小野義広教諭は奥様の退院などで夜行バスに乗り金沢から帰る途中だった。小矢部川SAの直前でバスは左側ガードレールに2回接触し、最前列左にいた小野教諭は安全ベルトをはずし、小幡運転手に駆け寄り「起きろ、運転を代れ」と声をかけた 。
しかし、わずか10秒ぐらいの事で、間に合わず、トラックに衝突、小野教諭は車外に投げ出され致命傷を負った模様である。
入院していた奥様が家族を連れ、現場を訪れ、小野教諭が倒れていたあたりで、「痛かったでしょう」と泣きながら語り掛けた。声をあげた切実な訴えかけで、思わず涙が出てしまう。
バス事故が多発し、ルールも改正されたが、今回もまた痛ましい事故となった。11連続勤務とはいえ、運転手2人交代制。問題は小幡運転手が無呼吸症候群で、体の異常だったか。例えば、睡魔が襲い、無呼吸で失神したかもしれない。
小野教諭はとっさに動き声をかけた。大変勇気ある立派な行為であったことを大前提に、何がベストだったか考えた。大変幸いなことに我々は冷静に事件を検証し、シミュレーションできる。
最も難題は運転手がシートベルトをしている事。65~70kgの体重?でハンドルにうつぶせになっている上にシートベルトがかかっているので、簡単には運転席を入れ換われない。
金沢高校ウェイトリフティングの顧問だった小野教諭でも簡単ではなかっただろう。
この緊急事態の優先順位は方向とアクセル解放&ブレーキだ。まずはハンドルが動く範囲で左に切り、ガードレールと接触させ、出来るだけ速度を落とす。
次に運転手の脚がアクセルに乗っている可能性が有る。運転手には大変申し訳ないが、すぐさま、シートベルトの解除ボタンを押し、腕を掴んで運転席から引き吊り落とす。ディーゼルなので多少エンジンブレーキがかかる。
運転席に座ってブレーキをかけるなんて、口で言うは簡単だが、スーパーマンでなければできる早業ではない。震える手でハンドルを操作し、危険な衝突を避けるのが精一杯だろう。
アメリカでは乗客がバスをコントロールして危機を回避したニュースが有った。変な話だが今後も起こり得るトラブルなので、テレビで何ができるか、何をすべきか検証してみたらどうだろうか。
少しでも、今後の事故を防ぐことが出来れば小野教諭も喜んでいただけるに違いない。
追記:最初にこの事故をニュースで知った時、昔、高速で何度か居眠りしかかった事を思いだした。ほんの一瞬、0.3秒ぐらいか睡眠に入りかけて、慌てて起きたことが3回ぐらいは有ったように思う。
今こうして生きているのも単に運が良かっただけかもしれない。とても他人ごとには思えない。兎に角、連続で走る時は、1時間に1回程度休憩をとる事を今後も心がけよう。
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