時事通信によれば1950年5月の中国の外交文書(中国政府が作成した「対日講和条約における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」)で、尖閣諸島と日本名で明記した上で尖閣諸島が琉球の一部と認めていた。これまでの中国の主張(魚釣島は台湾に属する)と異なる。尖閣諸島を台湾に帰属させるべきではないかとの検討がなされていた。
また、中国共産党の機関紙「人民日報」が1953年1月8日の資料記事で「尖閣諸島」の名称を掲載していた。過去の中国の地図集でも、尖閣諸島と中国の間に国境線が引かれている。中国がこの上ない「いかさま国家」であることが分かる。
これに対して、中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)副報道局長は12月27日の定例会見で、「状況は把握していないが、釣魚島が中国の固有の領土だという原則を強調したい」と述べた。
明らかに中国側は動揺し、動揺を隠すため穏やかな反論に留めた。何故なら、自国で発行した書類だから容易に見つけ、確認したに違いない。もし、時事通信情報などに間違いかあるいは内容を誤魔化せるものなら、あからさまに声高々に非難したであろうが、それができないことが今回の事実関係を物語っている。
これらの資料が中国以外、例えばアメリカやヨーロッパにある場合、中国が尖閣諸島を自国の魚釣島と主張することの正当性が色あせる。国際世論を敵に回すことになりかねない。しかし、中国がこんなもので方向転換するはずがない。
中国は南沙諸島向けに1500トンクラスの大型監視船を増強したようであるが、中国の軍事力を背景とした領土強奪計画を粉砕するため、日本も巡視船の増強を急がなければならない。
領海侵犯のプロペラ機に対しても単なるスクランブルだけでなく、ミサイルの照準をロックし撃墜の練習を実施するなど、臨戦態勢で対応すべきだろう。中国は日本の監視体制の穴を見つけ、情報を収集し、世界の反応を見ている。だから、何度でも侵犯する。
中国は必ず尖閣諸島に上陸し、奪いに来る。それが明日か明後日かはわからない。必ず来る。その先兵は大量の漁船を引き連れ、漁民に成りすました中国軍だろう。
今年4月、台風を利用してフィリピンのスカボロー礁周辺の海域に中国の海洋監視船が常駐することとなり実効支配を続けているし、昨年6月には、中国軍艦艇がベトナムの漁船を銃撃し、追い散らし、また海洋監視船はベトナムの石油探査船の調査用ケーブルを切断している。
中国軍が中国漁民の保護を理由に尖閣諸島に上陸した場合、日本としてはなす術がない。ひとえにアメリカ軍がどう動くかにかかる。相当緊迫した状況になるし、返還は保証されない。中国は強引に居座るだろう。
これを防ぐには、海上保安庁や自衛隊が多少の強硬措置を採ることはやむを得ない。許容されるべき。更なる困難を招くよりはましだ。