いくやの斬鉄日記

オープンソースからハイスクールフリート、The Beatlesまで何でもありの自称エンターテインメント日記。

ATOK X4を考える

2011年06月19日 20時42分07秒 | 言語入力機構
ATOK X3のリリースから4年目になり、諸処の事情で継続して使うのが困難になってきています。
Ubuntu 11.04のパッケージルールの変更に追随できてません。いろいろなことを考えれば、10.04で使い続けるのがいいのかなぁと思います(私はそうしています)。
そろそろATOK X4が出てもいいのかなーと思うわけですが、具体的にどのぐらい現実性があるのか考えてみました。

・IIIMFの継続使用はしんどい
ATOK X3はIIIMFで使えるようになっているわけですが、これはもともと当時Sunに在籍していた樋浦さん(故人)が開発したものです。もちろん開発者はSun以外の人もいましたが、Oracleに買収されてどうなったのかよくわかりません。少なくとも開発リポジトリにはもうずいぶん前からアクセスできません。
最近のトピックとしてGNOME 3があるわけですが、言うまでもなくGTK+ 3を使用しているわけです。で、これ用のIMModuleが必要なわけですが、たぶん今のところ存在しません。すなわち、XIMで使用することになってしまうわけですね。
(余談ですが、現在のOneiricにあるIBusは今のところGTK+3に対応したIMModuleを有効にしておらず、なかなか悲惨です)
もちろんジャストシステムがこれを開発することもできるわけですが、あまり前向きな対応とは言えません。
Solarisのことを考えるとIIIMFの方がいいかもしれませんが、特に考慮しなくてもいいような気がします。

・じゃあIBusは?
IBus本体には可能な限り手を入れず、IBus-ATOKみたいなブリッジと設定画面を作成し、これをプロプライエタリなライセンスで販売することはできるのでしょうか?
あくまで私が理解している限りですが、これはできます。
IBusは設定画面を好きに作ることができます。現にMozcはQtを使用した設定画面にしています。ATOK X3の設定画面はかなり作り込んでいますが、これと同様のものを用意するのはそれほど難しくないでしょう。
さらにIBusはプロセス間通信を採用しているので、ライセンスも特に気にすることなくプロプライエタリなものにできそうです。
というわけで、IIIMFからIBusにする技術的な問題は特になさそうです。
余談ですが、IBusは樋浦さんやSCIMの作者James Suが取り組んでいたIM-Busのコンセプトを、今あるもので実装したものです。IM-BusでもD-Busを使うことを検討したものの、プラットフォームに依存する部分があるのでBus(IPCシステム)の作成から始めるつもりだったと、樋浦さんからお聞きしたことがあります。まぁそれじゃあいつまで経っても出せませんよね。
さらに余談ですが、JamesもIBusの原作者Peng Huangも今はGoogle社員です。Jamesが転職してコミュニケーションが取りにくくなってさぁと樋浦さんが愚痴っていたのを思い出します。

・問題はどのぐらい売れるか
はっきり言って、ATOK X4が出たとしてたいして売り上げは見込めません。
大口の顧客(?)であったTurbolinuxはもはや見る影もありませんし、購入するのはおそらくUbuntuユーザーぐらいのものでしょう。5桁の売り上げが見込めるかどうかぐらいでしょうか。根拠はありませんが。
Ubuntu Software Centerで販売すれば外国人による購入も見込めるかも知れませんが、英語サポートが必須なのでなかなか厳しそうです。
Turboも一応原点回帰して新バージョンを出したいという意向を表明していますが、アテにするにはリスクが高すぎます。
他のもろもろを考えても、少なくとも私にはこれだけの売り上げが見込めますという数字は出せません。
Ubuntuがいろいろなところで採用されそうという話はちらほら耳にしてはいるのですけどね。

商売としてやっている以上売り上げが見込めないと出すわけにはいかないわけで、現実的にはなかなか厳しいのかなぁと言うのが現時点での私の考えです。
もちろんこれが間違いであり、サクッと出してくれるとうれしいのですが。もし出たら2ライセンスは買います。

……なんか樋浦さんとの思い出話になってしまいましたね。てへぺろ(・ω<)
コメント
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