事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ソロモンの偽証」を検証するPART2

2014-03-20 | 受験・学校

A1edb5e6 第一部はこちら

匿名の手紙が投かんされる。計3通。1通は学校へ。1通は主人公格の女子生徒のもとへ(彼女の父親が捜査一課の刑事であることが影響している)。

そしてもう1通は死んだ生徒の担任に。だが、この手紙が担任のもとに届くことはなかった。ある悪意が作用したからだ。

手紙の内容は衝撃的。生徒は自殺したのではなく、不良三人組に屋上から突き落とされたと“告発”していたのだ。

警察はもちろん採りあげない。学校も、単なるいたずらであろうと判断し、この情報を全職員に周知することはなかった。もちろん、被害者の遺族にも学校の保護者たちにも。なぜ担任に手紙が届かなかったかはそれだけで作品が成立しそう。

担任である女性教師のマンションの隣に住んでいたのは、夫に捨てられた主婦。自分が何者でもないという事実に戦慄した彼女は、となりの女性が職業人として充実しているらしいことに激しく嫉妬し、憎悪する。そして、彼女のポストを常にチェックするようになる……

この主婦は手紙の内容に狂喜する。あの女にも秘密があった!

かくしてこの手紙の存在はマスコミの知るところとなり、ワイドショーでとりあげられ、校長は退職に追い込まれる。滋賀の事件を先取りしたかのような展開。

「ソロモンの偽証」が意表をつくのはここからだ。事件が、うやむやのうちに幕を引かされそうになっていることに義憤を感じた刑事の娘が、校内で裁判をやろうと提案する。秀逸なのは、彼女を検察役にしたこと。殺人の疑いをかけられた不良を弁護する気持ちから発した裁判なのに、逆の立場になることで彼女は深く悩む。

なぜ彼女が検察側になったか。ここに、ひとりの少年が登場する。死んだ生徒の小学校時代の同級生。彼はある意図をもってこの事件にかかわる。悲惨な事件で両親を失っている彼は、弁護人として検察と争う……んもうこのあたりからめちゃめちゃに面白くなってきます。以下次号

ソロモンの偽証 第II部 決意 ソロモンの偽証 第II部 決意
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-09-20
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする