選挙前には維新の会のマイナスになるような記述は避けてきた。ただ、ブレや理解を得にくい動きが勢いを削ぎ、当初目標の半分の54議席に至ったことは、今後のことも考えて反省すべきことだ。反省は戦略上重要で、日本には存在し難いが、これなくしては目的達成できない。橋下に反省が無いように感じられ、そこは気になる。
一つ目は橋下が大飯原発の再稼働反対の立場をとっていたのに容認に変わった。保守系からの働きかけが有ったのだろう。私個人は安全性確認も条件で原発再稼働容認だが、代表の立場で一度口にしたことは簡単には変更すべきではない。しまったと思っても原発反対を貫けばよかった。
どうしても方向転換したい場合、例えば、謝罪するとか、公開の場で徹底的な討論を実施し、再稼働の重要性の意見を尊重して方向を変えるなどの芝居は必要だ。
少なくとも、大飯原発の再稼働に関して容認の姿勢さえ取らなければ、滋賀県知事嘉田由紀子の反発を招くことは無く、未来の結党も無かった。未来の党へ小沢グループが入り、有権者から見ると、維新の会も対象となる第三局(勝手にマスコミが十羽ひとからげで総称させた)の全体が分かりにくくなった。
二つ目は、何故みんなの党と合併しなかったかだ。目標や理念は一致する点が多い。強いて違いを探せば原発の方針か。この二つの党が合併すれば、1+1=5 ぐらいの効果が期待できた。みんなの党の渡辺氏は純粋に官僚改革しようとしている。彼を副代表として全国を回らせ、橋下の代弁もさせれば、相当のパワーになった。少なくとも渡辺はぶれないので、ブレを表面化させることも無かった。
三つ目、石原慎太郎との合併は、やむを得なかったのかもしれないが、例えばみんなの党との合併後に選挙協力ぐらいにしておけば、良かった。水と油の組み合わせと見られ、マスコミの批判の的となった。橋下に焦りが有り、石原の誘いに乗ったと見るべき。また、石原代表が不機嫌に質問者を罵倒するなどは女性有権者には かなり不評だった。ダメージを与えたのだ。
維新の会とみんなの党が完全に政策を一致させて合併し、その後に石原慎太郎の率いる党と選挙協力に持ち込めば、有権者の印象は高くなり、ごたごたも回避できた。渡辺をはじめみんなの党は一途に官僚改革を進めようとしており、実現の可能性も高くなる。従って、今回の選挙では上々の場合150議席ぐらい《1+1=5の計算では (54+18)×5/(1+1)=149》、悪くとも100議席ぐらいにはなっていたと考える。
今回明らかに得をしたのは立ち上がれ日本だろう。党の存続が危ぶまれていたが、微風とは言え維新の会の風に乗って、メンバーが楽々と当選を果たした。
最後に維新の会は何故国民の要望を重点的に取り上げないのか?調査結果は新聞などで調査され発表されている。国民の要望は圧倒的に経済であり、次に年金だ。私は戦略研究家だから官僚改革の重要性は十分理解できるが、有権者にとって身近で優先度の高い課題を取り上げ、解決しないと支持を得にくい。猛省して欲しい。
維新の会は批判を浴びることになるが、それでも期待感は強い。じっくり立て直すチャンスはまだまだある。全く論外な民主党とは根本的に異なる。