事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「愚者の旅」 倉本聰著

2008-07-11 | 本と雑誌

080425garden01 今回のテキストは、脚本家倉本聰の自伝とも言える「愚者の旅」。彼のエッセイ集は常に爆笑できるネタが満載。東大→ニッポン放送を経て、脚本家として第一線に立ち続けたことを考えても、まわりにおかしな人間が集まりすぎる。これは彼の人柄であると同時に、どんなことも面白がることができる倉本の性格に由来しているのだと思う。お得な性分である。でも、鬱病に悩んだ結果としての北海道移住であったことも語られているので「北の国から」執筆が、実は彼にとって一種の救いだった、という意外な一面も。

◎倉本聰の東大時代の同級生、中島貞夫はかすかなコネを頼りに羊かん一箱持って東映の大川博社長に逢い、なんとかもぐりこむ。
「こいつ、左翼ですよ」と紹介者がばらすと
「儲けてくれりゃあそれでええんや」

◎TBSの赤いシリーズに出演していた八千草薫。山口百恵のスケジュールが取れず、そこに百恵がいるかのごとく一方的にセリフをしゃべり、後で編集でつなぎ合わせるという理不尽な撮影に業を煮やし、遂に役を降りてしまった。

◎北海道に移り住んだ倉本聰は、地元テレビ局でドキュメンタリーを撮る。編集作業を行っていた富良野の小屋へ、ディレクターがひとりの青年を連れてきた。足寄出身の新人歌手。名を松山千春。彼が歌った主題歌が「季節の中で」。

◎ハワイのレストランにて。
石原裕次郎夫妻と夕食をとっているとき、まき子夫人と夫婦の寝室の話に。いずれはどちらかが先に旅立つ。そのときもしも同じ寝室に空になったベッドが残されたらたまらない。そのため、馴れるために寝室を分けた……と倉本が告白すると、しばらくしてまき子夫人は凄まじい声で囁いた。
「ここ何年も……先生、私、そのことばかり考えて生きています」
裕次郎が他界するのはまもなく。

勝新太郎に強引に連れられて山口組三代目の片腕S親分のところへ。
三の宮駅前にはヤアサマの軍団が二列縦隊で勝新のクルマをお出迎え。親分さんたちのクラブでの宴に付き合わされる。「仁義なき戦い」の話になり、誰がいちばんやくざをうまく演じているかでもめる。
「文太?カッコよすぎるわ」
「欣也?カタギや」
「うーん……おった!」
「誰や」
「松方や!松方弘樹や!」
「それや!あいつはまさしくやくざそのものや!」
「洋服のけったいな趣味な」
「軽薄でおっちょこちょいなとこ」
「そうやそうや、ヒロキがおったなあ」

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