監督 : 緒方明
出演 : 田中裕子 、 岸部一徳 、 仁科亜季子 、 渡辺美佐子
三十年以上も、お互いを意識しながらも言葉をかわさなかった50歳の男女。
「今までしたいと思ってたこと、したい。」
「全部して。」
艶っぽいセリフはこのくらいの年齢にならないと。とにかく名セリフ満載で、タイトルどおり、かなり文学寄りの仕立てになっている。
「(牛乳配達は)あたしの生きがいだもん。できれば町中の人に配りたい」
「絶対に平凡に生きてみせるって決めたんだ」
「50から85(歳)までって、長いですか」
「長いよ」
……神津はづき&杉本哲太の夫婦、ジュリーの奥さんとサリーが共演という、なんかほんとに中高年にはたまらない映画なのでした。もうちょっとわかりにくい、淡彩な演出にしたら後世に残ったろうに。
それにしても「カラマーゾフの兄弟」、「狂人日記」(色川武大版)、あふれるほどのポケミスなど、主人公の女性の蔵書は趣味がいい。確かに50才からの人生は長い。でも、読書することで、少しは充たされるのかもしれない。
岸部一徳は47年生まれ。田中裕子は55年生まれ。彼らの演技のピークかも、と思えるほどの名演。ちょっと、凄い。
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