常設展のあと企画展に入ってみた。こちら「茂木本家美術館の北斎名品展」と題されている。あの「キッコーマン」の創業一族のひとつ、茂木家の所有する北斎コレクションからの企画展である。茂木家は北斎に限らず日本画のコレクションを持ち、千葉県野田市に美術館をもっているのである。ちなみにこの美術館、入館は予約制なのだそうな。
Wikipedia「茂木本家美術館」
この企画展、何といっても「富嶽三十六景」のシリーズが目玉であろう。富嶽三十六景と言っても名前だけしか知らなかったのであるが、並べて鑑賞してみると北斎の工夫が随所に伝わってくる。下ウィキペディア参照。例えば5の「本所立川」では富士山は材木の後ろに隠れるようにして、18の「登戸浦」では鳥居の中に、40の「尾州不二見原」では桶の円の中に配置されているのである。また構図の妙だけにとどまらず、全体に人々の営み、当時の風俗が伝わってくるように描かれているのも特徴である。風景画は富士山だけにとどまらぬ。全国の滝を描いたシリーズ、橋を描いたシリーズもあり、旺盛な作成意欲、創意工夫を凝らした技の数々が伝わってくる。
Wikipedia「富嶽三十六景」
先の「葛飾北斎の本懐」によれば、当時の大名のお抱え絵師たちの多くは昔の名画を手本として、それを忠実に模写することを目指したのに対し、浮世絵師の場合はそうした規制が緩く、ために各自が創意工夫をする余地が多かったのだという。特に葛飾北斎はその足跡をたどると「自然の風物を、いかに己のイメージ通り上手く描くか」を追求し続けた感があり清々しい。ゴヤはかつて「俺には2人の師匠がいる。自然とベラスケスだ」と言ったそうであるが、北斎も似たような哲学を持っていたのではあるまいか。
Wikipedia「フランシスコ・デ・ゴヤ」
数時間にもならぬ旅であったが楽しかった。たまにはこういう時間が必要である。
Wikipedia「茂木本家美術館」
この企画展、何といっても「富嶽三十六景」のシリーズが目玉であろう。富嶽三十六景と言っても名前だけしか知らなかったのであるが、並べて鑑賞してみると北斎の工夫が随所に伝わってくる。下ウィキペディア参照。例えば5の「本所立川」では富士山は材木の後ろに隠れるようにして、18の「登戸浦」では鳥居の中に、40の「尾州不二見原」では桶の円の中に配置されているのである。また構図の妙だけにとどまらず、全体に人々の営み、当時の風俗が伝わってくるように描かれているのも特徴である。風景画は富士山だけにとどまらぬ。全国の滝を描いたシリーズ、橋を描いたシリーズもあり、旺盛な作成意欲、創意工夫を凝らした技の数々が伝わってくる。
Wikipedia「富嶽三十六景」
先の「葛飾北斎の本懐」によれば、当時の大名のお抱え絵師たちの多くは昔の名画を手本として、それを忠実に模写することを目指したのに対し、浮世絵師の場合はそうした規制が緩く、ために各自が創意工夫をする余地が多かったのだという。特に葛飾北斎はその足跡をたどると「自然の風物を、いかに己のイメージ通り上手く描くか」を追求し続けた感があり清々しい。ゴヤはかつて「俺には2人の師匠がいる。自然とベラスケスだ」と言ったそうであるが、北斎も似たような哲学を持っていたのではあるまいか。
Wikipedia「フランシスコ・デ・ゴヤ」
数時間にもならぬ旅であったが楽しかった。たまにはこういう時間が必要である。