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◆「やっぱり猫が好き」ふたたび
「ゴールデンタイムに上がるくらいの頃から、またマンネリになってきた。さすがに一部屋で3人だけで演る話をひとりの作家が考えたら、限界は来ますよ。本読みの時に、『これ、前の台本と似てる』とプロデューサーに台本を捨てられたこともあった」
……また台本を捨てられています。放送作家というのはしんどい稼業なんだなあ。多くが他の職業に転じていくのは無理のない話なのか。そして三谷は、初の連続ドラマに起用される。
◆「振り返れば奴がいる」
1月クールなのに、話が来たのは前年の秋っていう。他の作家がやるはずだったけど急に降板したかなんかで、僕のとこにきたらしい。
驚いたことに、まだドラマの設定も決まってなかった。でも、オンエアに間に合わないからオープニング映像だけは撮ったらしいんです。見せてもらうと、黒いコート姿の織田さんと白いコートの石黒賢さんが波止場を走ってる。だから僕は「駅伝のドラマがいいんじゃないですか」と提案した(笑)
……そうだったのか。これまでのわたしの理解では、三谷の脚本の遅さに織田裕二がぶち切れ、二度と三谷とは組まないと宣言した……だったのに、直前まで何も決まっていなかったのだからおそれいる。何も決まっていなかったからこそ、およそ彼ら以外にはまったく人がいないかのような病院のセットができあがったわけだ。まるで前衛劇だったですもんね。
準備不足はストーリーにも影響し、脚本では退職して病院を去るはずだった織田を、通り魔によって殺すことになる。しかしそれはいくらなんでも……ということで、すでにフェイドアウトしていた西村雅彦を使うことになる。
西村はちょうどシアタートップスのぼくの芝居に出演してたので
「舞台が終わったらすぐ現場に行って、織田さんを刺してきてくれ」
西村はもうクランクアップして、花束までもらってるのに、もう1回撮影に行くことになり、ロケ先で衣装着せられて「後ろから刺してください」と言われたと。
……あの名ドラマの背景にはこんなドタバタ劇が(笑)以下次号。
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