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2009年11月11日~12日の県内各紙のニュースで山梨県の「不適正経理処理」の事例を知りました。その中で出て来た「需用費」という用語に私はつまずきました。
この問題は知事臨時記者会見(平成21年11月11日水曜日)で発表され、NHK山梨のニュースが「2009年11月11日 14時33分更新 不適正な支出 新たに400万円」と伝えた記事が最初でしたが、12日は以下のような記事で確認できました。

県、不正支出新たに482万円 山梨日日新聞
業者巻き込み帳尻合わせ 県不正支出 山梨日日新聞
「不適正処理」 県調査で新たに480万円 朝日新聞山梨版
不適正支出新たに483万円 読売新聞山梨版
別の物品購入し他項目予算流用「差し替え」2件発覚 読売新聞山梨版
県事業にも不適正可能性議会委で県が認識示す 読売新聞山梨版
県不正経理:県独自調査、新たに482万円も 「国の補助範囲、不明確 毎日新聞山梨版
これらのソースは知事臨時記者会見のページで公開されている「国庫補助事業等に係る事務費調査結果」(PDF:983KB)です。PDFファイルで54ページの詳しい報告でした。
朝日新聞、読売新聞は見出しで「不適正」という言葉を使いましたが、山梨日日新聞や毎日新聞は「不正」を使っていました。私は知事の発表と調査結果報告を斜め読みしただけですが、「不適正」を使っておきます。
調査結果の冒頭から引用しておきます。「2 調査の概要」と「3 調査結果」は省きます。

1 調査の経緯
 山梨県においては、平成21年2月、農林水産省及び国土交通省所管の国庫補助事業等に係る事務費(以下「国庫補助事業等事務費」という。)のうち、平成15年度から平成19年度執行の需用費、賃金及び旅費を対象に会計検査院による実地検査を受検した結果、不適正な経理処理が明らかになったことから、知事から全ての国庫補助事業等事務費について全庁調査を行うよう指示が出された。

4 不適正な経理処理の発生原因と課題
(1) 職員の意識等に関する原因と課題
 (原因) ○ 国庫補助金等を取り込もうとする意識
      ○ 会計年度区分や国庫補助事業等と県単独事業の区分、公費支出に対する認識の低下
 (課題) ○ 職員に対する法令遵守の徹底と公費支出に対する意識改革
      ○ 会計年度区分や国庫補助事業等と県単独事業の区分の再確認
(2) 物品調達事務上の原因と課題
  ・法令遵守に対する認識の不足
  ・「日抜きの納品書」の使用
 ① 需用費における差替え
   (原因) ○ 緊急性などの理由による誤った手続き
        ○ 内部チェック体制の不備
   (課題) ○ 納品確認を厳格に行うための内部チェック体制の整備
        ○ 不適正な処理の防止のための業者への協力依頼
 ② 需用費における「翌年度納入」と「前年度納入」
   (原因) ○ 緊急性などの理由による無理な発注
        ○ 内部チェック体制の不備
   (課題) ○ 納品確認を厳格に行うための内部チェック体制の整備
        ○ 業者に対する「日入りの納品書」の提出を指導
(3) 予算執行上の原因と課題
 ① 予算執行体制
   (原因) ○ 年度末の事務処理の集中
   (課題) ○ 予算執行事務の見直し
 ② 繰越制度の活用
   (原因) ○ 繰越制度の未活用
   (課題) ○ 繰越制度の活用
 ③ 補助対象外の支払い
   (原因) ○ 補助対象事務費の執行基準の不明瞭
        ○ 区分経理の不徹底
   (課題) ○ 補助対象事務費の執行基準の明確化
        ○ 区分経理の徹底

私は「需用費」という用語が理解できなくて、最近どこかで見ていたと思ったので確認したら、甲府・峡東地域ごみ処理施設事務組合 歳入歳出決算書にこの用語がありました。この費目の内容は何だろうと検索しようと思っていて放置していた(^_^;)
甲府市のホームページで需用費を検索したら、「2008.03.14 : 平成20年予算特別委員会 本文」だけがヒットして、その中にさまざまな内容の需要費が書かれていました。
上野原市の財政用語集で簡明に分かりました。「物件費」に含まれるもので、需用費(光熱水費、消耗品の取得、修理など)です。山梨県庁サイトの検索ではヒットするのがPDFファイルばかりで面倒なので読みませんでした。

知事記者会見でも語られていますが、「前年度納入」とか「翌年度納入」というやり方については、企業会計なら前払金とか未払金で処理できるものですから、なんら問題が生じないものです。それが許されない公的な経理処理は、単年度の現金主義でしか処理できないのかと、私はこういう会計制度を全く知らないので不思議に思うし、大規模な会計を発生主義で処理できないならこれは制度的な問題じゃないかと感じるだけです。

知事も特に会見で語られ、各紙もとり上げていましたが、「携帯レーザー距離計60,060円」の件はおもしろかった。防災のイメージトレーニングが出来ているなら、予算に計上して常備するべきものだったでしょうし、予算(の獲得)が行政の主たる仕事であるなら、以後の年度予算でも計上され、既に十分な数が常備されていなければなりません。そこんところはどうなのでしょうか。県庁防災新館では必備の資材のひとつということでもあるでしょう。
「国庫補助金等を取り込もうとする意識」という認識が県庁自身にもあることは微笑ましく感じました。
中心市街地活性化事業、街づくり、紅梅地区再開発事業などを調べていて感じていた事でしたが、国庫補助金とは全国民から山梨県、甲府市に与えられるものですから、私の分も何十億分の1程度は含まれている(^o^) だから私はこんなブログを書くこともある・・・
今回の問題は民主党政権が進めようとしている「地域主権」との関係が大きいでしょう。「国庫補助金」という用語が使われなくなる時代が来るかどうか、公会計の制度変更はどうなるか、興味津々です。



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