打劇王(広島市西区)に通いだしたのは、老眼でも屋内バッティングセンターで速い球をとらえられることが分かったからだ。以前試した屋内施設は暗く、ゆるい球でも全くかすりもせず大恥をかいた。最近の施設ではバッター側からの光照射(十分ではないが)で白球が見える。
私は最も速い球を満身の力を込めて打つので、当初はチップが多く、相当球を破損させた。バットにはゴムがべったりついて灰色になり、打っている際はゴムの焼ける臭いが漂った。何とか芯をとらえようと素人ながらフォームを改善し、月間ホームラン数で3位に入ったりするようになった。
4月頃、何の間違いか6本で月間ホームラン王になるや、年間累計で前年度のホームラン王に追いつき、追い抜いたのだ。それでも、年間ホームラン王はとても考えられなかった。抜き返されるだろうし、打劇王の利用者はレベルが高く、上手な選手が狙い撃ちに徹すれば量産の可能性もある。
以前はプロ野球を目指した中学生が年間50本ぐらい打ったらしい(大阪では何と300本という話もある)。中学生の父親は熱心で力が入ると携帯を壊すので数台をごみ箱に捨て、成績が悪いと「朝までにホームランを打て」と言い残して帰り、中学生は帰宅中に補導されたことも有ったらしい。
私にとっての救いは、荒れ球だろう。どのマシンも球がぶれるし、変化球(目の前で落ちる)が混じる。劣化した球が混じっているせいだ。何が来るかわからないから、選手でさえ手を焼き、量産を妨げる。おかげで素人にもチャンスがある。
トップには立ったが、パタっとホームランが出なくなった。月間1本が数か月あり、秋に追いつかれ抜かれてしまった。父親の指導で練習している選手らしい。抜くスピードが速かったので、2本差がついた時は「とても追いつけない」と店員に言った。ホームラン王は降って湧いた話だが未練はあった。
私のバッティングはワイルドそのもの。店員には「壁に穴をあける」と宣言し、バシバシ壁に打ち込んだ。店は半分本気にしたらしく網を張ってしまった。また、若い人がしばしば横に来て、「これがバッティングだ」というのを見せつけた。低い球を見事に振り切ってライナーが飛んで行く。凄いなと思うが、芯をとらえるのは続いても3球までかな。
私のように135~200球を連続フルスイングはできない(しない?)。25球打っては漫画を読んだり、ゲームしたり。年齢で言うと6分の1から半分ぐらいの若者が私にはついてこれない。打ち負けた印象は無いが、一度、中学生が右側で前のほうに構え、きれいなスイングできれいに打ち続けた時は、目に入るので焦った。
みなさんどう見ても現役か元選手という打撃フォーム、レベルが違う。しかし、そんなことを意識していたら打てるわけがない。
年間ホームラン王争いは12月までもつれ込んだ。一度は2本まで差をつけられ、もうダメかと諦めていたが、逆に抜き返し2本だったか差をつけた。ところが、11月末の2日間ぐらいで並ばれてしまった。驚いた。
正直なところ、一時期はホームランが欲しくて小さな的を狙った時も有った。力を抜き、機械のように同じフォームで振る。忍耐を強いられ、楽しいはずもない。また元どうりフルスイングを心掛けた。ただ、的の高さには球を上げる必要があり、振り方はやや工夫した。
自慢はSSKの最も長く重いバット(取り寄せ)。最も速い球(140キロ)を最も長く重いバットでフルスイングしているわけだ。(それでも硬式バットより僅かに軽い)視力のハンディキャップは大きいが、その他にも色々ハンディキャップがある。
左手には安い手袋をつけることにした。握力に問題ないが、素手ではバットのグリップが短期間で破れる。足の位置、バットの構え方は色々変えている。左足を上げるのはやめた。私の技術では体の動きがバットのブレに繋がる。
12月で2本の差をつけ、29日頃だったか3本差にした時は行けたかもしれないと思った。私よりレベルの高い人ばかりだが、皆さん私の無茶苦茶なバッティングを見て、やってられないと競争を諦めたかもしれない。1月1日、私の年間ホームラン王が確定した。年齢を考えたら、年間ホームラン王などとれる筈もないので嬉しかった。
店長から小さなトロフィーを差し上げますと言われ、5000円を足すから大きなのにして欲しいと申しあえたところ、受け取れないと断られた。カタログから好きなのを選ぶ事になり(大盤振る舞い?)、高さ70㎝ぐらいのもあったが、25cmぐらいのオリンピックで貰う様なデザインを選んだ。2月中旬にできる予定だったトロフィーを早めの月末に受け取った。
累計は24本で、因みに市内の別の打劇王では15本程度だった筈で、広島市内の打劇王2店舗でチャンピオンという訳だ。しかし、前年度チャンピオンは36本で、12月には確か12本打っている。今年度は?私でもチャンピオンなのでみなさん張り切っている。ま、本来のストレス解消を続けたい。