福井利佐blog

切り絵アーティストの日々

桐野さん受賞

2008年10月31日 | 過去のBLOG記事

私が現在、挿絵でお世話になっている作家の桐野夏生さんが、
最新作「東京島」で「第44回谷崎潤一郎賞」を受賞されました。
その授賞式が行われるということで、お祝いにいってきました。


fukui081031_01

授賞式の招待状が届きました。
こういった場への参加は、縁がないと思っていたのでびっくりしました。
どうしたものかと思いましたが、なかなか機会のないことは
とりあえず参加してみようと思い、行ってみることにしました。


fukui081031_02

丸の内のホテルで行われたのですが、想像以上の規模の大きさに呆然・・・!


サテンの赤いロングスカートをはいた女中さん達が、
みなさん同じ髪型をしてずらっと並んでいました。
こんな黒い集団の中へ、薄ピンクのミニドレスで来てしまいました。
浮きまくりだし、文壇という世界からの全くのアウェイ感です。


この会の主催は中央公論新社ということで
「第三回中央公論文芸賞」も同時に行われました。
まずは選考委員の作家渡辺淳一さんがお話をされて、
受賞者のねじめ正一さんが壇上で受賞の言葉をお話しされました。
その際、読売巨人軍名誉監督の長嶋茂雄さんからの電報が読み上げられ、
ここまでのビッグネームですでに帰りたいほど恐縮です。


その後、いよいよ「第44回 谷崎潤一郎賞」に入り、
審査員の作家筒井康隆さんが壇上でお話されました。
やはり言葉のプロの方々は、
これだけの人数の前でも堂々としてらっしゃって、
冗談も交えて審査時のお話をされて会場内の空気をぐっと掴みます。


そして、受賞者の桐野夏生さんの登場です。
一段とお美しく、今日のゴールドのお洋服がよくお似合いです。
やっと知っている方が出て来て、ちょっと安心しました。
桐野さんも今回の賞は思いがけなかったものらしく、
とても嬉しいご様子でした。
私も嬉しい気持ちと、
こんな素晴らしい作家さんと一緒に仕事ができて幸せだなあと思いました。


そして会場は立食パーティーとなり、ご挨拶をしに、
桐野さんとねじめさんの前にずらっと関係者の方が集まります。
ねじめさん周辺には藤子不二雄Aさんや内田春菊さん一家も発見。


ここまで1人でしたが、桐野さんの近辺に行けば、
普段お仕事をさせていただいている『週刊文春』のみなさんが誰かいるかもと思い、
行ってみました。
予想どおり、
”文春チーム”のみなさんに無事会えて本当にほっとしました。


髪を切っていたので驚かれました。
そんな中、一番良く会っている担当の波多野さんが
「髪を切ったことに全く気がつかなかった。」と言っていたのがおもしろかったです。


桐野さんはとても笑顔で嬉しそうでした。
しかし、その場で現在連載中のポリィティコンの展望をさらっと
私や関係者に伝える感じは、
常に作品の事を冷静に考えていて前へ前へ進む姿勢を感じます。
本当にかっこいいです。


fukui081031_03

そして2次会へ移動。


ここでも祝福の言葉が続き、浅田次郎さんをはじめ、
角田光代さんなどビッグネームが続きます。
私は、初めて見る売れっ子作家さん達を前に完全に浮き足立っています。
そこまでかなりこのスピーチを傍観して楽しんでいたのですが、
突然「後で福井さんからもおねがいします。」と
司会進行の方から声をかけられて、
「ひえー!」と顔面蒼白に!


桐野さんが気を遣ってくださり、みんなが「あの人誰だろう?」
と思っている雰囲気を払拭すべく、一気に紹介する作戦です。
そこから、口数が少なくなり上の空な私。
声をかけて下さった出版社の方も、
お話を続けようか気を使って下さっています(笑)。


「いつなんだろうー、このままご歓談が続いて、
忘れてもらっても一向に構わない。」などと思いながら
ドキドキして待ってると、そこに筒井康隆さんがご登場。
しばらくしたらやはり祝福のスピーチを
筒井さんがすることになり、
またまた会場の雰囲気を沸かせています。
そして、筒井さんが終わると「次ぎは、ただ今連載の・・・。」
となり、まさかの筒井康隆さん後のスピーチになりました。
恐縮です。


噛み噛みスピーチを披露して、
意味不明なスピーチの終わりをしてみました(笑)。
しかし、みなさんお優しくて温かい拍手を頂きました。
人前でしゃべるという自分の中の一大イベントが終わり、
ほっとしました。(何度ほっとしているのでしょう。)


多数の出版社の方々から私も声をかけて頂き、恐縮です。
私は名刺がないので、お名刺をいただいた方、
本当にありがとうございました。何かご一緒にできると嬉しいです。


そして、本当に桐野さん、受賞おめでとうございます。
これからもよろしくお願いします。


次の日は午前中から撮影だったので2次会で私は失礼しました。
この後、3次会、4次会と祝福の長い夜は続いたようです。
相変わらずパワフルな方たちです。


fukui081031_04

次の日。
はじめて雑誌のタイアップの撮影です。
メイクさんやスタイリストさんもいる撮影は稀です。
撮影時はたいがい私服ですが、
今回は急だったのと忙しくて考えられなかったので
プロにお任せすることにしました。
私ごときが生意気でしょ。


fukui081031_05

だって、お隣の青いジャケットの方は
放送作家で脚本家の小山薫堂さん。
失礼があってはなりません。


この様子は雑誌が発売されたらということで・・・。


* * * *


【関連記事】
装丁仕事
山形取材旅行
事後報告
オープニング報告
切り始め
年内仕事