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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

安重根本人は、鎌田弁護士の無罪論を否定

2014-01-25 05:53:50 | 日記

◎安重根本人は、鎌田弁護士の無罪論を否定

 昨日は、『安重根事件公判速記録』(初版)のうち、鎌田正治弁護士が、安重根無罪説を主張している部分を紹介した(原本、一三三~一三五ページ)。
 これに対して、安重根は、公判における最後の申し立てにおいて、次のような見解を表明している。原本の一七七ページから引用。原文は、句読点がついていないが、適宜、句読点を施しながら引用する。

(裁制長)大抵夫〈ソレ〉で好いだらうと思ふ。
(安重根)もう少しあります。それで私は、今申上げました通り、今度の事件は決して誤つてやつたのではありません。誤解してやつたのではありませんから、今日、伊藤公が対韓政策上に於て方向を誤つて居るといふことを、今日、日本の天皇陛下がしろしめしたならば、安は忠臣として嘉せらるゝ〈ヨミセラルル〉であらうと思ひます。伊藤公を殺した刺客として待遇せられないと云ふことを私は確信して居ります。日本の方針が改正せられて、日本の天皇陛下の思召しの通り、日韓両国のみならず、東洋の平和が何時々々〈イツイツ〉までも維持することを、私は希望致すのであります。尚ほ〈ナオ〉、申上げたいのは、二人の弁護士の説に依りますると、光武三年〔一八九九〕の清韓通商条約に依つて、韓国人は清国に於ける治外法権を有して居る。又清国は韓国に於て治外法権を有して居るから、韓国人が海外に於て罪を犯せば、何等の明文がないから無罪であると云ふ説でありましたが、これは甚だ其当を得ない説だと思ひます。今日の人間は、悉く法律の下に生活して居るのである。人を殺して何等の制裁が加へられないといふ訳がない。併し、私がさうすれば、私は個人的にやつたのでなく、義兵としてやつたのであるから、戦争に出て、捕虜となつて、こゝに来て居るものだと信じて居りますから、私の考へでは、私を処分するには、国際公法、万国公法に依て処分せられん事を希望致します。
(裁制長)もう申立つることはないか。
(安重根)何にもありません。

 安重根のいう「二人の弁護士」とは、鎌田正治弁護士と水野吉太郎弁護士のことである。両弁護士とも、安重根無罪説に立っていたが、水野弁護士のほうは、日本刑法の適用を前提に弁論を展開し、懲役三年の刑が妥当と結論づけた。

今日の名言 2014・2・25

◎人を殺して何等の制裁が加えられないという訳がない

 安重根が第五回公判(1910年2月12日)の申し立ての中で述べた言葉。上記コラム参照。

コメント (2)
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