事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「大魔神」 (1966 大映)

2012-03-23 | 港座

Daimajinimg01 大映の製作陣がどれだけ計算をしていたかはわからない。でもこれは結果的にものすごくよくできた恐怖映画になっている。

“硬い”身体のなかで、唯一生身を感じさせる眼球の動から映画は開始。すでに怖い。絶対に瞬きしないとスーツアクターが決心していたので充血していたんですって。この造形がまず圧倒的な勝利。

そして大魔神の怒りが過去に何度もあったことが農民の踊りで示唆される。穏やかなお面と化け物のお面がのちの展開を予告。これはゴジラでも使われていた手法。

魔神を封じ込めている神像こそが魔神だったという設定は、ジキルとハイド的で実にいい。物見櫓の人間を、最初は無視しているように見えながら、いきなり振り向いてなぎ倒すあたりは、魔神のサイズが効いている。あまりに巨大すぎず、ちょうどいい大きさだからこそ生まれる恐怖

だから人間の抵抗の象徴として使われるが、ラストまできちんと画像として残るオチにちゃんとつながっている。うまいなあ。

昔の時代劇のお約束で、お姫様は結局まわりに迷惑をかけるだけ、という伝統が守られているのもうれしい。

そんな無垢で、キングコングを翻弄したような美女を演じるのが高田美和。お父さん(高田浩吉)の嘆きも無視してロマンポルノに主演したように、暴力的なまでに世間知らずな感じはこのころから。まことに、けっこうなお姫様っぷりでした。徹底的に日本的な美女じゃないとこの役はもたない。アンジェラ・アキだと無理ですわね。

それ以上にすばらしいのは遠藤辰男、五味龍太郎などの悪役陣。味のある顔というのはこういう顔のことを言うんだなあ……と冷静ぶりながらも、実はかなりびびっていたのでした。怖いって、マジで大魔神。

第二作「大魔神怒る」につづく

コメント
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