事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ドクター・デスの遺産」 中山七里著 角川書店

2018-02-09 | ミステリ

始まりは小さなできごと。警視庁に子どもから電話がはいり、お父さんを

“悪いお医者さんが殺した”

という。おなじみ、高千穂明日香と犬飼隼人のツンデレコンビがその家を訪れると、確かに父親は死んでいた。通報の件を質問すると、母親は必死で否定する……

ネタバレを承知でいえば、これは安楽死をめぐるお話。人間には死ぬ権利があるのではないか、とするドクター・デスの主張は説得力がある。現代の医療は、高度な延命措置によって患者と家族を痛めつけているのではないかとは、誰しも、特に家族を病院で看取った人なら考えたことがあるはずだ。

このミステリが周到なのは、ドクター・デスの報酬が20万円、という絶妙な金額であること。金儲けのためではなく、快楽殺人でもないことをこの額で納得させてくれる。

例によってどんでん返しが用意されていて、批判もあるようだけれどもわたしはうまい展開だと思いました。

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