昨日から今日にかけて、関東方面での「大雪」のニュースがかけめぐった。
各局とも、いかに雪の影響が大きいかということを映像で見せていた。
東京で大雪、というニュースを聞くと、学生時代に聴いた曲で思い出すものがある。
1つは、「22歳の別れ」などのヒット曲があった「風」の曲。
伊勢正三が作詞・作曲した「そんな暮らしの中で」という曲の中の一節だ。
2センチ足らずの雪が
科学の街 東京を
一日でぬりかえる
その変わらぬ雪の色に
人は何を思うのだろう
変わりゆくこの日々に
寒さの中に
かくれているのは
暖かさなのだから
「2センチ足らずの雪が 科学の街 東京を 一日でぬりかえる」
というところに、雪になれていない人たちのバタバタする姿を感じたものだ。
実際に目の前で見ていて、新潟県人としては、この程度の雪であわてるなよ、こっけいじゃないか、と思ったものだった。
2つ目の曲は、古井戸の「大雪のあとで」という曲。
自分が初めて聴いたのは、エレックレコードから出ていた「第1回唄の市」というアルバムの中に入っていた曲だ。
まだ古井戸は、デビュー前だったらしいが、ここにはステージで歌った曲が2曲収録されている。
1曲目が「花言葉」という曲で、2曲目が「大雪のあとで」という曲になる。
ステージでは、「花言葉」を歌った後、詩の朗読があるのだ。
何という詩かはわからないが、加奈崎芳太郎が「花言葉」を歌った後、「大雪のあとで」に入る前に、仲井戸麗市が詩を朗読する。
これがまた、とてもよかったのだ。
若い頃、初めて聴いて、ジーンとしてしまった。
誰かさんとの一年間
百貨店の包装紙に走り書き
「アルゼンチン大使館前 午前6時30分 待合せ」
3時間半の待ちぼうけ
一方通行の分厚い手紙 30通
便りのないのは よい便り
でも 頼りないのは僕だったね
横須賀線 片道230円の切符を買って
北鎌倉駅下車 由比ガ浜で貝拾い
逗子までとぼとぼ歩き いつの間にか雪になる
手袋のない手で 精一杯の粉雪かき集め
ひと言ふた言ひとり言
30男に唾を吐き 40男に唾を吐き
大金持ち気取りの50男を横目で流し
二十歳でため息まじりのつぶやきひとつ
「私とあなたはこれからもお友達でいようよ」
冗談じゃねえよ
誰かさんとの一年間
百貨店の包装紙に走り書き
一週間我慢して 我慢しきれなくなった8日目の朝
408-7937へ 408-7937へ
居留守 居留守
「アルゼンチン大使館前 午前6時30分 待合せ」
10本100円で摘んできた人工お花畑の花束抱えて
あさって君に会えますか
あさって君に会えますか
会ってさよならが言えますか
詩の後ろでに流れる「さよなら さよなら」のくり返しが切なさをつのらせていき、ギターのソロが寂しく響く。
そして、2曲目の「大雪のあとで」が始まる。
十年ぶりの大雪が積もって
僕の体はすっぽりと埋もれた
…
アルバムでは、感動的な2曲が終わると、万雷の拍手が起こっていたのが収録されていた。
東京方面が「大雪」と聞くと、今でもこの古井戸の曲を思い出してしまう。
ちょっと検索してみたら、YOUTUBEでこの曲がアップされているのを知った。
あまりいい録音状態とは言えないが、関心のある人は、「花言葉」、詩の朗読、「大雪のあとで」ひっくるめて聴いてほしいな。
私は、レコードで持っていたのだが、10年余り前、ブックオフでCD化された「唄の市」が安売りされていたのを見かけて、思わずこれも購入してしまった。
さて、大雪のあとで、実際に怖いのは冷え込んで路上にとけた雪が凍って滑ることだ。
どうか、そちら方面の皆様、お気をつけくださいね。