そしてだんだん離れていくと、だんだんに宮殿の全景が見えるようになってくる。ただ完全に全景を写真に入れるのはなかなか難しい。
さて、皇太子の宮殿として作られたはずの離宮であったが、どうも住居としては使い勝手が今一つであったようである。昭和天皇も皇太子時代を過ごしたものの、即位後にこの宮殿に戻る提案をされたときは拒否している。戦後は皇室から国に移管され、いろいろな用途で使用された。1964年の東京オリンピックの委員会もここに設置されている。
Wikipedia「1964年東京オリンピック」
その頃は海外から来日した元首をもてなしていたのは東京・目黒の旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)であった。しかし日本の国際交流が活発になるにつれて朝香宮邸では手狭になってきており、そこで白羽の矢が立ったのがこの宮殿である。戦後に手直しはされたものの、戦時中に迷彩色を塗られた跡があったり、金箔がはげ落ちたりで迎賓館として使用できる状況ではなかった。ここで110億円を投じ、建築家の村野藤吾、谷口吉郎の指揮のもと大改修工事に取り掛かったのである。完成は1974年であった。
東京都庭園美術館その6
東京都庭園美術館その1
Wikipedia「村野藤吾」
その後は海外から来た国家元首のもてなしに大活躍することとなった。あのトランプ大統領も訪日の時には来ている(その時の写真も館内には飾られている)。2009年には国宝に指定された。長らく非公開であったが、2016年から(使用されていない時に限り)一般にも公開されるようになった。インターネットでの事前予約が必要であり、また入場料も必要である。ただそれでも見る価値は十分あると思う。お勧めである。