静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 1日100万円の手当:文書通信交通滞在費問題 ≫  寄付や日割りで幕引きするなら 何も進歩なし  ”議員の特権階級化”への反感は アジテーターによる扇動へ繋がるリスクを秘める 

2021-11-23 07:18:21 | 時評
◆【火論】ポピュリズムへの道?=大治朋子 (専門記者) 全文転載
 国会議員に1人月額100万円が支払われる「文書通信交通滞在費」、いわゆる文通費が批判にさらされている。もっとも、この文通費はこれまでも不透明さが指摘されてきたものだ。
  使い道を報告する義務も、余ったら返す必要もない。いわば「第2の給与」だと批判されながら、長年放置されてきたという(18日付社説)。

1. ただ、これまでずっと問題を無視してきた与野党幹部らが一斉に小野議員の疑義に機敏に反応したのは当然とはいえ、やや滑稽(こっけい)でもあった。来年の参院選を念頭に、先般の衆院選で
  大躍進した維新に少しでもあやかろう、とでもいうような気配も感じる。人気取りか本気の改革かの境界線は、再び俎上(そじょう)に載った長年の懸案事項を、「寄付」や「日割り」止まりで
  うやむやにするかどうか、ではないだろうか。 その場しのぎの対症療法ではなく、議員を特別扱いし過ぎる現状のシステムに自らにメスを入れるかどうか
――


2. ちなみに政治理論家、エルネスト・ラクラウはその金字塔的著書となった「ポピュリズム*の理性」(明石書店)で、 *・・ポピュリズム=『大衆心理への迎合』
  ポピュリズムの背景には「抑圧される市民 VS 腐敗したエリート支配層」という対立構造があると指摘した。
  経済的な格差が広がり、多くの人々が政治に「無視されている」と怒りを募らせる社会ほど、やみくもに「反エリート」を掲げるような政治家の甘言に流されやすくなるという。 

   今回の100万円問題はまさにこうした怒りのツボにはまったように見える。 
    ← トランプ大統領の出現は≪ 米国社会の格差拡大による「反エリート」甘言流布 ≫の好例だ。 日本を同じような分断に持ち込んではならない!

★ だが議員の特権階級化という根深い問題の全体像を考えれば、氷山の一角に過ぎない。中途半端な対処でごまかせば、さらに政治不信、不公平感は深化するだろう。
  行く手に待つのはポピュリズム政治の本格化である。 問題の本質に斬り込むか、ポピュリズムを深化させてさらに自分も便乗するか。政治家一人一人の判断に注目したい。
コメント
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