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【cinema】『シング・ストリート 未来へのうた』

2016-08-01 00:43:16 | cinema

2016.07.22 『シング・ストリート 未来へのうた』鑑賞@ヒューマントラストシネマ有楽町

 

試写会応募したけどハズレ 最近ホント当たらない・、λ チェッ 評判良くて気になったので、テアトル系会員は1,000円で見れるハッピーフライデーに見に行ってきた~

 

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「1985年ダブリンに暮らすコナーは、父親の失業により転校を余儀なくされる。新しい学校では厳格な校長による理不尽な校則や、いじめのターゲットにされるなど散々な毎日。そんなある日、1つ年上のラフィナに一目ボレしたことから、バンドを組むことになり・・・」という話。これは良かった。とにかく主人公たちがかわいくて愛おしくて抱きしめてあげたくなる。音楽も良かった。

 

『ONCE ダブリンの街角で』、『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督作品。公式サイトによりますと、どうやら脚本も担当した監督の自伝的作品なのだそう。舞台となっている1985年といえば、1972年生まれの監督は13歳。主人公のコナーは15歳設定なので、少し年上だけど監督ご自身なのでしょう。父親が失業したため、一流校からシング・ストリートの学校へ転校。いじめにあうのも、女子の興味を引くためにバンドを組むのもカーニー監督の実体験なのだそう。しかも、カーニー監督、1991~1993年までThe Framesのベースとして音楽活動をしていたのね知らなかった。

 

主人公コナー役はアイルランド全土で半年間かけて数千人にオーディションを行った結果、演技経験のないフェルディア・ウォルシュ-ピーロが選ばれた。5時間並んでオーディションを受けたのだそう。オペラやアイルランド民族音楽で活躍する家族のもとで育ち、本人も7歳からソプラノのソリストとして舞台経験あり。撮影一カ月前から練習を始め、劇中内の歌も自身で歌っている。バンド演奏については、アイルランドのトップクラスのスタジオミュージシャンが担当。子供が弾いているようにヘタに演奏するのが大変だったのだそう(笑) ということは、バンドメンバーは演奏していないのね。メンバー役の子たちも全員演技経験はなかったのだそう。主題歌「GO NOW」はマルーン5のアダム・レヴィーンが担当。作詞はジョン・カーニー監督とアダム・レヴィーンによるものとのこと。劇中でバンドが演奏する曲は、「Mary's Prayer」のゲイリー・クラークが作詞作曲を担当。

 

とにかく80年代へのこだわりがすごくて、登場する楽曲やバンドもDURAN DURAN、THE CLASH、THE JAM、THE CUREなど、80年代洋楽好きならニヤリとなるハズ。美術や衣装の再現度もスゴイ。ダブリンには80年代からそのままの建物が多く、市内や周辺でロケができたようだけれど、変わってしまった部分に関しては、雑誌などを参考に再現したとのこと。自分がビックリしたのは衣装の再現度。特にコナーの憧れの少女ラフィナのメイクや衣装は、80年代のミュージックビデオから抜け出してきたかのよう。衣装担当のティツィアーナ・コルヴィシエリによると、この時代ダブリンでは最新流行の洋服を手に入れることはできなかったそうで、若者たちは古着屋などに通い、自らリメイクしたりしていたとのこと。そういう感じ。個人的には全く好みではない80年代ファッションだけど、この時代が舞台の映画で、ここまで見事に再現している作品って少ないかも。その辺りは見事。監督の自伝的作品だけに、こだわりも強かったのかな。

 

コナー(フェルエィア・ウォルシュ-ピーロ)は、父(エイダン・ギレン)、母(マリア・ドレイル・ケネディ)、大学を卒業してニート状態の兄ブライアン(ジャック・レイナー)、そして妹との5人家族。両親は仲が悪く喧嘩ばかり。どなり合う声を聞きたくなくて、ギターを弾きながら自ら作った曲を歌う毎日。そんなある日、父親から衝撃的な発言が。経済的な理由からコナーを転校させるというのだった。どうやらもともと通っていたのはイエズス会系の学校で、新しい学校はカトリック系なのかな? 何がどう違うのかは不明。ただ、後にコナーの家の辺りは品がいいというようなセリフがあるし、授業料が高かったから転校するわけだから、良い学校に通っていたのでしょう。将来の夢があってその学校に通っていた気がしたけど、違ったっけ?ちょっと記憶が・・・ コナーは当然反発するけど、どうにもならないのが現実。

 

前の学校が共学だったのか不明だけど、新しい学校は男子校。けっこう荒れている感じ。この学校は第8区のクリスチャン・ブラザーズ・スクールで撮影したそうで、かなりリアル。全体的に古くて汚い。この感じが美術担当による汚しなのかは不明だけど、日本の学校から感じる清潔感はないし、アメリカの学校などから感じる広々とした明るさもない。意外にこじんまり。新入りに対して興味津々で、早速ちょっかいを出してくる。校長は服装からして神父なのかな? この校長がまた横暴な人物。早速教室にやって来て、コナーの茶色い革靴を指摘。黒靴は持っていないというコナーに対し、ならば買うように指示。コナーはこれに反発。翌日も茶色の靴で登校。もちろん呼び出し(笑) 靴を買うお金がないと言たと答える。校則で黒でなくてはならないのであれば、買わなきゃならないと思うので、両親もそれはちょっとと思うけれど、コナーが本当に両親に言ったのかは不明。結局コナーは茶色の靴を取り上げられてしまい、校庭も含む校内では靴なしで過ごすことになる。この靴なしで歩き回る足元の映像に被ってくるのがTHE CLASHの「I Fought the Law」これはニヤリな選曲 この曲好きだしうれしかった。

 

いじめっ子にトイレに呼び出されて、殺傷能力の高いパチンコを顔に向けられて、踊れと言われるコナー。仕方なく踊ると、今度はズボンを脱いで踊れという。これを拒否したことにより、翌日から目をつけられることになる。でも、この父親に暴力を振るわれているいじめっ子は、後に仲間になったりする。いじめっ子に目をつけられたことにより、ある少年が声を掛けてくる。赤毛のこの子の名前なんだったっけ? この子がキーパーソンだし、こういう展開だと親友になるのかなと思うけれど、実際親友になったのは別の子。その辺りも興味深い。この子と一緒に学校を出ると、向かいの家の階段にくわえタバコで、のポケットに手を突っ込み、ポーズを取って立っている女性を発見する。ブラシが通るのか?と思うようなパーマヘアは後ろ髪が長い。アイラインくっきりで濃いめのアイシャドウ。青みがかったピンクの口紅。今見るとただケバいだけだけど、これは典型的な80年代スタイル。何故これ流行ったんだろう?(笑) だって、後にラフィナの素顔が出てくるけど、とってもかわいらしいかったから。大人っぽいというより老けちゃってるんだよねこのメイク 

 

このメイクや服装、そして立ち姿に笑ってしまったのだけど、当時を生きるコナーは彼女に一目ボレ。彼女の名前はラフィナ(ルーシー・ボイトン)。実はまだ16歳!(*`ロ´ノ)ノ 演じるルーシー・ボイトンの実年齢は22歳なので、そもそも無理めの設定ではあるのだけど、前述したとおりメイクのおかげで老けてしまっているので、25歳くらいなのかと思っていたのでビックリ。モデルをしている彼女の気を引くため、バンドのミュージックビデオに出演して欲しいと言ってしまう。もちろんバンドなどやっていない。とりあえず、連絡先を聞き出すことに成功したコナーは、赤毛の子とバンド結成に向けて動き出す。

 

赤毛の子はマネージャーとして早速手腕を発揮。ウサギの世話に忙しく引きこもりがちだけど、あらゆる楽器が弾けるエイモン(マーク・マッケンナ)、ドラムとベースも見つけ出し、ロックバンドには黒人が必要だと主張してキーボードに黒人の少年をスカウトする。このスカウトの様子がコミカルに演出されていて、見ていて楽しい。エイモンや黒人の子のくだりでは思わず笑ってしまう。全員シング・ストリートの学生。1人1人を見ればちゃんと個性があるけど、学校ではサエないタイプ。その感じがまたいい。バンド名はシング・ストリートに決定。学校はSYNG STREETだったように思うのだけど、違ったかな? バンドはSING STREET。

 

早速デモテープを作りラフィナに渡し、ミュージックビデオ出演を再度依頼。撮影は土曜日。人通りの少ない路地で撮影を敢行。赤毛の子はマネージャー兼カメラ担当。それぞれ衣装を持ち寄ったためテイストがバラバラなのが笑える。でも、いくらなんでもカウボーイ風はないだろう(笑) ラフィナが来てくれるかドキドキしながら待っている感じもいい。もちろん登場しないと話にならないので、ラフィナは来てくれる。デモテープを気に入ってくれたらしい。これはうれしい。テイストがバラバラで地味なバンドメンバーを見たラフィナはメイクをすべきだと主張。最初は抵抗していたメンバーだけど、カメラが切り替わるともちろんメイクをほどこされている。ベタだけど笑える。モデル役だしやっぱり大人顔だからラフィナの白塗りメイクは強烈ながら、メイクに負けていない。撮影はとても楽しく終了する。こういうのいいな。

 

出来上がったミュージックビデオは画像は粗くピントもあっていないけれど、なかなかおもしろい出来。途中の中国風やラストのオモチャ感満載の牙とか笑える(笑) このビデオわざとピントを外して作成したのだそう。その辺りのこだわりもおもしろい。兄に見せるとホメてくれて、ラフィナを毎回出演させるようアドバイスを受ける。彼女がいなければ変人の集まりだっていうセリフは笑った。

 

コナーは何かというと兄の部屋に行き、アドバイスをもらうのだけど、兄ブレンダンとの関係がとっても良い。大学を卒業したけど就職先がなくニート状態。その状態を自分でも恥じている感じ。音楽が大好きで部屋にはたくさんのレコード。この兄の部屋のデザインが好き。ちょっと薄暗くて隠れ家っぽいというか、俺の部屋感満載。壁一面にレコードとかうらやまし過ぎる。革靴も買えないくらい貧乏なんじゃないのか?と思うけど、きっと元はそこそこ裕福だったのでしょう。でも、兄の世界はこの部屋のみという現実を考えると辛い。兄がコナーに玄関ポーチ(?)で佇む母親の後姿を見て言うセリフが印象的。旅行雑誌(だったよね?)を眺めながら佇んでいる、あれが母親の唯一の楽しみの時間で、海外旅行に行きたがっていたのに父親は全く取り合わなかった、あれで幸せなのだろうか?というようなことを言う。母親にもいろんな夢があったはず。でも、理想と現実は違う。自分たちの努力が足りないこともあるだうし、努力だけではどうにもならない部分もある。自身は未婚なので夫婦のことは分からないけど、いろいろあるのでしょう。そして、そういう母親の哀しさに気づける兄は、繊細で心優しい人なのでしょう。ここで、この描写を入れたことで、後の両親の衝撃発言や、ラストの兄の切なさが生きてくる。

 

コナーの家族は問題を抱えている。父親の失業に加えて、両親が不仲。当時のアイルランドでは離婚は認められていなかったため、嫌でも夫婦でいなければならない。これはかなり辛いと思う。後に兄のセリフでヤリたいだけの男女が、深い考えもなく結婚した結果だと言われてしまうけれど。それが本当なのか、一度は愛し合っていたのかは不明。父親の元の職業が分からないのだけど、前述したとおりあまり母親を大切にしていなかったような描写がある。結果、母親は別の男性と恋に落ちた。この状態で離婚できないのは辛い。どちらにとっても不幸でしかない。両親は別居を宣言する。母親は家を出て恋人と暮らすことになる。現在の家は賃貸なのかな?1人では払いきれないので、父親は別に部屋を借りるので、子供たちは両方の家を行き来しろというのだった。確かに状況はキビシイ。でも、それじゃ子供たちがかわいそう 同じ寝室で父親が床に寝ているシーンはあるものの、別居に至った描写はなかったので、結局どうなったのかは不明。

  

ラフィナの気を引くために始めたバンドだったけれど、元々音楽が好きだったこともあり、コナーの中でエイモンとの曲作りが支えになって行く。辛いことがあった時、気持ちが高揚した時など、昼夜問わずエイモンを訪ね、曲を作ろうと誘う。エイモンが必ず受け入れてくれるのがいい。若干引きこもりがちなエイモンにとっても、コナーの訪問は歓迎すべきものなのかもしれない。家族以外に自分を受け入れてくれる存在があるというのは大切なこと。バンドメンバーは、エイモン以外はマネージャーの子との絡みしかなく、エイモンとマネージャーにしても、バンド結成時のキャラ紹介くらいしかなかったのが少し残念だけど、結果ラストの感じになるのであれば、そこに時間を割いてダラダラしてしまうよりは良かったのかなと思う。

 

曲作りは進むけれど、まだ方向性の定まらないコナーたちは、当時流行っていた様々なバンドの影響を受けた曲を作る。そして、その時々で影響を受けた格好をする。DURAN DURAN風とか。前髪の一部を金髪に染めてメッシュ状にしたり、メイクをしてみたり。ロングコートを着てみたり。そんなスタイルで登校する彼らは注目の的で、いじめっ子に因縁をつけられるけど、好きなことをしている自信があるコナーはひるまない。その感じもいい。ただ、その尖ったまま校長に対しても反抗的な態度を取ってしまい、なんと洗面所に顔を押し付けられてしまう。これは酷い。いくら校則違反だとしても、これは暴力でしょう(*`д´) でも、その後化粧こそしなかったけれど、髪型やファッションに関しては、様々なバンドの影響を受け続けていたので、その辺りはなかなかやるなと思いつつ見ていた

 

曲作りが順調ならば、ミュージックビデオの撮影も進む。だんだん上手くなっていくのも面白い。ロケ地を変えたりして、その都度ラフィナとの仲も深まって行く。でも、彼女には年上の彼氏がおり、彼と共にロンドンに行く計画があった。実は彼女は両親がなく児童施設で暮らしている。前述したとおり、80年代メイクもあり大人っぽく見えるラフィナだけど、実際は16歳。でも、頼るべき親がいないことで、皆より少し大人になるのが早いのかもしれない。まぁ、これも重複するけど中の人が皆より年上というのもあるのだけど・・・ でも、このどんどん2人が惹かれあっていく感じは青春って感じでよかった。

 

何か目標になるものを持とうということで、学園祭(だったかな?)でステージに立つことにする。最初は消極的だったメンバーが、女子にモテると聞くと俄然やる気になるのがカワイイ(笑)  当日のステージを使って、当時流行った『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のライヴシーンのようなミュージックビデオを撮る計画を立てる。先生の協力もあり撮影当日となるのだが、集まったのは10人程度の生徒たちで、50年代風のダンスは踊れない そして、ラフィナも現れない。残念な感じでスタートした撮影だけど、バンドはどんどん興が乗り、コナーの頭の中ではイメージどおりの光景が広がる。ここはテクニカラーで撮影したのだそう。フロアを埋め尽くす50年代ファッションの男女が踊る。その中には両親もおり、仲良く踊っている、父さんがノリノリで笑える。そこに兄ブレンダン登場! 長髪をスッキリ切って、赤いシャツでキメたブレンダンは、嫌がる女性にしつこくつきまとう男を追い払う。この女性ってラフィナだったっけ? そう、ラフィナもやって来る。そして、コナーの姿を誇らしげに眺める。この妄想シーンは楽しかった。一方、前のシーンで、兄がコナーの自分の現状にイラ立ち、感情を爆発させた後だっただけに、全てがコナーの理想どおりであることに切なさも感じた。この感情を爆発させたシーンの、ジャック・レイナーの演技は良かった。

 

ラフィナが現れなかったのは、年上の彼氏とロンドンへ行ったから。児童施設を訪ねると、応対してくれた少女が教えてくれた。どうやら施設ではコナーがラフィナのロンドン行きを止めるのではないかと賭けをしてたらしい。彼女は負けてしまったのだとか でも、その後ラフィナは戻って来る。この年上の彼氏が計画性の全くない人物で、ロンドンにツテがあるというのも嘘で、仕事も無し。ラフィナは安宿に置き去りにされてしまったのだった。どうやって帰って来たのかについてはコナーが聞かなかったので説明はなし。まぁ、そこは追及しないのが人情か。これに対してコナーは憤る。ロンドンに行くのは夢だったハズだ。そんなに簡単に諦めるのか。まぁでも、現実はキビシイよねぇ・・・ ただ、やっぱりラフィナが自分の力で出ていって、自分の力で戦って、それでも挫折して戻って来たのだったら、コナーも憤らなかったのでしょう。16歳という年齢では仕方がないとはいえ、ラフィナの場合すべてが他力本願だったし。この辺りの感じも良かった。青臭くもあるけど、それが青春だし、コナーがどんどん男になっていく感じ。

 

ライヴ当日。なかなか盛況。野次も飛んでくるけど気にしない。かなり盛り上がっている。そうそう! このライヴに際して、ローディーが必要ということで、まなんとあのいじめっ子をスカウトしちゃう。マネージャーの子が口説き落としたのだけど、この感じもいい。敵を味方にしちゃう感じ。この子が意外にまじめにローディーの役目を果たしてて微笑ましい。コナーはバラードを歌うと言う。会場はブーイング。バラードなんて盛り上がらない。マネージャーや他のメンバーも反対。エイモンに相談すると、バラードは勇気が必要だと言われる。それでもやりたいと言うと、やろうと答えてくれる。このコナーの言うことを絶対否定しないエイモンの感じも良かった。バラードを歌い始めると皆が涙・・・ ということにはならず、かなりの人数が場を離れてしまう。それでもコナーは気持ちを込めて歌う。これはたった1人の人に聞いてもらえばいいわけで、それはもちろんラフィナ。彼女は届けられたデモテープを聞いて感動し、涙を流しながら会場に現れる。この展開はベタだけど良かった。そして、最後の曲「ブラウン・シューズ」がカッコイイ! これは校長に対しての反抗ソング。マネージャーによってバンドメンバーたちに次々に校長のお面が着けられ、会場内にも配られる。パンク調の曲に乗って、会場全体が一体になって楽しい。やっぱり音楽は(・∀・)イイ!!

 

そして何と急展開! コナーは兄のブランドンに、祖父の漁船がある港まで車で送って欲しいと頼む。ラフィナと共に海を渡りロンドンを目指すというのだった。無謀過ぎるけれど、兄はこれに合意。もしかしたら命を落とすかもしれない。でも、応援するというのだった。それくらい、当時のアイルランドには夢がなかったのかもしれない。そして、夢に向かうにはそれくらいの勢いが必要なのかもしれない。若い時は突っ走ることも必要なのかも。まぁでも15歳と16歳だからねぇ・・・ せめて18歳になるまで待っては?とおばちゃんは思ってしまったけど(o´ェ`o)ゞ 2人は以前楽しんだ祖父のボートでイングランドへ向けて出港する。その姿を見送る兄が切ない。弟に対する複雑な思い。彼の未来を祝福する気持ち、嫉妬、憧れ。

 

雨が降り出し、次第に風雨が強まる中、2人を乗せたボートは沖に出て、これも以前2人で見たイギリスに渡る大型船に遭遇する。危うくぶつかりそうになり、波を被って散々なことになるけど、2人は笑顔。2人が向かっている途中で映画は終わる。無事に着いたのかも分からない。出発した港からイギリスまでは50kmと言っていたけど、そもそもボートの燃料は足りるのかしら?とか、思ってしまうのは無粋なのでしょうね。ついつい母心で見ていたもので(o´ェ`o)ゞ でも、この本来ならば希望に満ちているはずなのに、荒天であり不安も残しつつ終わる感じも良かったと思う。

 

キャストは皆良かった。校長先生や、両親のエイダン・ギレンとマリア・ドイル・ケネディなど大人のキャストたちは脇役に徹して、演技経験のないフェルディア・ウォルシュ-ピーロを支えていた。ラフィナのルーシー・ボイトンが良かった。派手で考えが足りない女性に見えて、実は繊細である感じを的確に演じていたと思う。何度もしつこいけど実年齢は22歳なので16歳役は若干無理がなくもないけど、憧れの年上の女性なのでOK。チラリと映った素顔がかわいかった。エイモンのマーク・マッケンナが独特なキャラを好演。彼も演技経験がないそうだけれど、とっても自然だった。

 

兄ブレンダン役のジャック・レイナーが良かった。家族の中で自分が子供の立場を切り拓いて来た、お前はそれをたどって来ただけだと、コナーに思いをぶつけるシーンが良かった。自分の存在価値が見い出せずにいる感じ、でも兄としてプライドを保ちたい感じ。ラストの表情も良かった。複雑な心境が入り混じっている感じ。弟を失う寂しさ、新しい世界に旅立っていくことに対する嫉妬。素晴らしかった。そうそう、髪型やファッションはPINK FLOYDのデヴィッド・ギルモアをまねているのだそう。主演コナー役のフェルディア・ウォルシュ-ピーロが繊細で良かった。演技は初めてだそうだけれど、とっても自然だったと思う。見ている側に先入観がないせいもあるとは思うけれど、本当にコナーという少年を見ているようだった。歌も上手い。監督は少年たちが行きたいところに行かせて撮影し、セリフを忘れてもそのまま続けて言わせたそうで、それが演技経験のない少年たちの自然な姿を引き出したのでしょう。それがとても良かったと思う。

 

街並みは暗く、あまりよい天気の日はなかったような・・・ その分ミュージックビデオは鮮やかな色彩。でもどんよりとしたダブリンの街並みも嫌いじゃない。コナーとラフィナが初めて意識してキスする草原みたいなところも良かった。そして、ミュージックビデオが楽しい。兄弟妹が兄の部屋でHALL & OATESの「Maneater」で踊るシーンが好き

 

青春映画好きな方、音楽映画好きな方オススメ。80年代に興味のある方是非。80年代に青春を過ごした方必見!

 

『シング・ストリート 未来へのうた』Official site 


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4 コメント

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Unknown (mig)
2016-08-28 23:01:05
こっちにも。
あ、maruちゃんもシングストリート見てたのね!
この監督のいつもいい!
今回もヨカッタァー
けど、内容はすぐ忘れちゃいそう。
前作のマークさんとキーラのはじまりの歌もよかったよ!見てなかったら是非見てー
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>migサマ (maru🎵)
2016-08-30 00:36:58
こっちにもありがと~

この監督の作品は全部いいよね
でも、たしかに内容すぐ忘れちゃうの分かる!
ハデな出来事がなくて、じんわりくる系だからかな?

『はじまりの歌』見たよ! あれも良かったよね
内容ちょっと忘れがちだけど
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試写会11 (まっつぁんこ)
2016-12-16 07:49:06
一人で空席を11作りました←何が言いたい?(笑)
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>まっつあんこ サマ (maru🎵)
2016-12-17 02:13:39
空席11
まっつあん何故そんなに当たるの?∑(*゚ェ゚*)
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