事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.36「魔術師の幻想」

2011-10-10 | テレビ番組

Nowyouseehimimg01 Vol.35「闘牛士の栄光」はこちら

マジシャンのお話。とくれば本格ミステリである。このふたつは親和性が高いからね。3回目の犯人役であるジャック・キャシディ(「構想の死角」「第三の終章」)の、尊大で、ほとんどアニメではないかと思えるようなキャラとルックス(と田口計の吹替)がすばらしい。

彼はナチの親衛隊だった過去をクラブのオーナーに知られており、ギャラの半分を持って行かれることを不服としてオーナーを殺害する。それは、彼が「水中の幻想」という脱出魔術を行っている10分弱の間のことだった。

いつものコロンボとは違うという気合いとユーモアが感じられるエピソード。なにしろ、コロンボは妻にプレゼントしてもらったツイードのコートを着て登場するのだ。彼は脱ぎたくてしかたがないんだけどね。

おまけにコロンボのテーマ(実はコロンボがオンエアされたNBCの「ミステリー・ムービー」枠の音楽。つまり火曜サスペンス劇場の「聖母たちのララバイ」みたいなもの)を作曲したヘンリー・マンシーニの「シャレード」の音楽が使われていていたりする。

引田天功(年代によってイメージする画像は違うでしょうが)で日本では有名な脱出マジックがキーポイント。他にもマジシャンズ・セレクトがその10分間に仕込んであったり、マジック好きにはうれしい回だった。

もっとも、その時間帯にオーナーが確実にその部屋にいることをどうしてマジシャンが知ることができたか、物証は本格っぽくないとか、弱点もある。

娘がアシスタントをつとめていて、その恋人に父親がいらついているなど、古畑任三郎の「魔術師の選択」がかなりいただいていることがわかります。ジャック・キャシディと山城新伍は雰囲気も顔もそっくりだし(笑)

このドラマの見せ所は、犯人なら外せるに違いないとコロンボがキャシディに手錠をかけるシーン。犯人にコロンボが手錠をかけるシリーズ唯一のシーンであること以上に、それがコロンボの罠であることを知りながら、キャシディがその手錠を外してみせることだ。

誰しもが才能を持っているとするふたりの会話が渋い。

「わたしのは幻想を生み出すことで、あなたのは現実を把握することだ」

これはつまり、犯罪者と探偵の関係性のことなのである。マジシャンの娘を演じたシンシア・サイクス(なんと彼女はいま『ブレードランナー』再映画化の権利をにぎっている)がとても魅力的。スローで再生しても彼女が鳩を出す初歩的なトリックを見抜けませんでした。どこがマジック好きだよオレ。

Vol.37「さらば提督」につづく

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コメント (2)
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