まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ゴーリキー短篇集』時は革命20年前

2016-09-20 16:51:50 | ロシアの作家

マクシム・ゴーリキー

ゴーリキーは、『世界短編名作選 ロシア編』を読んで
絶対他の物語を読もうと思っていて、以前、長篇『母』を読んだのですが
短篇集も一緒に買っておきざりにしていました。

20代の頃の短篇が、7篇おさめられているのんですが
『零落者の群』というお話しはかなり長いので、別でご紹介します。

ゴーリキーが、いったいどの階級に属していたのかは知らないんですが
そして今後もたぶん調べないのですが、労働者、それもどちらかというと、季節労働者や
日雇いの貧しい労働者、放浪者などをテーマにしたものが多かったです。

その他6篇の中で『秋の一夜(ある秋のこと)』は、『世界短編名作選』で読んでいますが
やはり、とっても良い話しでした。

その他印象に残ったお話しをいくつか…

『イゼルギリ婆さん/1895年』
仕事を終えて次の仕事へ移動する間、ベッサラビヤの夜の海岸で
干からびたようなイゼルギリ婆さんの話しを聞く。
何千年も生き続けなければならない暴漢ラルラ、若い頃の婆さん、愛したポーランド人
青い炎になった若者の英雄など、婆さんの話しは尽きない。

解説によると、ゴーリキーは若い頃放浪したそうで、こういう不思議な話しや
土地に伝わる話しをたくさん聞いたのでしょうね。
そういうのはいいのだが、老人の若い頃の話しを聞いてあげるなんて… エラいわぁ…

『チェルカッシ/1895年』
埠頭の中を、ボロを纏って歩き回るチェルカッシは、名うての泥棒で
その夜の相棒を探していた。
そんな彼に、やはりすり切れた服を着た若者が声をかけてくる。
金持ちの農家の娘が待つ田舎へ帰って結婚するために、大金を手に入れたいと言う。

この話し、前半はあんまり好きじゃなかったんですよね。
でも後半、チェルカッシの男前ぶりが炸裂します。
ある意味、英雄伝と言えそうですが、その後の彼がどうなったか気になるところ…

『二十六人の男と一人の少女/1899年』
暑く暗い地下室で、一日中機械のようにパンをこしらえる、貧しい二十六人の男たちの
唯一の光は、毎朝パンをもらいにくる、十六歳の小間使いターニャだけだけで
誰もが彼女を崇め、敬い、言うことを聞いてあげた。
ある日、待遇のいい白パン製造場に、兵隊上がりの洒落者が入ってきた。

うぅぅぅむ… 女性側から言わせてもらうと、ターニャを責められない気がします。
自分を崇拝してくれるからって、付き合うのにいい人とは限らないものね。
まぁ、そのオシャレな男もどうかと思うけれども、何事も経験ということで…

たぶん、ゴーリキーは、貧しい人々の怒りや哀しみとともに
逞しさと崇高さを描く作家のように思えます。
私が読んだ数少ない作品にに限っていえば、ということになりますが、
面と向かって、政府や社会に反感をぶつけているようには思えません。

それが、検閲とかそういう政治的理由に因るものか、あるいは
ゴーリキーの作風に因るものかはわかりませんが、私は、それがかえって好きですね。

ドストエフスキーみたいに、いきなり内容に関係なく、延々と改革論とか語られたりすると
どうしてもそこを飛ばして読みたくなっちゃうのよね。
当時の庶民には、切実で重要なことだったのかもしれないですけど…

これらの物語が書かれた約20年後にロシア革命がおこって、帝政は倒れます。
若きゴーリキーは、そんな空気を感じ取っていたのかしら? どうかしら?


読み応え十分の短篇集です
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね





ひとこと通販コーナー


運動神経悪い芸人で見てからものすごく踏んでみたくて、とうとうAmazonで買ってしまった! ブツブツマット
まさかあそこまで… と思っていましたが、芸人さん並みに苦しむだんなさんを見て、嘘じゃなかったんだと納得しました



効果があるのかどうかは別として…




そんな痛い思いをしてみたいという勇気ある皆さんは上の画像をクリックしてね


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする