あまり見ていなかったが、気づくと準決勝にまで行っていたのがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)である。東京で最初のラウンドがあり、そこで侍ジャパンは全勝で勝ち抜き、舞台をアメリカのフロリダに移した本日、メキシコを相手にして準決勝を戦ったのである。
メキシコとの1戦は文字通り手に汗握る一戦となった。佐々木朗希投手(ロッテ)が先発したものの、途中から適応したメキシコ打線につかまり、4回表に3ランホームランを浴びて3点をメキシコに先制される。日本打線はチャンスをつぶし続けていたが、7回裏に日本の主砲・吉田(レッドソックス)が3ランホームランを打ちこんで同点に。ところがその直後、8回表に山本由伸(オリックス)がつかまってさらにもう2点を入れられる。そこからが日本の真骨頂で、まずは8回表、あと一点を狙って本塁に突入したメキシコの走者を中継プレーで本塁アウトに。そして8回裏に四球・犠打などを絡めて山川(西武)の犠飛で1点を返す。実に日本らしい守備と攻撃で、あとから振り返るとこの2つのプレーが勝負を決めたのである。そして9回裏。大谷(エンゼルス)がツーベースで出塁、吉田が四球のあと、今大会で不振をきわめていた村上(ヤクルト)が左中間ツーベースで勝負あり。2点が入って6-5となり、サヨナラ勝ちとなった。
日本中が文字通り沸き立った1戦となった。火曜日が休日ということもあって、かなり大勢の人が見ていたと思われる。試合内容も本当に素晴らしく、国を背負った一発勝負というのは本当にどんな試合でも大変だということを実感する。また今回のWBC、現地でもドミニカ共和国やプエルトリコなど、アメリカ以外の国の試合でも球場が満員になったとも報じられている。日本国内での人気も素晴らしく、興行としても成功したと言ってよいのではないか。
野球が結局五輪の種目からも外されてしまい、競技の国際化が大きな課題である。国際的にみると、まだまだアフリカ大陸や南アジアなどではほとんど普及していない。サッカーとは本当に比ぶべくもない状況である。こうした世界での普及を広める努力が絶対的に必要である。ただ、どうしても気になるのが当のアメリカの反応で、今回もWBCの期間中にMLBの有名選手、ホセ・アルトゥーベ(アストロズ・今回はベネズエラ代表をして参加)やエドウィン・ディアス(メッツ・プエルトリコ代表として参加)などが大けがをしてしまい、シーズンを棒に振りかねない状況である。これに対してメジャーリーグ関係者から「WBCなんかに参加するからだ」という反応がきていたりすると聞く。これでWBCの開催に否定的になったり、あるいは有名選手の派遣を禁じたりと言った動きにならないことを望む。何とか国外にも目を向け、「野球の裾野を広げる努力」を継続していってくれることを願いたい。
Wikipedia「ワールド・ベースボール・クラシック」
Wikipedia「ホセ・アルトゥーベ」
Wikipedia「エドウィン・ディアス」
そして、日本である。国内での盛り上がりは本当に凄いようで、テレビの視聴率もかなりの数字を叩き出しているようである。長らくコロナで自粛生活が続き、やっと「声だしの応援」が解禁になったばかり、通常の生活が戻ってくる呼び水、として受け入れられたのではあるまいか。珍しく「誰が聞いても明るくなれるニュース」であることは間違いがないだろう。あとは明日の決勝戦である。頑張れ侍ジャパン。