WALKER’S 

歩く男の日日

乾坤輝く(霊峰飛鶴)

2008-09-18 | 08年青春18きっぷ
 足立美術館は安来駅から南へ8km、山奥ではないけれどそのすぐ手前という相当辺鄙な所にある。この美術館を造った足立全康の生まれ育ったところ。車で20分、駐車場に大型バスが4台、乗用車も数十台停めてある。ぼくのように電車で来る人はほんの一握りだろう、今や島根観光の目玉になっているようだ。最終のバスは16時50分だから2時間以上楽しむことができる。
 日本庭園をじっくり見ることなど今まであったかなと思う。ベストテンに入っている栗林公園に行ったのも、岡山の後楽園に行ったのも中学生の時だった。金沢の兼六園には大学生の時にそのそばまで行っておきながら体調を崩して中に入ることはできなかった。だから、偉そうなことは何も言えないのだけれど、一番感じ入ったのは借景でした。向こうの山と庭園の緑が完全に繋がって一体化している。その向こうの空まで加えた奥行きと広がりに先ず心打たれる。手前の庭園は人の手が加えられたいわば人工の自然、その人工の自然と向こうの本物の自然との違和感が全くない。大きな庭園は三つの部分に分かれていて、最初は苔庭、中央が枯山水庭、最後が白砂青松庭、繋がっているのだけれど、見る場所が違うとそれぞれ趣が違って見飽きることがない。大庭園の反対側には、池庭と茶室につながる庭園もあってまた違う魅力を見せてくれる。ぼくと一緒に入ったバスツアーの人たちはとっくに行きすぎてしまったけれど、ぼくはずっとこの庭を眺めていたい、庭を見て回るだけであっという間に1時間が過ぎてしまった。
 2階の大展示室では秋期特別展が始まったばかり、「横山大観と院展の同人たち」。明治後期から昭和初期にかけての日本画の大家たちの作品が並んでいるけれど、ぼくにとってはほとんど初めて見る名前であり作品でした。その中で、ひときわ輝いていたのが、平山郁夫画伯の「祇園精舎」、この作品だけは神戸で開かれた展覧会で見た覚えがある。そしてもう一つの展示室が横山大観特別展示室、広さは半分くらいですがこちらが常設展示なのでしょう。その中にあったのが写真の絵です。記念切手を集めたことがある人なら、国際観光年の50円切手、霊峰富士として思い出すことでしょう。ぼくも横山大観の名を覚えたのはその切手が最初のきっかけだったと思う。あの本物を間近に見られて、えもいえぬ感慨に浸る。
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