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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

安倍内閣に突き刺さる北朝鮮問題

2007年07月16日 13時35分53秒 | 思考空間

 今年2月の6カ国協議で合意した核放棄の「初期段階措置」として、韓国が提供する重油の第1陣約6200トン(総量約5万トン)が北朝鮮へ14日到着。これを受け、北朝鮮は平安北道の寧辺にある核施設の稼働を停止した。今月18日には北京で6カ国協議首席代表会合が開催予定だがこれに先立ち、北朝鮮は日米に対して、敵視政策などの転換を要求している。既に北朝鮮は原爆に必要なプルトニウムを確保した上で原子炉を止め、次のステップに進める条件として、拉致問題などの取り下げ、重油提供など大幅な譲歩を引き出そうとしているのである。

 小泉前首相の2回にわたる超ウルトラ級・北朝鮮訪問による拉致家族受け取り作戦は大きな成果を収めた。解放されたジェンキンス氏と夫人である曽我ひとみさんとのキスシーンは多くの日本人に感動と安堵とを与えた。しかし、その後の小泉前首相の北朝鮮訪問は無く、拉致問題は進展を見せていない。安倍首相は元々拉致家族への積極的な取り組みで、国民の熱い支持を得て、小泉首相からバトンタッチしているが、北朝鮮に対しては終始一貫して対決姿勢をとっている。

 北朝鮮の謝罪と拉致家族の返還は、そもそも小泉前首相が金正日(キム・ジョンイル)総書記に敬意を示し、訪朝することで実現している。2回のキャッチボールが功を奏した。ところが安倍外交は、北朝鮮の非人道性を非難し、経済制裁を科してきた。かっこいいし、強硬な対決姿勢に対して拉致家族をはじめ国民は安倍首相を支持してきたが、安倍首相は状況や先を読んでいない。中国は6カ国協議の議長国ながら、裏で北朝鮮を支えている。アメリカはそれを十分承知した上で黙認している。中国にとって、「ならず者」北朝鮮の存在はアメリカに頭を下げさせるための重要なカードだ。日本が経済制裁を加えるごとに、北朝鮮と中国は接近し、依存度は高まるし、片や制裁の効果は限定的だ。

 安倍首相は拉致問題の解決無しに北朝鮮への支援は無いと、繰り返し宣言しているにも拘らず、原子炉停止に伴い日本は北朝鮮からだけでなく、同盟国アメリカからも拉致家族問題の取り下げと重油支援を要求される。ブッシュ大統領は支持率が30%を割り込み、何としても北朝鮮問題の成果が欲しい。中国は当然北朝鮮の言い分を全面的に支持し、うっかりすると日本は孤立し、他の5カ国から集中砲火を浴びる可能性がある。国内でも核の脅威と拉致問題とどちらが大切なのかという議論は沸き起こる。

 現実的な対応として、日本は拉致問題取り下げへの要求をかわす為に重油の援助に踏み切らざるを得ないだろう。ここで、またしても安倍首相のブレが生じる。安倍首相は北朝鮮に対して対決姿勢を取る前に、落とし所のシミュレーションを実施すべきだった。情報収集と分析、専門家の判断に基づき、日本にとって良いケース、悪いケースなど3つのシミュレーションを行い、どのようなケースでも解決策を見いだせるような手を打つべきだった。強固な一本勝負の対決姿勢が解決を困難にしている。今となっては、譲歩に譲歩を重ねるしか手が残されていないように見えるが、いかがなものか。

 小泉前首相はピンポイントとは言え、発展のための改革を断行しようとしてきた。そのため、彼が首相に立候補した時宣言したように、直接意図したものではないにせよ自民党をぶっ壊してきた。実は、日本の発展とは結果的に、従来の支配構造である、自民党や官僚組織などを壊すことと同一である。安倍首相は同じレールを走っているように見せながら、実は自民党を中心とした、支配構造を堅持したいと考えている。つまり、小泉前首相と安倍首相では、ピンポイントでも発展を目指すのか、発展を目指すフリで古い自民党を維持するのかで全く異なる。

 日本にはその歴史的な社会構造(既得権維持管理社会)から、国家レベルで戦略のかけらさえもないことは何度も伝えてきたが、それにしても気持・思いつき・勢いだけで何でも実現しようとする官僚やお坊ちゃん首相のお粗末さは、日本政府が発展とは縁の遠い所にいることを実感させられる。

追記 安倍首相が貫いてきた北朝鮮との対決姿勢のその延長線上には軍事的衝突しかない。何故なら、中国は北朝鮮を支え続け、日本の経済制裁の効果も限定的であり、解決しない。彼にとってそれが狙いなのかもしれない。かつてアメリカはソビエトとの対決姿勢を維持し冷戦時代が続いた。この間、アメリカとソビエトは軍備拡張を競った。対決姿勢が効果を生むのは圧倒的に軍事力が勝る場合だ。彼は自衛隊の軍事力増強を図っているのかもしれない。


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