通りにも読まれることが少なくない。日本なら、ヒノモトでも、ニッポンでも、ニホンでも、いづれも日本の事だなとわかるが、次家のやうな漢字は、いづれに読まれるのかわからないことが多い。
 一通  イッツウ ヒトトウリ
 目下  モッカ  メシタ
 工夫  コウフ  クフウ
 変化  ヘンカ  ヘンゲ
 一切  イッサイ ヒトキレ
 間数  マカズ  ケンスウ
 一番  イチバン ヒトツガイ
 見物  ミモノ  ケンブツ
 初日  ハツヒ  ショニチ
 端物  タンモノ ハモノ
 口答  コウトウ クチゴタエ
 人体  ジンタイ ニンテイ
 仮名  カナ   カメイ
 空間  クウカン アキマ
 大家  タイカ  タイケ  オウヤ
 上手  カミテ  ジョウズ ウワテ
 身代  シンダイ ミガワリ ミノシロ
 たとへば、「御勧誘下され候縁談の儀熟考の末、見合する事に相定め候」といふと、ミアハセルことになつたのか、ミアヒすることになつたのかわからない。
 同じ神戸と記した漢字が、
 兵庫県では  コタベ  岐阜県では  ゴウド
 和歌山県では コウド  鳥取県では  カンド
 東京府では  カノト  三重県では  カンベ
 岡山県では  ジンゴ
といふやうに読み分けられる。これでは間違ひやすいのはカナばかりとは言へないのである。

コメント
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