この時期、こちらの山野を歩いてみても、花はまだ。
野山の春は、マンサクの花が最初に咲くものなのだが、もう少しというところらしい。
街なかの公園でのマンサクはもう咲いていたのだけれど。
花がないこんな時期の楽しみは、地面に近い方の赤い実。
ここでも何度か取り上げた、ヤブコウジの赤い実。
この実の赤さが、暗い空の下でも、心を明るくしてくれる。
葉は、1年じゅう濃い緑。
その背丈は、わずか10cmを超えるくらい。
だけど、これが「常緑小低木」、つまり木なのだということを初めて知ったときには驚いた。
落語話「寿限無」にも出てくる。
「やぶら小路のぶら小路」。
めでたい木だから、命名に添えられたのだが、そのめでたさは、
まことに丈夫で、春は若葉を生じ、夏は花咲き、秋は実を結び、冬は赤き色をそえて霜をしのぐ
というところから来ている。
そして、赤い実をつける縁起のいい木の仲間となっている。
よく庭や植木鉢に見かける、センリョウやマンリョウに加え、このヤブコウジも入るのだそうだ。
その縁起木を高い順に(?)並べると、こうなる。
万両(マンリョウ)、千両(センリョウ)、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドウシ)となるのだそうだ。
先日、散歩に出かけたところで、目ざとい娘が見つけたのがこのヤブコウジの実。
なんと、10個も赤い実をつけていた。
赤い実が10個もなっていたのだから、
これは、十両の10倍なので、10×10=100。
つまり、100倍のめでたさ、ということでよろしいでしょうかね!?