今年の大学ラグビーは久々に早稲田が勝つかと期待してNHK中継を見た。準決勝の明治戦で圧勝したのがちょっと気がかりだった。いざ始まってみると、予想以上に帝京は早稲田を圧倒していた。帝京は強いし、うまいし、したたかで、早稲田には明治戦で見せた勢いはなかった。17対12で負けたの意外と思える完敗だった。
帝京は70%近く球を支配し、スクラムで早稲田を圧倒する。ラインでもたびたび相手の球をとってしまう。特に、二人の外人はルール違反ではないかと思えるような、子供と大人の戦いのような場面を終始展開していた。タックルしても倒れない。やっとの思いで数人で倒しても、倒れながら前進してしまう。
ところが、早稲田をぎりぎりのライン近くに張り付かせながら、ほんの数センチのところでトライを阻まれていた。逆に、早稲田は2トライをあげ、トライ数で負けている。全体を振り返って、何が試合を分けたか?帝京のこの試合にかけた思いが早稲田より強かったことは間違いないのだが、一つはルールの「あや」ではないかと思う。
早稲田は開始間もなく、帝京に自陣のライン近くまで攻め込まれ、ラックになった後の球出しの時に、一度出すふりをして、戻すという誘い出しが新ルールで反則となった。早稲田はうかつなミスだった。ライン近くで球を得た帝京は速攻を展開。そこで、早稲田側は守備が乱れ、やすやすとトライを許してしまう。
残りの帝京の得点は全て、反則に伴うキック(ペナルティーゴール)で取ったものだ。帝京はともかく、何でも点を取って勝とうというがむしゃらさを見せた。終了が近づくと、帝京は遅延行為に出る。帝京に反則があり、球を渡すべきところで、時間をかけてしまう。一度は、あまりに遅いので審判が10mルールで、10m下がらせ、その直後、早稲田が2回目のトライに成功するのだが、時間が迫った最後のラックでも帝京は球出しをせず、時間が来るのを待った。
私の見るところ、早稲田がフェイントで反則し、動揺と乱れでトライされたのが大きかった。帝京はルールがあいまいな部分で巧みに遅延行為を行い、早稲田の反撃を抑制している。誰の目から見ても帝京のほうが強かったことには間違いないが、反則後のトライが無かった場合、帝京が果たして勝てたか?この辺のルールのあやが大きく勝敗に影響した。