3104丁目の哀愁と感傷の記録

日々生きてます。自分なりに。感じた事を徒然に書きます。素直に。そんな人間の記録。
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蝦夷周遊記 10 ―羅臼と公道の果て編―

2017-02-05 11:05:49 | 
20160817

書き続けている北海道旅行記。
これまで多数の旅行記を書いてきたが、一回の旅行記でここまで長くなってしまったのは初めて。
今回で10編にまで及んだ。

さあ、では7日目スタート。

久しぶりに味わう宿での睡眠を満喫し、この日は羅臼方面に足を延ばしてみることにした。
天気はまた微妙… あいにくの雨…
当然だ。北海道に台風が接近しているのである。

ここ知床半島で楽しみにしていたものは二つある。

① 知床半島のクルージング

② 知床五胡の探索

この二つはやってみたかった。

しかし、クルーズ会社に電話してみても波が高すぎて欠航とのこと。
加えて、知床五胡に向かう道も天候のため封鎖されていた。

この二つは明日に賭ける。

この二つが今日できないとわかり、羅臼方面にドライブ。

昨日訪れた知床峠をスルーして羅臼方面に到着。まず訪れたのは知床国立公園羅臼ビジターセンター。

で、思いの他ここが面白くて、ついつい長居してしまった。
知床の自然に関する映像が上映されていて、時間もぴったりだったから見た。
そのほかにもここビジターセンターの中に展示されているシャチの骨格の標本に関する歴史や、人のちょっとした間違った行動から起こった悲劇の熊の話など、全て実話で非常に興味深い。

なかでも俺が一番印象に残ったのは、“知床の森に入る人必見です”と書かれた、ヒグマとの歩き方クイズ。
最初はあまり深い考えもなく、明日は知床の森にはいるし、見てみるかと思い、挑戦してみた。

結果は‥

なんと俺は“あまりに身勝手です”と診断されてしまった。

詳しい内容は忘れてしまったが、確かクイズの内容は、知床の森でヒグマに出くわしてしまったらどうするかという選択問題だったと思う。
確か選択肢は
1、おーい、などと声を掛けながら近づく
2、死んだふりをする
3、背を向けてダッシュで逃げる
4、ソーセージなどのエサを投げ、それに気をとられている隙に逃げる

とかだったと記憶している。

俺は単純に、どうしたら一番安全に逃げられるかということだけを考え、4番を選択したのである。
そしてこの選択肢が最も人間として身勝手な行動なのだということを知る羽目になる。

先にも書いたが、4番を選んだあなた、かなり身勝手ですとの診断が下った。

確かにその場を逃げることだけを考えたならば、ソーセージを放り、餌に気を取られている隙に逃げるというのは有効となりえるのかもしれない。
しかし、その餌を食べたヒグマのギアはどんどん悪い方に狂っていってしまう。
ソーセージは美味しい。ここで食べた人間の味を覚えてしまう。
そしておいしい人間の味を覚えてしまったヒグマは人間がそのおいしいものを持っていたということを記憶する。
そしてまた人間に会えばおいしいものをもっているかもしれないという行動に結びついてしまう。

つまり自ら人を襲うことがなかったヒグマが、その行動のせいで積極的に自ら人に接近してしまうヒグマを作ってしまうのだ。
こうなってしまった危険なヒグマの行きつく先は駆除しかない。
自分は助かるかもしれないが、ほかの観光客、地元の人間、さらにはそのヒグマ自身を危険な目にあわす可能性をはらんだ選択。

先に書いた小熊の実話もまさにその行動だった。
親子のヒグマが偶然、山間の小学校に降りてきた。
そこで興味がてら人間の食べ物を与えてしまった。

そこからはその小熊は頻繁に餌を求め、人里に下りてくるようになってしまった。

そしてある日、その小熊はどうどうと小学校の敷地内で何かを食べていたのである。
市の職員がもうこれは無理だと判断し、その小熊を射殺したのである。

彼らからしたら普段通り、山でいつも通りの生活を送っていただけなのかもしれない。
しかし、人間の行動が彼らを害獣にした。

そんな後先を考えない行動が彼らを危険な害獣にしているのだなと、ふと出会ってやってみたクイズに教わるとは思わなかった。

そして意外かもしれないが、このクイズで世界は1番である。

基本的には先のようなことがない限り、積極的に人を襲ってくることはない。
ヒグマも何より人間のことを警戒している。
こちらが人間だ、人間がここにいるぞということを彼らに示すことが何よりも有効とのこと。
だから、会ってしまってからのことよりも、会わないようにこちらが人間だということを、つまりは音などを出しながら行動するのが何よりも大切とのことだ。
まあ、2と3は一瞬でやばいだろとわかるけど。
3なんか、彼らが野性で持っている狩猟本能を呼び覚ましてしまいそうだ。

大いに勉強して羅臼ビジターセンターを後にする。間欠泉が近くになったので、これも見に行く。

そして羅臼市街へ。

まず立ち寄ったのは羅臼の道の駅、“知床・らうす”

天気の悪かったのもあり、ここでのショッピングを大いに楽しんだ。
あ、もちろん道の駅ピンズも購入。
お土産を買いあさる。やはり羅臼と言えば有名なのは昆布だろう。
昆布茶の試飲がめちゃめちゃ美味くて、何杯も飲んでしまった。もちろんお土産にも買った。
今日の宿で飲む知床限定のビールもここで購入。ホタテチップやウニを練りこんだホタテのかまぼこなど、おいしそうなものばかり。
本格的な魚はそのまま配送もしていくれる。

そしてそのままショッピングを終え、道の駅の食堂で昼ごはん。
羅臼と言えば昆布と書いた。
やはりここは昆布にちなんだ何かを食べたい。
なんて考えていると、羅臼昆布塩ラーメンを発見。即決。

これがうまい。具は昆布、とろろ昆布、ホタテ、海苔。
麺が緑色をしており、麺の中に昆布が練りこまれている。さっぱりとしていてうまい。

その後は天気の悪い中羅臼の有名どころを回ってみた。

まずは有名な“クジラの見える丘公園”へ。

高台に上り、海を眺める。
クジラどころか真っ白で何も見えなかった。

その後、奥さんと二人で、どうせここまで来たんだから、行けるところまで、最果てまで行ってみようということになった。

公道87号線を行けるところまで北上する。

その道中で最初に目に留まったのはセセキの滝。
天気の悪いせいか水量がものすごく、ド迫力であった。

この辺りまで来ると、もうほとんど車は通らない。
海側も生活の色はほとんどなくなり、漁師の家と思われる建物が点在する程度。
そして左側は知床の森がすぐそばまで迫ってきている。目を凝らせば動物が動いているのが見えそうである。

その辺に車を停め、普通に道路の真ん中まで出てきて写真撮ったりして遊んでた。車が全く通らないからね。

途中、相泊温泉なるものを発見。
下に降りてみる。

これがまた何ともワイルドな露天風呂であった。
屋久島の平内海中温泉をいい勝負である。

後になって調べたのだが、知床には何ともワイルドな温泉がたくさんある。
ぜひまた来たい。そして今度は天気のせいで堪能できなかった景色を見て、ワイルドな温泉を巡る旅をしたいと思う。

海岸線ぎりぎりに小さい掘っ立て小屋のようなものがあり、それが温泉。
男湯をのぞいてみると、確かにお風呂があった。
男湯と女湯の敷居は一枚の板があるだけ。面白かったのは男湯の方から海岸線で女湯の方に行くことができるため、“この先女湯、男子立ち入り禁止”との注意書きがあった。
ああ、いつかこのワイルドすぎる露天風呂を味わってみたい。

そしてその後もひたすら北上。
カーナビでは公道の果てが見えてみる。地図上で道路が消えるその先へ。一般人が立ち入れる最果てへ。


そして到着。

ここが知床半島の公道の果てか。
ここから先は地元の漁師しか立ち入ることのできない場所。つまりは観光客が行くことのできる最果て。
ちょっとした広場のようになっていた。羅臼遊漁船専用駐車場とある。
ここはちょっとした駐車場のようになっており、その先はまさに海。この場所で行動は尽きている。
建物が一つあったが、これは地元の漁師のものだろう。

看板が一つ立っており、“ここから先へ行かれる方へ”と書かれている。

読んでみると、要するに、ここから先はすべて自己責任だということ。
ここから先は整備された山道は一切なく、連絡手段もない、厳しい自然に対処できる高度な技術と体力が必要なになる、加えてヒグマも生息している、といった注意事項が。なるほど、ここから先は本格的な装備をした人以外は立ち入ってはいけない場所のようだ。

“ここから先道がありません”という看板を記念撮影し、帰路へ。

帰り道の途中、セセキ温泉を発見。
先ほどの相泊温泉と負けなうくらいのワイルドさ。てか普通に波が湯船に入ってきてたし。

ちょいと急ぎ目に戻る。
我々は五時には羅臼を出てウトロ方面に行かなくてはならなかったのだ。
なぜならばこの後すぐに台風がここ羅臼を直撃するという予報が出ており、後日談だが、なんと実際に警報が発令され、避難勧告が出ていた。
道が封鎖されてウトロに戻れない可能性も十分にあり得る。

来た国道87号線を飛ばして、道の駅・らうすに戻ってくる。
地図を見ると、羅臼国後展望台という場所を発見。

この羅臼最後の旅にここへ向かう。

急こう配の細い道を車で上がっていく。
そして展望台から下を眺める。

びっくりする位見事に真っ白で何も見えなった。当たり前だよ。

羅臼で見た景色がこれが最後ってのも笑えたけど、これで羅臼を後にする。グッバイ、羅臼。また来るよ、いつか。

で、また峠越え。

この時の道はびっくりする位、視界が悪く、真っ白。数メートル先も霧で何も言えない。
風も強く、軽い車体が吹っ飛ばされそうになる。この時の運転は怖かったね。けど、その真っ白な道を記念にムービーに撮っている余裕はあったけど。


何とか峠を越え、無事にウトロ側に到着。
知床自然センターへ立ち寄る。ここはウトロ側から知床峠に向かう途中にある。

視界真っ白の運転に疲れたため、ちょっと休憩したかったのと、明日は晴れると信じていたため、室内系は今日のうちに行っておいた方がいいと考え、立ち寄った。

すると、この日一番の朗報が。
なんとここからフレぺの滝までの林道が開いたとのこと。ということはここからフレぺの滝まで行くことができる!
思いがけない朗報に一気に心躍る。
善は急げだ。早急に準備を進める。

レインコートを被り、長靴をレンタルし、いざフレぺの滝目指して出発。
ちなみにここはヒグマの出現率が高いことで有名な場所。

この知床自然センターから林道を20分ほど歩いた場所にある。

雨はさほどでもないが、なんせ風が強い。足元はぐちゃぐちゃだがの悪路を20分歩いて…

到着。


この景色は絶景。

吸い込まれそうになる。
滝自体は全然大きくないが、その周りの崖が壮大。知床についてから一番心打たれた景色だった。
流石知床八景。
このフレぺの滝が俺の中の第一位かな。

帰り道に林道を歩いていると、何匹かのシカが道を飛び出してきて横断していったり、じっとこっちを見ていたり。
あれがヒグマではなくてよかったと心から思う。

長靴を返却し、センター内を少しうろつき、ウトロへと帰る。


そしてこの北海道旅行最後の道の駅、“うとろ・シリエトク”へ。
本当にこのたびは道の駅に助けられた。
このウトロの道の駅ではクマよけの鈴を購入。明日に備える。
あと知床流氷サイダーというサイダーもおいしそうで購入。ついついこういうものを買ってしまう。○○限定に非常に弱い。
あ、もちろん道の駅ピンズも購入したのは言うまでもないか。

この道の駅うとろ・シリエトクの隣には知床世界遺産センターが併設されていた。
世界遺産マニアの俺としてはここは訪れなければならない場所である。

世界遺産センターは大きなパネルに特大の写真が掲載せており、迫力があった。
“最後の秘境 知床半島 先端部”とある。明日、ここに行くことができるのだろうか…
秘境のルールを熟読しておいた。
知床のビジターセンターは必ず、熊との共存の仕方、熊にあった時の対処法がある。

車でサイダーを飲む。普通のサイダーだったが、美味しかった。

いるかホテルに戻って荷物を置く。この辺から車から降りるだけでもびしょびしょになるくらいの暴風雨になってきた。
台風が直撃しているのだ。


そんな中、慎重に車を運転しながら夕飯へ。
近くの定食屋へ。
ここで食べた鮭のチャンチャン焼きはマジでおいしかったが、なんせ風の音がすごすぎる。
しかも、看板が風で飛ばされて、とんでもない音を立てたのに、店員の若いにいちゃんは超呑気で、“あらあら”といった具合に片付けに行くのに笑えた。
しかし、ニュースを見ると笑えない映像が。
つい先ほどまでいた羅臼が、大雨警報と津波警報により、避難警告が発令されたとのニュースが。
マジで戻ってこれてよかった。

チャンチャン焼きを食べ終え、吹っ飛ばされそうになりながら車を運転しているかホテルへ。
この時の運転は一番怖かった。本当に車が風で揺れた。

宿で、羅臼で買った地ビール三種類を頂く。
一緒に買ったホタテチップもとてもおいしかった。

酒飲んでる時も、寝る時も、風の音と、雨が叩きつける音がすごすぎた。


本当に明日は大丈夫なのだろうか…


というわけで7日目終了。

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