WALKER’S 

歩く男の日日

27日目 5月20日

2009-07-30 | 09年四国の旅

 6:10
27日目が始まる。もうあと3日となってしまった。今日は40km、昨日と違って大変な山越えが待っている。天皇寺までは30分くらいなので納経の時間に合わせると、あまり早く出ることもできない。6時8分に出発。


 6:29
予讃線の踏切を渡る。この先に有名なところてん屋さんがあるけれど、この時間なのでいつも開店前。


 6:31
「お疲れさま」と一言あるだけなのに、すごく嬉しくなってくる。みんなに後押しして貰ってるような気分になってくる。


 6:37
宿から3.1kmを29分、例年より2分早いけれど三中井はみき旅館より200m近いので、例年と全く同じだということになる。天皇寺は高知の善楽寺と同じで白峰宮の一部を間借りしているという感じ、だから山門もなくて裏からいきなり境内に入ってしまう。こぢんまりした本堂と大師堂がお宮の参道の片隅に建っているという感じ。大師堂の前のベンチに年輩の女性がお参りを終えて休憩していた。お遍路ではなく地元の人のようだ。ぼくがお参りを終えるとバナナを1本手渡してくれて、自分もお遍路に出たいけれど、どれくらいの費用、日数がかかるのか熱心に尋ねられた。


 7:32
天皇寺を7時5分に出発、しばらく歩いたところで登校中の小学生とすれ違う、お兄ちゃんは元気に挨拶、その後の弟君は恥ずかしそうに小さな声で挨拶してくれた。今日も元気に歩けそうだ。
 加茂川駅の前から橋を渡り綾川の土手の道を行く、600mほど行くと民家の庭先に接待所が設けられている。ネットの情報で見ていて、初めから寄せて貰うつもりだった。冷蔵庫に入っているお茶と、夏みかんを1個頂く。人影は見えず勝手に頂いてそのまま出ていく。


 8:14 国分寺
天皇寺から6.5kmを59分、例年より2分も早く着いてしまった。例年この区間は休まないのに、今年は接待所で休んだのが影響したかもしれない。夏みかんの酸と糖分も効いたような気がする。昨日の後半からずっと調子がよい、雲辺寺の不調を挽回したようでとても気分がよい。


 8:47
国分寺では軽食を摂っただけで、お参り納経を含めて21分の滞在だった。今回は納経時間の都合で出足が遅くなった(天皇寺を出た時間は昨年より40分遅い)ので、ゆっくり休むわけにはいかない。すぐに五色台の峰峰が姿を現す。写真の中央のへこんだところまで登るけれど、実際の高さは手前の一番高いところと同じだ。自動車道まで350mの標高差がある。一般的にはここが最後の遍路ころがしといわれている。88番の手前の女体山越えは本当はへんろ道ではない。ないけれど現在では大半の歩きへんろが女体山を越えるから、実質五色台は最後の遍路ころがしではなくなっている。


 9:16
遍路ころがしの途中で、国分寺方面の風景が開けてくる。しばし歩を止めて絶景を楽しむ。中国の桂林にも似た、特徴的な穏やかな峰峰が幾重にも重なる。


 9:20
五色台を巡っている県道180号に出てくる、ここまでのタイムは判らないけれど、かなり調子よく登ることができた。ベストを出した昨年と変わらない感じだ。


 9:48 白峯寺
国分寺から6.5kmを78分、最後の下りは思いっきり駆け足でなんとか昨年と同タイム。昨年は、こちらから登るのは最後のつもりで後半はできる限り飛ばしたから、それと同じタイムを出すにはこうするしかなかった。考えればちょっと無謀だけれど、足は普通に耐えていた。


 10:04
2年前から工事していた白峯寺のトイレがようやく使えるようになっていた。昨年は完成していたようだったけれど、使用不能になっていた。山門を出たところにある前のトイレは本当にひどかったから、これで一安心。水の補給もできるようになった。あと新しくして欲しいのは、41番龍光寺と44番大興寺のトイレ。


 10:29
白峯寺では32分の滞在、10時20分に発つ。打ち戻りの道は自衛隊の演習場の横を行く、銃声や砲声が聞こえることもある。すぐ前に、外人の男性が立ち止まって装備を調えているところだった。外人の歩きの人に会うのは今年初めてかもしれない。こんにちわー、と声をかけたら、とびきりの笑顔で「コンニチワ」と返してくれた。とても晴れやかな気分。


 11:01
県道に上がってくるちょっと前に男性二人連れを追い抜く。白峯寺に着くすぐ前にすれ違った人たちだった。ここまで上がってくると本日の登りはこれで終了。根香寺の打ち戻りはやや登り坂だけれど全く大したことはないから、遍路ころがしもこれで最後となる。(屋島寺の下りは、本当の遍路ころがしだけれど)


 11:14 根香寺
白峯寺から5kmを54分、2年前と同タイムで到着した。昨年は全然調子が出なかったので、何とか記録をねらった。最後またバタバタで駆けっこになってしまった。ちょっと浅ましい感じもするけれど、最後も近くなったのでけじめを付けておきたいという気分が勝ってしまった。


 根香寺の伝説”牛鬼”
 今から四百年くらい昔、このあたりに”牛鬼”と呼ばれる怪獣が住んでいて、人々を大変困らせていました。そこでこの地方を治めていた殿様は、山田蔵人高清という弓の名人に牛鬼の退治を命じました。高清は根香寺の本尊である千手観音にお願いをして、そのおかげで牛鬼を見つけだし、みごと退治したそうです。
 そして怪獣の角を根香寺に奉納して、その菩提をとむらったと伝えられています。
 四元さんに紹介されるまでこの像があることは知らなかった。7回目にして初めて根香寺を全部見たことになる。


 12:23
五色台から下界へ下りていく。短絡路へ入る前に女性二人を追い抜く。白峯寺に向かう県道でもすれ違っていた。でも、根香寺では会わなかった。根香寺の手前の歩きの道を行かず全部自動車道を歩いたとしか考えられない。挨拶をしたら素っ気なく無愛想だったけれど、話している言葉を聞くと、アジア系の言葉だった。挨拶も通じていなかったようだ。


 12:26
短絡路が自動車道に合流すると屋島が見えてくる。下り坂は気持ちいいけれど、膝に負担のかかる厳しいところも多い。


 12:45
鬼無まで5.4kmを57分かかる。タイムチェックポイントではないので、早いか遅いかよく分からない。身体の動きは悪くない。


 12:46
踏切の手前の道沿いはほとんど植木畑だった。小さな植木がきれいに並んで畑に植わっている光景というのはちょっとおもしろかった。


 12:50
踏切から500mくらいの所に新しい休憩所ができていた。できたのは2年くらい前のようだけれど、昨年は全く気づかなかった。というのも、根香寺から一宮寺まで12kmの間は休みを取らないと決めていた。今年は、旅に出る前からここで休むことは決めていた。前のベンチで年輩の男性が休んでいたけれど、中に入る様子はなくまもなく発っていった。


 12:52
休憩所の中には冷水器が設置されていた。たて続けに2杯3杯とがぶがぶ頂く。思った以上に渇いていたようだ。休みなしで12km歩き続けるというのはかなり無理しているということになる。梅干しもたくさん用意されていたけど、それは遠慮する。最高にきれいなトイレも使わせて貰う。人影はなかったので冷蔵庫のペットボトルはお接待して貰えなかった。15分ほど休ませて貰う。


 13:23
この川を渡らず、右岸沿いを行く道が近道で地図には赤点線も付いている。でもぼくはまだ歩いたことはない。昔の白黒地図には赤線はなく、もちろんへんろ道でもないから。でも、せっかく今の地図には赤線が付いているから一度は歩いておかねばと思う。今回は撮影があるのでいつも通り本当のへんろ道を歩く。


 13:30
高松自動車道のすぐ手前に、また接待所があった。前の接待所から2km半ほどしか歩いていないけれど、冷蔵庫に引きつけられて立ち止まってしまった。


 13:31
冷蔵庫の中には缶入りのコーラやお茶もあったけど、迷わず珈琲を選ぶ。珈琲を飲むのはコスタブランカのモーニング以来、6日ぶりになる。とってもありがたい。来年香東川の右岸を歩く理由がなくなった。


 13:34
高松道の下をくぐって100mの所を左に折れる、この狭い道がなかなか入れない。大体ここら辺だと判っていて2回目の時に入れなかった。3回目でようやく見つけることができた。


 13:36
側溝に挟まれながらも残り続けている、これぞへんろ道の醍醐味という感じ。


 13:43
ここに入る手前で、先ほど飯田休憩所で会った男の人が迷っていたので、こちらですよと、導いてあげる。このショッピングセンターの駐車場の脇を抜ける道もなかなか入れない。この道も3回目でやっと入れた。電柱には年々遍路シールが増えて判りやすくはなっているけれど。


 14:01
水道もあるいい感じの休憩所だけれど、一宮寺まで600mの所にあるので休んでいる場合ではない。


 14:07 一宮寺
根香寺から12kmを119分、例年より1分早いベストタイムで到着した。やはり途中で休憩を入れたのがよかったのかもしれない。納経を終えたとき先ほどの男性が到着、国道を渡ったあとまたちょっと迷ったけど何とか着くことができた、今日はこの近くの宿までだという。
 17分の滞在、休みなしですぐ出発する。買い物もあるから3時半までに宿に着くのは微妙な感じ。


 14:26
一宮寺から県道に出てきた所にあるコンビニで食料を仕入れる。でも、昨年と同じでぼく好みの菓子パンはなかった。何も買わずに出てくるしかない。時間が悪いのかもしれない、夕方から夜の分の配送はこれからで、一番品薄になっている時間なのだろう。この先にもローソンがあるからそちらで買うことにする。


 14:36
へんろ道を600m行くとまたローソンがある。ここも品薄で希望の商品はなかったけれど、第3希望くらいのものを3つ買う。ここまでの支出は120316円、今日と明日の宿代が10000円、バス代が2450円、合計すると132766円。当初はお賽銭と納経料以外で135000円が目標だったけれど。あと2日230円で耐えれば133000円で収まることになる。2年前より3000円多いけれど有料の宿は一つ多いし、食事付きで泊まった宿も3つ多いからさらに倹約できたことは間違いない。


 14:52
ローソン2から1km半くらいの所に新しいコンビニができていた。来年からこちらで買うことにする。


 15:15
へんろ道が国道に合流、大都会高松の中心部に入ってきた。


 15:23
くねくね曲がったあぜ道のようなへんろ道も好きだけど、大都会高松の中心部を斜めに真っ直ぐ突っ切ったこの道にもへんろ道の醍醐味を感じずにはいられない。まず最初にへんろ道ありき、町はへんろ道を侵すことなく、遠慮しながら大きくなっていった。実際はどうだか判らないけれど、そういうことすら想像させる、ものすごい道だとぼくは思っている。思いながら歩いている。


 15:31
琴電が瓦町駅に入ってくるところ。


 15:31
すぐ前にもう一つ踏切、こちらの線を終点まで乗ると87番長尾寺の前に着く。


 15:32
踏切を二つ渡ってすぐ前の交差点を右に折れれば今日の宿が見える。一宮寺から6.5kmを59分、例年と同じタイムで到着した。特に力を入れたわけではないけれど、1日の最後の行程を時速6.6km、信じられないくらい元気に歩けている。
 ビジネス旅館三鈴は4年連続4回目の投宿。1回目は4畳半の部屋で3500円、2回目は6畳の部屋で4000円、3回目は6畳の部屋で3500円、そして今回は4畳半の部屋で4000円だった。この宿の本当の料金はいったい・・・という感じ。でも4000円でも大満足の落ち着ける遍路宿です。洗濯は洗濯袋の中に入れておけば全部して貰える。

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