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“さきに申告相談のご案内を差し上げておりましたが”ってそんな案内文書は見ていないのだが。まあそれはいい。問題は、わたし自身に心にやましいものがあるってことなのだ。「追徴」シリーズで母の死亡保険金がらみの税金トラブルをお伝えしたとき、すでにその萌芽はあった。離農して以降、わたしは農業収入について申告をやっていないのである。
「納税は国民の義務だろっ!」
いてっ!その指摘は痛い。でもわたしにも言い分はある。
兼業農家だったわたしは(形の上では今でもそうなんだけど)、常に水平線飛行をつづける営農口座の残高にため息をつき、夏と冬のボーナスから50万円ぐらいずつ給与収入から入金していた。オレはいったい何のために働いているんだと脱力。
そして領収書をかきあつめ、JAが発行する明細書と首っ引きで青色申告していたのである。申告用ソフトを使っても妻とふたりで一週間ぐらいはかかるのよこの作業は。
で、JAに全面委託をすることになったので、農業収入はその委託料だけ。10㌃あたり2万円強。ウチの水田は381㌃なのでほぼ80万円の収入ということになる(なんでオレはこんなに正直に語っているんだか)。
こんなもん畑の種苗費や農機具の減価償却、そして土地改良区費で吹っ飛んでしまうのが確実なので、バカバカしくて申告する気になれなかったのである。
もっと正直に言おう。ちゃんと申告すれば農業収入がマイナスになるので、源泉徴収されていた所得税をとりかえすことができるかも、とまで考えていたのだ。でもね、あのヘトヘトになるような申告を(妻とケンカしながら行うのが恒例)行うぐらいなら税金を払うぐらいはどうでもいいや、とも思っていたの。
ところが。こんな文書が来るぐらいなのだから、と久しぶりに営農口座をながめてびっくり。土地改良区費は毎年70万円をこえる額だったのに(子々孫々にいたるまでこの借金はつづく)、去年は40万ちょっとしか引き去られていない!
「どうしてこんなにお安くなったのかな。なんかの間違いじゃない?」
「あたしは言ったわよ。土地改良区費が安くなってる、って」と妻は主張。
「ホントに?」
「ホントよ!」
ああまた申告のときのような諍いが(^_^;)。以下次号。