スウェーデン生活+その後

2010-2013年スウェーデンに在住し帰国。雑記、鳥・植物の写真
*海外情報はその当時のもの。
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移民関連ニュース

2013-02-02 12:11:56 | 時事問題
相変わらず問題になっているスウェーデンの移民政策であるが、ここのところ幾つかニュースが続いているので2つほど並べてみたい。スウェーデン英語誌、The localより。
まず一つ目。移民用のスウェーデン語教室、SFIのこと。
http://www.thelocal.se/45922/20130131/
スウェーデンにはSvenskundervisning för invandrare、略してSFIという学校があるのである。新しくスウェーデンに到着した移民はだいたいここでスウェーデン語を習う。職場の同僚でも働きながら夜のSFIのコースを取っているケースはある。学費は無料。2011年の生徒数は10万人だそうである。
Wikipedia「Swedish for immigrants」
これだけ見ると中々に優れた制度の様であるが、The localの記事はそのSFIの生徒のなんと25%が卒業できずにドロップアウトしているというもの。これに対して内閣の大臣達が新聞に対策を寄稿したようである。もっと生徒の実力に合わせた、フレキシブルなシステムをSFIに導入するべきだ、と。しかしながらこの記事で抜け落ちているポイントを指摘しないわけには行かぬ。「卒業を欲していない生徒も一定数いる」のである。理由の一つはスウェーデンの雇用情勢の悪化、そして皮肉なことに社会保障の充実である。基本的に「スウェーデン語を学び、就職に向けて動いている」という姿勢を示せば結構あれこれと補助を受けることは可能なのだが、そこから卒業して就職先を探すとなると、とたんに困った事態が待っているのである。結局「なるべく長く学校にいること」が最大利益に繋がってしまう層が一定数出てきてしまう訳だ。
移民と失業率
そしてもう一つ。スウェーデンで移民排斥政策を掲げる極右政党、スウェーデン民主党(Sverigedemokraterna)の記事。
http://www.thelocal.se/45936/20130131/
スウェーデン民主党は1988年結成。先の2010年の総選挙では初の国政進出も成し遂げている。総選挙の時にもCMが議論を呼び(スウェーデン人の老女をイスラム系の女性が押しのける画像を流した)。その後も政治家の人種差別的発言で何かと物議を醸してきた。
Wikipedia「スウェーデン民主党」
しかしながらこれだけ物議を醸しているなら、この政党はだんだん支持率を落としているのか?というとむしろ逆なのである。むしろ支持率はじりじりと上昇傾向を続け、昨年の段階で一時11%を超えたときもあった。そして記事は最新の世論調査。スウェーデンの有権者のうち、移民政策を重要視する人が増え、そして移民政策に関して全体の20%、最大の支持を集めたのが「スウェーデン民主党の掲げる移民政策」であったのだ(ちなみに全体の39%が無回答)。中々にスウェーデン人の意識も変わりつつあるようだ。
もちろん現時点でスウェーデンで暮らして人種差別的な言動を浴びせられることは極めて稀であることは断言できる。ただ最近難民の流入が増えてきている上にスウェーデン自身の経済状況も悪化して来ていることもあって、彼等が今まで通りの寛容な移民政策を続けることを容認しきれなくなって来ているのであろう。難しい問題である。
移民2012
クリスマスと宗教と
シリアからスウェーデンにようこそ
移民街のこと

*追記:と書いているうちにスウェーデンの大臣が発言した。「スウェーデンへの移民の量は多すぎる」と言うのである。恐らくは今後は少しずつ門戸を狭める方向に舵を切っていくのだろうか。注目である。
http://www.thelocal.se/45968/20130202/
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