「道で倒れて石を掴んだら、その石がどのような商売になるか考えろ」と私が朝礼で檄を飛ばしていたのを聞いて驚いたとある人に言われ、当時の事を想い出した。「必死の素人は玄人に勝てる」とも喋った。必死の素人・・と同じような文言は住友商事でも使われたそうだ。
私の下に来たプロパーの人達にとってはえらい迷惑だったに違いない。「電力会社の子会社だから楽できると思い、入社したらやはりそうだった」と聞いたが、当てが外れたかもしれない。それでも私よりは遥かに楽だっただろう。
私はM乳業の現場課長に呼び出され罵倒されるなんて事も有った。2千万円の装置なのに、目的を満たさずチャンスロスが出たから2億円弁償しろと言われる。私が提案したメカニズムが変わっていた。一緒に来るべき製造責任の部下は最後まで来ず、一人で罵倒されっぱなし。
帰社後、装置は吊り下げて搬出、当初の構造に戻した改造機を入れ、何とか目的を果たす。2億円の弁償は知恵を絞り、手を打って1円も払わなくて良いようにした。古巣(電力)復帰後、M乳業さんが頭を下げ追加購入したと聞いた。
ピザ、グラタンの表面だけを焼きたい場合、ガスでやると①焼きムラが出来る(バーナー劣化など:品質)、②装置周りが50℃を超える灼熱地獄になり煤塵で満たされる(作業環境)、③処理速度が2倍ぐらいかかる(経済性とスペース)、④プラスティックの皿を熱で痛めてしまう(不良品)・・という問題が有る。
いずれも深刻な問題になるが、我々が開発した焼き目つけ装置は希望に近い焼き目が付けられる(マスキングと高度な電気制御)。処理速度が2倍になると計算してみればわかるが莫大な利益を生む。設置スペースを半分にする手も有る。
ガス焼き工場は夏になると暑いので作業員が窓を開けて、ハエがどんどん中に入る。我々が設置した工場では冷房を入れたところも有った。しかも処理速度が速いので、一見高そうに思える電気だが逆に安い。品質良し、経済的、作業環境良し・・だった。
全部が成功した訳ではなく、例えばロボットによる猟銃台座彫刻で精度目標は満たしたのに、「ブレは片方だけなら許容できるが、両方ブレるのは許容できない」と返品されたケースが有る。言われた通り製造して一部払われなかったケースも有った。
まさか私も代金取立てで苦労するとは思わなかったが、1か月ぐらい通って頭を下げながら厳しい交渉をしたり、ある時は係長を通常業務から外し毎日顧客交渉に行ってもらった。
しんどかった話はたくさん有り、例えば私は親会社に戻る前、部長だったが、実質的な人事権は無かった。部下を昇進させようと思っても、プロパーの人事部長から「上司(プロパー)に相談しましたか?」と聞かれる。上司とは意見が一致せず通らない。
権限は無かったが責任は大変重かった。と言うのも電力系の会社だからミスが許されない。従って、営業、開発、製造、据え付け、メンテナンス、お金の取り立て、トラブル処理の実質的責任を全部取らなければならなかった。
部下は全員プロパー、上司もプロパーとなると、日常的に情報はバイパスされている。しかも中立的なプロパーはいても味方はいないと言っても良かった。親会社の人間の情報は一晩にして全社に流れていた。取り分け私の情報は多かったし、良い情報とは思えない。
上司は自分の思い通りに管理したいが、営業では顧客優先でタイムリーな対応を要する場合が多く、十分お応えできない。社長への報告も頻繁に有ったので時間が取れない。私は迷惑をかけないから現場判断は任せて欲しいと伝えていたが、大変ご不満が有ったようだ。
普通、出向者は仕事の奥深くまでは入らない。私の場合は、売り上げと利益のために、遠慮できないから、ハラワタを掻き回していると言われた。
続く
私の下に来たプロパーの人達にとってはえらい迷惑だったに違いない。「電力会社の子会社だから楽できると思い、入社したらやはりそうだった」と聞いたが、当てが外れたかもしれない。それでも私よりは遥かに楽だっただろう。
私はM乳業の現場課長に呼び出され罵倒されるなんて事も有った。2千万円の装置なのに、目的を満たさずチャンスロスが出たから2億円弁償しろと言われる。私が提案したメカニズムが変わっていた。一緒に来るべき製造責任の部下は最後まで来ず、一人で罵倒されっぱなし。
帰社後、装置は吊り下げて搬出、当初の構造に戻した改造機を入れ、何とか目的を果たす。2億円の弁償は知恵を絞り、手を打って1円も払わなくて良いようにした。古巣(電力)復帰後、M乳業さんが頭を下げ追加購入したと聞いた。
ピザ、グラタンの表面だけを焼きたい場合、ガスでやると①焼きムラが出来る(バーナー劣化など:品質)、②装置周りが50℃を超える灼熱地獄になり煤塵で満たされる(作業環境)、③処理速度が2倍ぐらいかかる(経済性とスペース)、④プラスティックの皿を熱で痛めてしまう(不良品)・・という問題が有る。
いずれも深刻な問題になるが、我々が開発した焼き目つけ装置は希望に近い焼き目が付けられる(マスキングと高度な電気制御)。処理速度が2倍になると計算してみればわかるが莫大な利益を生む。設置スペースを半分にする手も有る。
ガス焼き工場は夏になると暑いので作業員が窓を開けて、ハエがどんどん中に入る。我々が設置した工場では冷房を入れたところも有った。しかも処理速度が速いので、一見高そうに思える電気だが逆に安い。品質良し、経済的、作業環境良し・・だった。
全部が成功した訳ではなく、例えばロボットによる猟銃台座彫刻で精度目標は満たしたのに、「ブレは片方だけなら許容できるが、両方ブレるのは許容できない」と返品されたケースが有る。言われた通り製造して一部払われなかったケースも有った。
まさか私も代金取立てで苦労するとは思わなかったが、1か月ぐらい通って頭を下げながら厳しい交渉をしたり、ある時は係長を通常業務から外し毎日顧客交渉に行ってもらった。
しんどかった話はたくさん有り、例えば私は親会社に戻る前、部長だったが、実質的な人事権は無かった。部下を昇進させようと思っても、プロパーの人事部長から「上司(プロパー)に相談しましたか?」と聞かれる。上司とは意見が一致せず通らない。
権限は無かったが責任は大変重かった。と言うのも電力系の会社だからミスが許されない。従って、営業、開発、製造、据え付け、メンテナンス、お金の取り立て、トラブル処理の実質的責任を全部取らなければならなかった。
部下は全員プロパー、上司もプロパーとなると、日常的に情報はバイパスされている。しかも中立的なプロパーはいても味方はいないと言っても良かった。親会社の人間の情報は一晩にして全社に流れていた。取り分け私の情報は多かったし、良い情報とは思えない。
上司は自分の思い通りに管理したいが、営業では顧客優先でタイムリーな対応を要する場合が多く、十分お応えできない。社長への報告も頻繁に有ったので時間が取れない。私は迷惑をかけないから現場判断は任せて欲しいと伝えていたが、大変ご不満が有ったようだ。
普通、出向者は仕事の奥深くまでは入らない。私の場合は、売り上げと利益のために、遠慮できないから、ハラワタを掻き回していると言われた。
続く
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