仙波一郎氏は愛媛県警の偽領収書作成を現役で告発したお陰で、全く出世なく様々な迫害を受けて来たが、36年間耐えて、60歳の定年を迎えようとしている。この9月30日、高松高裁の第二審の判決が出るので、仙波一郎を支える会の案内はがきが届き、FAXを送ったところ、ご本人から電話がきた。正直驚いたが、同時に感激した。
私も四国電力時代、正しいと思うことを発言し実施したおかげで、出世を閉ざされた長く暗い経歴が有る。電力会社の人事を支配する最大の力は自民党の有力議員であり、しかもその議員とはこれも元警察官僚の後藤田であった。後藤田をバックにその馬鹿は常務まで上り詰め、その配下に徹底的にやられた。しかしながら仙波氏が受けたいじめ迫害は私の場合の数倍であったと思われる。何しろ、鉄の団結と管理を誇る警察組織だ。因みに、仙波さんの裁判では85人の弁護士が無料で戦ってくれたという。涙が出そうになる話だ。
私は、仙波さんこそが現代の英雄であり、銅像を建てるべきだと書いた。特に誇張もおべんちゃらも無い、思ったとおりをFAXに書いて送ったら、仙波さんから直接電話が来た。仙波さんは、第二審で、特別に陳述する機会を得て、警察の不法行為をとうとうと発言したそうだ。法廷に居並ぶ警察幹部は一言も反論できなかったという。世の中の不正を取り締まるべき警察において、不正がまかり通って良いはずはない。
現在の日本では正義という言葉が失われつつある。私は事実を徹底的に解明することが発展の基本であることを、電気学会でも発表してきた。何人が聞いてくれたかもわからない。日本人はいつの間にか、美しい都合のよいウソを好むようになった。都合の悪い事実は抹殺される。その中で、自分の人生を犠牲にしてまで警察の正義を守った仙波さんこそが現代日本の英雄なのだ。