礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

小野寺・ヘーゲル電話会談とその報道

2014-01-08 05:11:57 | 日記

◎小野寺・ヘーゲル電話会談とその報道

 今月五日の朝、NHKニュース番組を聞いていたところ、小野寺五典〈イツノリ〉防衛大臣とアメリカのヘーゲル国防長官が、電話で会談したというニュースが流れた。小野寺防衛相が、安倍首相の靖国参拝の真意は「不戦の誓い」だという説明をおこなったところ、ヘーゲル国防長官が「感謝の意」を表したというようなことを言っていた。
 短いニュースだったし、注意して聞いていたわけでもなかったが、ヘーゲル国防長官が小野寺防衛相の説明に「感謝の意」を表したと聞いて、そういうことがあるのかと首をかしげた。安倍首相は、参拝の直後(昨年一二月二六日)、参拝の理由について、すでに、「二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことがない時代をつくるとの誓いの決意をお伝えするために」と説明している。いわゆる「不戦の誓い」である。新年になって、ヘーゲル米国防長官が、小野寺防衛相を通して、この「不戦の誓い」という説明を聞いて納得し、かつ「感謝の意」を表するということがありうるのかと疑問に思ったのである。
 その後、少し気になって、新聞やインターネットで、ヘーゲル国防長官の「感謝の意」発言を確認しようとしたが、なかなか確認できなかった。ことによると、自分の聞き違えだったかと思いはじめたところで、天木直人氏が、そのホームページ「天木直人氏の視点―(2014/01/05)」で、次のように書いているのを発見した。少なくとも「聞き違え」ではなかったようだ。

 今朝1月5日のTBS(6時45分)がヘーゲル米国防長官と小野寺防衛大臣の電話会談を報じた。/今年に入ってはじめて報道される閣僚級の日米電話外交だ。/もちろん私の関心は、安倍首相の靖国参拝についてどのようなやり取りが交わされたかにある。/ところが真っ先に流されたのは普天間基地の辺野古移転に関し沖縄の負担軽減で日米が一致したということだ。/そして付け足したように靖国参拝について報じた。/すなわち小野寺防衛相から、安倍首相の真意はあくまでも不戦の誓いであって近隣諸国との関係悪化は望まないということだ、と説明して理解を求めたという。/これに対してヘーゲル長官はコメントしなかったという。/最後にTBSのニュースは、この電話会談はヘーゲル長官のほうからかけてきたものであると付け足した。
 どう考えても不自然だ。/なぜ米国のほうから沖縄負担軽減の話のために電話をかけてくる必要があるのか。/しかも靖国参拝の問題について小野寺防衛大臣が安倍首相の真意を説明したのに対し、ヘーゲル長官はコメントしなかったという。/ありえない話だ。/米国の立場を一言も伝えないなどということはありえない事だ。/そしてもし本当にコメントしなかったなら、それは、「まだそんな馬鹿なことを言っているのか」というあからさまな不快感の表明ではないのか。/どう考えてもこのTBSのニュースは疑問だらけだ。
 そう思っていたら、その直後に流れたNHKの朝7時のニュースでもこの電話会談を取り上げていた。/沖縄の負担軽減で一致したという事を最初に流したのはTBSと同じだ。/沖縄問題が目的と言わんばかりにTBSよりも詳しく報じた。/そして靖国参拝についてつけたしたが、ヘーゲル国防長官は日本の説明に感謝したと報じた。/コメントしなかったと報じたTBSと、感謝したと報じたNHKとの間でなぜ違いが生じるのか。
 それはこういうことだ。【以下略】

 天木直人氏の記事の全文は、氏のホームページをご参照いただきたい。それにしても、天木氏が、こうして、日々のニュースをチェックし、その背後にある「情報」を読みとろうとしていることに、敬意を表したい。なお、断っておくが、私はこの記事に示されている天木氏の解釈を、そのまま肯定しようとは思わないし、また、天木氏と問題意識を共有しているわけでもない。
 いずれにしてもこれは、近来まれに見る、深刻かつ重大な問題ではないかと思う。それだけに、この問題をマスコミが積極的に取り上げようとしないのが不思議(不気味)である。

コメント
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