賄賂で日本が決定的なダメージを受けたのは、クリントン大統領時代、CIAなどが日本商社の賄賂ビジネスをかぎつけ、商社が受注した相手方に賄賂の事実を掴んだと伝えて上で、悉くアメリカ企業の取引に切り替え指せて事だ。それはそれは膨大なビジネスがアメリカや旧英連邦に移ったのだ。
クリントン大統領は、冷戦構造崩壊で不要の長物と化したCIAを経済政策に組み入れた。CIAは特に日本の電話などの盗聴に力を入れた。例えば、日本商社が後進国の大統領に賄賂を渡していた場合、アメリカから賄賂の事実を突きつけられた大統領は動揺し、アメリカ側の指示する企業にビジネスを振り替えざるを得なくなる。
バブル崩壊後、V字回復するとみられた日本が長らく低迷した裏にはこのような、表に出せない事実が有った。当然、日本商社や日本企業は泣き寝入りせざるを得なかった。1990年代、アメリカや旧英連邦は経済的に大発展したのだった。
まだ、入社したての頃、お役所の仕事を受注するには賄賂が必要なことを同僚(父親が工事業者をしている)から聞いた。そんな情報は親類からも入る。お役所だけじゃない、電力会社や大手ゼネコンなども賄賂の世界。
私が研究所設備の購入を担当すると、届けられた贈り物で部屋に山が出来た。賄賂の話も出るし、調査に出張すれば業者が同行し、切符代だけでなく飲み食いを全部払おうとする。
業者から切符代を払ってもらい、会社からも出張旅費を貰ったと、皆の前で嬉しそうに喋っていた同僚もいた。超有名大学のご出身でそこそこご出世なさった。
私は自腹で全部送り返した。現金は書留で送った。結構な負担になるので、総務課長に送料をお願いしたら、きょとんとして返事が無かった。頂いたものを送り返すなどという習慣は無いのだ。当時は100%潔癖だったが、その後、決定権限の無い業務でのおつきあいでは奢ったり奢られたりのおつきあいをするようになった。
ある時、中部電力のトップが現金を受け取ったことで検挙されたが、その巧妙な手口は以前から聞いていたので、成程と思った。例えば、社長の自宅へある業者が美術品を届ける。壺であったり、絵画であったり。その後、美術品の業者が訪れて、高額で購入し現金を渡すのだ。
この方法だと金の流れがぷっつり切れるので、国税や警察の追求が難しくなるのであろう。かくして、全国の電力会社トップには商社などから大金が流れていた。ごちそうさん体質は日本全国に蔓延している。
相撲とか興行とか上席に座っている人物を全部調べたら面白いよ。高級官僚や地方公務員幹部の家族などがぞろぞろ出てくるだろう。一般庶民が予約しようにも良い場所はそういう賄賂系の接待で全部おさえられている。
日本は官僚や事務屋を中心に嘘天国である。嘘は極めて重要なテクニックなのだ。すぐばれる嘘では困る。たくさんのどうでもよい事実に、巧妙に「ばれない嘘」を交える。例えば、その嘘で各省の官僚は財務省を騙して予算をとる。騙して予算取りする奴が偉くなる。何故なら、官僚の世界では結果を問われない。責任を問われない。取った者勝ち。
民間でも電力会社は官僚と同様、騙した者勝ち。官僚の世界より凄いのは、株式会社でありながら、巨額の金をだまし取ることが大出世になること。実際に巨額の予算を使いながら大失敗したにも拘らず責任者二人が常務以上に大出世した。一方ではとるに足らない僅かな失敗で飛ばされてしまう。
日本は相手が有る交渉は苦手だ。国内では官僚が権力を握って平伏させ無理を通してしまう。企業も一度市場を握った大手が官僚や政治家と組み新規参入を抑え込み田舎のビジネスを通してしまう。
国内では敵無しで官僚も大手企業も嘘が当たり前の世界が形成されていた。海外に対しては商社が賄賂で受注を勝ち取っていたが、それが通用しなくなった。円高に振れてしまうと日本の強みは消滅してしまっていた。
中国や韓国は日本の分析を十分実施した上で、戦略を練り、日本を圧縮させることでみずからのエリアを拡大させ発展させてきた。日本は、日本人は官僚から始まって間違いを認めず反省が無い。中国や韓国の分析が出来ていない。当たり前の議論が通らない。そのことを実は自治会で若い世代に接し、DNAに深く刻まれているのを確認した。
若い世代に日本を任せて、大丈夫とか、発展が望めるなんてありえない。都合のよいロボット、流れに逆らわず落下するモーメントをも助長する無力集団。ここはマジョリティー世代が年金で左団扇などとボケる前にやることがたくさんある。