ソビエトとの冷戦末期、アメリカにとって対峙しているソビエトよりは、経済でアメリカに挑戦しアメリカを買占めていた日本の方が脅威だった。当時、私はそのように考えていたが、証拠も無かった。ところが、最近、その考えを裏付けるような情報がぼちぼち出てきている(後日報告)。
ベルリンの壁崩壊は確かに西ドイツの努力が大きかった。一方、私の考えでは、アメリカも対日で冷戦を早く終了させたかった。そのころ日本は高度成長を続け、多くの分野でアメリカに勝ちつつあった。日本人はアメリカを見下し、カードで借金を重ね破たんするアメリカ人を嘲笑していた。
当時の雑誌(例えば週刊現代やポスト)が有れば、読まれることをお勧めする。表紙には経済戦争の文字が躍り、記事は日本が経済戦争でアメリカに勝利していると伝えた。エズラ・ヴォーゲルの「ジャパンアズNO1」が発表されると日本は一気に湧いた。
私はNO1には懐疑的だった、何故ならアメリカは軍隊を世界に展開し、その負担は巨額で日本とは比べ物にならなかった。また、優秀な人材が多数所属しているに違いなかった。後に、ジャパンアズNO1は日本に負けるな、アメリカは奮起せよとの意図だったことが分かった。
冷戦終了と共に、アメリカは世界的な経済ルールを変えてくる。悉く、日本にとって不利な条件だったと考えて良い。例えばそれは銀行(経済成長の源泉)のBIS規制(自己資本比率規制=8%以上)だ。世界の10大銀行が全て日本の10大銀行であった状況は様変わりした。
世界の工場を日本から中国に移され、為替は円高にシフト、友好的なノウハウ提供は無くなった。
戦略的に大きかったのは、クリントン政権下でCIA(NSAを含む)を経済政策に組み込んだことだ。ここから、アメリカは経済を軍事戦略の中で動かし始める。一方、日米の状況を分析して、上手に戦略的に取り込んだのは中国だった。
冷戦崩壊でCIAは業務が激減したが、アメリカの経済発展のための情報収集や分析に利用され、軍事戦略に経済が取り込まれたのだ。アメリカの仲間はイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの旧英連邦だった。
要は、アメリカは、日本の躍進で非戦時下における経済の威力を認識し、アメリカに挑戦していた日本に対して、軍事目的のCIAを経済政策に組み込み、本気で叩きに来たのだ。勿論、その本音は決してオープンにしない、表面化しない。知らぬは日本なり。
CIA・NSAの主な情報入手の対象は日本だった。CIAのネットワークは日本政府内に張り巡らされ、首相の考えやスケジュールなどは丸裸にされた。NSAにより有力企業の情報も、電話、FAX、メールなどを通して詳細が分かっていた。中国諜報機関も政府内などアメリカに次ぐネットワークを持っていると推定される。
日本の商社は世界中に日の丸の旗を立て、情報を入手し、製品を売り込んでいた。ところが、賄賂性のビジネスを見破られ、介入され(表には出ない)、ビジネスが旧英連邦側にシフトされた。かくして、旧英連邦は1990年代に大発展を遂げた。
現在でも、日本企業はカルテルなどが摘発され膨大な賠償を求められている。情報が筒抜けだから当たり前だし、アメリカに有利な判決も出せる。日本企業はいつまで経っても気づかない。
重要なのはアメリカが経済を軍事戦略の重要な手段として動かしており、日本にはそもそも戦略を形成する素地も無い事。アメリカは国家の発展・利益のため、盗聴でも、戦争でも何でもやる。政府と民間のベクトルもそろっている。日本の官僚は、国家の発展は表向きで、既得権や組織を維持拡大する事が最優先。
アメリカ政府は日本の官僚と折り合っている。アメリカ政府はアメリカの発展・利益獲得に日本を利用し、官僚は自らの既得権や組織を維持拡大すれば良いのだからぶつからない。官僚(課長クラス以上)はアメリカ政府高官から直接 依頼を受けると無条件でイエスを3回ぐらい繰り返す。
官僚も高邁な理想を掲げ、日本の発展を目指していたが、知識集団ではあっても課題解決集団ではなく、CIAを含むアメリカ政府に敗れ、方向転換したのではないか。
官僚は重要なところで嘘を混ぜてくるのと(嘘作文では120点が取れる)、実績の無いテーマ・難しいテーマでは棚上げ・先送り・封印し、自分達も何が事実か分からなくなる状況では戦略が成り立たない。
日本は政府と民間が共有するビジョンも無く、ベクトルがばらばら。戦略的なアメリカや中国に比べて日本はとても発展形とは言えない。
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