◎ 深刻化するタクシー不足 ライドシェアの可能性・・ 八代尚宏・昭和女子大特命教授 【毎日:政治プレミア】 要旨抜粋
* 国土交通省の資料によれば、全国のタクシー運転者数は2021年で約22万人と10年前の約35万人と比べて37%の大幅な減少となった。平均年齢も61歳と、全産業の41歳と
比べて高く、高齢化が進んでいる。コロナ危機の20年以降だけで、感染リスクの高まりから約4万人の運転手が離職した。
一部地域での深刻なタクシー運転手の不足は一刻も早く解消する必要があるが、運転手の不足は、タクシーだけでなく、バスやトラックについても同様であり、
生産年齢人口の急速な減少で構造的な問題となっている。いずれも抜本的な制度や規制の見直しが不可欠だ。
* 世界のライドシェア産業は成長分野となり多くの雇用を生み出している。しかし、日本ではタクシー業界の政治力で、先進国ではまれな「ライドシェアの導入は認めない」
との国会付帯決議などがあり、産業としての成長機会を逸してきた。
← タクシー業界に限らず<~業界=~族議員><後援組織>この選挙利権構造が合理的な改革をいつも阻むクニ・ニッポン! これでは衰退から抜けられない。
ライドシェアは白タクではない
* ライドシェアに対しては、誰が運転しているか分からないので不安という声がある。しかし、ライドシェアは白タクではなく、タクシー会社に相当する、米国のウーバーの
ような会社の管理下にあることが大きな違いだ。
(1)運転手と利用者の双方について、事前に登録者の経歴や信用度などをチェックする仕組みがある。
(2)車内外のドライブレコーダーの設置が進められている。車両の乗降記録は本部で確認されており、乗客のための非常警報システムもある。
(3)運転手についてもタクシーのように利用者を選べない流し営業は行わず、事前の登録者だけを乗せることで安心できる。
(4)利用者からの現金受け取りは禁止で、すべてクレジット決済のため、料金の踏み倒しや強盗に狙われるリスクは小さい。
(5)需給状況に応じて価格が一定の範囲内で上下するダイナミックプライシングを活用できる。例えば雨天やスポーツ・コンサートなどの終了時に、当地域の一時的な
需要の急増時に合わせて利用料金が高まる設計をすることで、それに見合った車両の供給を一時的に増やすこともできる。
← 米国・アトランタ在住の長男は、会社が休みの日、登録済のライドシェア運行で小銭を稼いでおり(1)~(5)は私が聞いた中身そのままだ。
空き時間に運転できるパートタイムや副業としての運転手を、デジタル技術を活用して組織化しなければ、ドライバー不足はさらに進行する。
労働人口が減少する今後の社会では、失業問題よりも、労働力のシェアリングを通じて、限られた人口をより効率的に活用することが緊急の課題だ。
← 従来の<技能研修性>のように外国人をドライヴァーにするには言語の壁が大き過ぎて、貨物輸送運転手以上に、タクシードライバー育成は残念ながら極めて困難だろう。
従い、もう外国人労働力で安直な解決はできず、日本人で運転できる人口から労働力を活用するしか解決策は無い。
* 日本でもタクシー会社のない過疎地では、一定の条件の下で一般の自家用車を有償で利用する仕組みが存在しており、これを全国的に広げることが一つの方向性となる。
例えば、自家用自動車の使用に関する現行法の特例規定では、自治体や特定非営利活動法人などが、特定の市町村の住民の運送を行う場合には、運輸局に登録することで
可能になる。もっとも、いずれの場合にも、地域の関係業界との事前協議をしなければならないとする規制が、普及を阻んでいる。← 地域利権と政治家の腐れ縁構造
利用者視点の交通サービス
* 高齢者など交通弱者が増えるなかでは、最寄りの鉄道駅やバス停から、最終目的地である自宅などまでの「ラストワンマイル」への対応が、大きな課題となっている。
職業運転手の不足という構造的な問題に対応するためには、タクシーの規制改革も不可欠だ。大型タクシーがバスのように定期運行できるようにするとともに、お客の
ニーズに応じた寄り道を可能にすることもできる。 ← 過疎地に限らず、高齢者の免許返納を進め、悲惨な交通事故を減らすためにも規制改革が急がれる。
また、貨客混載を弾力的に行うなど、車両の効率的な活用や、ライドシェアと同様なダイナミックプライシングを可能とするような弾力的な料金体系への見直しを
さらに進めることも必要だ。
* 国土交通省の資料によれば、全国のタクシー運転者数は2021年で約22万人と10年前の約35万人と比べて37%の大幅な減少となった。平均年齢も61歳と、全産業の41歳と
比べて高く、高齢化が進んでいる。コロナ危機の20年以降だけで、感染リスクの高まりから約4万人の運転手が離職した。
一部地域での深刻なタクシー運転手の不足は一刻も早く解消する必要があるが、運転手の不足は、タクシーだけでなく、バスやトラックについても同様であり、
生産年齢人口の急速な減少で構造的な問題となっている。いずれも抜本的な制度や規制の見直しが不可欠だ。
* 世界のライドシェア産業は成長分野となり多くの雇用を生み出している。しかし、日本ではタクシー業界の政治力で、先進国ではまれな「ライドシェアの導入は認めない」
との国会付帯決議などがあり、産業としての成長機会を逸してきた。
← タクシー業界に限らず<~業界=~族議員><後援組織>この選挙利権構造が合理的な改革をいつも阻むクニ・ニッポン! これでは衰退から抜けられない。
ライドシェアは白タクではない
* ライドシェアに対しては、誰が運転しているか分からないので不安という声がある。しかし、ライドシェアは白タクではなく、タクシー会社に相当する、米国のウーバーの
ような会社の管理下にあることが大きな違いだ。
(1)運転手と利用者の双方について、事前に登録者の経歴や信用度などをチェックする仕組みがある。
(2)車内外のドライブレコーダーの設置が進められている。車両の乗降記録は本部で確認されており、乗客のための非常警報システムもある。
(3)運転手についてもタクシーのように利用者を選べない流し営業は行わず、事前の登録者だけを乗せることで安心できる。
(4)利用者からの現金受け取りは禁止で、すべてクレジット決済のため、料金の踏み倒しや強盗に狙われるリスクは小さい。
(5)需給状況に応じて価格が一定の範囲内で上下するダイナミックプライシングを活用できる。例えば雨天やスポーツ・コンサートなどの終了時に、当地域の一時的な
需要の急増時に合わせて利用料金が高まる設計をすることで、それに見合った車両の供給を一時的に増やすこともできる。
← 米国・アトランタ在住の長男は、会社が休みの日、登録済のライドシェア運行で小銭を稼いでおり(1)~(5)は私が聞いた中身そのままだ。
空き時間に運転できるパートタイムや副業としての運転手を、デジタル技術を活用して組織化しなければ、ドライバー不足はさらに進行する。
労働人口が減少する今後の社会では、失業問題よりも、労働力のシェアリングを通じて、限られた人口をより効率的に活用することが緊急の課題だ。
← 従来の<技能研修性>のように外国人をドライヴァーにするには言語の壁が大き過ぎて、貨物輸送運転手以上に、タクシードライバー育成は残念ながら極めて困難だろう。
従い、もう外国人労働力で安直な解決はできず、日本人で運転できる人口から労働力を活用するしか解決策は無い。
* 日本でもタクシー会社のない過疎地では、一定の条件の下で一般の自家用車を有償で利用する仕組みが存在しており、これを全国的に広げることが一つの方向性となる。
例えば、自家用自動車の使用に関する現行法の特例規定では、自治体や特定非営利活動法人などが、特定の市町村の住民の運送を行う場合には、運輸局に登録することで
可能になる。もっとも、いずれの場合にも、地域の関係業界との事前協議をしなければならないとする規制が、普及を阻んでいる。← 地域利権と政治家の腐れ縁構造
利用者視点の交通サービス
* 高齢者など交通弱者が増えるなかでは、最寄りの鉄道駅やバス停から、最終目的地である自宅などまでの「ラストワンマイル」への対応が、大きな課題となっている。
職業運転手の不足という構造的な問題に対応するためには、タクシーの規制改革も不可欠だ。大型タクシーがバスのように定期運行できるようにするとともに、お客の
ニーズに応じた寄り道を可能にすることもできる。 ← 過疎地に限らず、高齢者の免許返納を進め、悲惨な交通事故を減らすためにも規制改革が急がれる。
また、貨客混載を弾力的に行うなど、車両の効率的な活用や、ライドシェアと同様なダイナミックプライシングを可能とするような弾力的な料金体系への見直しを
さらに進めることも必要だ。